オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


所英男ファイナルラップ

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所英男vsL.Cデイビス

 興行で美徳とされるのは当然エキサイティングな試合である。TVと結びついていた往年の日本のメジャーMMAなんかでは興行によってはルールぐるみでそれを生もうとしていたりと現在のケージ&ネバダ基準の時代に対応に時間がかかる時期もあった。

 所英男は日本の興行格闘技の本当に良質な部分を表現してる選手であることには違いない。それはフリーターから一夜でヒーローにみたいなベタなネタから、本当に制空権を取る打撃を撃ったり、グラウンドでキープをとったりでリングジェネラルシップを取る戦術ではなくいきなりフィニッシュに持っていこうとする姿勢などなど。

 それは現在のMMAの前線からすれば、考えられないスタンスだ。とはいえUFCのレベルであろうと、キープや制空権を取る規範をわかったうえでガンガンに仕掛ける選手は少なくはない。ジョー・ローゾン、場合によってはアンソニー・ペティスなどなど…

 ベラトールでLCデイビスと向かい合う所英男の絵図。時の流れを感じる。ステップワークで距離を取る所。打撃戦の中でなんとスムーズにタックルを取ったなんて動きも何やら感激した。現行のMMAの立ち回りに昇華された形で所の美点が現れた動きが次々と現れる。すぐさまに足関節を仕掛けようとするリングスZSTスタイルみたいなのもう今エディ・ブラボー門下もわかんないんじゃない(適当だよ)

 試合後半では所が上を取り、パスガードして優位ポジションから一気にポイントを取るか…?と思ったのは束の間、なんと一気に腕十字を仕掛けるあたりは最高だった。もう今だったらほとんどの選手はやらないはず。マウントからさらに相手の動きを封じ肩固め~チョークのフィニッシュに持っていくようなケースがセオリーだろう。

 不思議に感動的な内容だった。ここ5年来の日本MMAの美点と北米MMAの美点がちょっとした交錯をしたというか…

 

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安藤晃司シンガポールの決戦

Category: 格闘周辺時評   Tags: ---
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 ONE FCで青木真也vs安藤晃司が決まった。

 久々に刺激的な日本人対決だ。ここ5年くらいのメジャー崩壊後の日本MMAで、非UFCで有力な選手が行き着いた先の対戦。ここにちょっとした因果な面白味がある。この面白味は非UFCというか、非北米MMA的で長らく見てない日本MMAの延長みたいなものだ。IGF山本勇気戦を必死で面白がらなきゃならない貧しさよりは、地味だが豊饒だ。(あんな試合を立てるために「石井vsミルコは誰も話題にしてない。話題になったものの勝ち」みたいに言ってる人はもうまともにものを観ることから降りてるんじゃないの)


 色々感慨深い…日本人選手でメディアでも大きくフィーチャーされるのは当然修斗~PRIDE武士道・HERO’sそれからDREAM、戦極といった今は亡きメジャー興行でトップ戦線にいる選手だ。対してメジャーで契約を結べなかったり、または結果を残せなかった選手がキャリアを伸ばしていく先は、中国や韓国をはじめとしたアジアでの興行で闘っていくことだった。

 メジャー興行があった時代、アジアMMAに関してはメディアの取り上げ方も傍流だった。中でもアジア界隈で結果をだしていた選手として韓国ROAD FCでチャンピオンシップを闘った久米鷹介、そして今回の主役である中国LFCでチャンピオンとなった安藤晃司が思い浮かぶ。


 間もなくメジャー興行が壊滅し、国内のMMAはVTJなど再編が進む。北米MMAがトップとしてMMAの道筋を作る。一方、そんなルールに適応しアジアMMAは進歩していく。旧DREAM勢はシンガポールのONE FCに多くの選手が契約し、非UFCの中のメジャーの場(おかしいかな?この書き方も)みたいになってる。

 青木真也と安藤晃司の対戦はオレにはドラマティックだ。日本MMAの主流と傍流のキャリアを積んできた人間同士の、近くて交わることが考えにくかったもの同士の邂逅だからだ。なんなら佐藤大輔にでも煽って欲しいくらいだ。あとは北岡悟vs久米鷹介なんかも実現しねえかな?


 もう一つの面白味と言えばふたりのベースとしている格闘技には柔道があること。一方は柔術に移行して高速で自分の優位なポジションに移行できる正確さと強さを持つ。同時に、勝機を見れば高速で関節技に向かうフィニッシュへの処理速度を持つ、今考えても異色で異形なタイプ。一方は秋山成勲~中村カズといった柔道型の体幹の強さベースで打撃戦と組み技でイニシアチブを取るタイプであり、これまでもこれからも柔道→MMA転向でありえるだろうタイプだ。

 試合展開を予想するに安藤晃司の苦難は容易に想像できる。青木が対日本人で見せる競技能力以上のドメスティックな残酷さはずっと記憶されてるだろうが、ここは傍流の静かな逆転を望む。


 

ドスアンジョスの制圧

Category: 見立てのMMA観戦記録   Tags: ---
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アンソニー・ペティスvsハファエル・ドスアンジョス


 ライト級はまるでもの凄くバランスの取れた格闘ゲームみたいだなんてひでえ比喩で見ていた去年。バラエティ豊かで実力差というのが目立たない、相性によっていくらでも展開の変わる面白い階級ゆえだ。

 一方で振り返ればBJペン以降、絶対王者となりえる存在がこの階級に限ってはいない。そのせいでPPV的な興行のフックが物足りないのも確かではある。複数スター的な興行ならば、単なるファイトスタイルの相性や差の面白さだけでなく各選手ごとの対人関係や差異みたいのが際立つようなフックがあればより楽しいんだが…TUFチャンプとか伸びてきてるのにあの地味さはねえだろみたいな

 もっとTwitterで煽れ!記者会見で言え!みたいな。ライト級の蠢きというのはUFC屈指の面白味があるのはたしかなので。こういうのもジョーンズとコーミエの諍いだとかアンデウソン対ソネンが持ってっちゃってるよね。ヌルマゴメドフがけっこう頑張ってるような。なんかこんなこと書くと興行型の煽りブログめいてきましたね。


 唐突に興行の話みたいな観客バイアスが身勝手にかかる話になっちゃったので戻すが、ドスアンジョスの戦術がここまでペティスを圧倒するというのはやはり予想外であった。ベンヘンにKO勝利というのも、もはやこっちがうまく言葉にできないものだったが、今回もやっぱり言葉にしにくい。

 ペティスの方がリーチも高く、制空権を取ってしまうのでは…だなんて雑なことを思っていたが、もともとペティスの特性や美しさというのは完全に制空権の制圧やグラウンドで上をとりリングジェネラルシップを取ってしまうことではなかったことを思い出した。

 数発の伏線となるミドルなどの打撃によって、相手を止めてしまうのではない。意識が向かないところに一撃をぶち込むのがペティスのスタイルだった。そしてそれがドスアンジョスにことごとく潰され、制圧される。

 半ば直感的なスタイルの完封されっぷりは格闘ゲームで地味なキャラだが理論的に見たら一番優位な奴が使えたみたいな感じの変なカタルシスがあったのは確か。でもドスアンジョスがここで絶対王者化する予感があるかというとそれはまた…あっ、ここで一度勝ってるヌルマゴメドフ出たらいいんだ、ヌルマゴメドフがんばれ。


アリスター・オーフレイム2度目の変貌

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アリスター・オーフレイムvsロイ・ネルソン

 興行格闘技を観る濃厚な面白さのひとつに、興行の意図する目的を超えてしまうどうしようもないくらいの現実の皮肉さを味わえることがある。

 最近のドラッグトラブルによって数多くのスターに影が差している。P4P最高の人間だったアンデウソン・シウバが引っかかったことでこれまでの軌跡にさえ疑惑が向けられてる。その現状に、もしかしたら数々の他の王者にしたって…だなんて嫌なムードが暗に生まれてる感じがある。

 ドラッグトラブルのレベルがどうにも歪で見え辛いそれであることがわかってきた。そんな中振り返ればアリスター・オーフレイムは本当にわかりやすくクロ、悪人って判断できていたな、と思う。犯罪者に見られるような怪しい奴ってどうしても髪もヒゲもロクに処理してないようのぼろぼろの服装の挙動不審な奴ってのになりがちだが、本当に進行してる厄介な犯罪というのはべたべたにわかりやすい身なりをしてはいない。

 アンデウソンの問題以降、当然のように現在のUFCでは厳しいドラッグテストが実地され、今後もさらに正確になるだろう。そうした時期の中の、わかりやすい悪人だったはずのアリスター・オーフレイム。もはや少し前には終わった、と思っていたのに、なんと次なる変貌を遂げ現代MMAの波に再び乗り始めている。

 PRIDE時代から強烈にパンプアップした第一の変貌から、ドラッグテストの厳しくなった現在、そしてジャクソンズMMAへの移籍という中で、なんととてつもなくヘルシーな身なりに変貌した。こんな人間何度も変わっていける(時代に適応しようとすればできる)もんなんだな…なぜか感慨深くなった。なるよ、見た目からバリバリにわかりやすい犯罪者が解脱して僧侶になるみたいな感じだから。

 完全にヘルシーになったというのは全体のフォルムだけではない。完全に動作のドライブのさせ方も変貌している。完全にクロのころの筋肉隆々な時代は、そのままありあまる筋力から打撃をドライブさせる力みと巨大な動作が目立つものだった。DREAMやK-1のころはそれでよかったし、みんなそれで喜んでた。

 ところがロイ・ネルソン戦では完全に身体の使い方が違う。こんなこと考えられなかった…まさかの現中軽量級の多くが基本としているような、全身を連動させたバネのような身体の使い方になっている。アリスターが痩躯になり、一方的な筋力によって攻撃をドライブさせる攻め手から一転、全身それぞれの動きから相手を撃つバンタムやフライ級あたりが当然のようにやっているああした使い方をしているのだ。

 攻撃の動作がおそらくノーモーションになっているくらいになっているのも素晴らしい。主に使用された中間距離から一気に飛び込むテンカオの変形みたいな膝、そしてジャブ。ネルソンを圧倒しはじめたあたりから放たれる、軸の一切ぶれないハイキック。これらは全て筋力からドライブさせる動きからでは生まれえなかったものだ。

 現実の持つ痛烈な皮肉がここに炸裂してる。ドラッグテストに引っかかったアンデウソンの復帰戦の試合が、予備動作も力みも見えるような身体の使い方になっており、そこに全盛期の神秘性は無かった。もしかしたらせせこましい小悪党だったのでは…という疑惑の影すらある。ところが誰が見てもドラッグまみれなはずだったアリスターが、全身連動した動きを持ち、予備動作がほとんど見えないような打撃、身体の使い方をしているという現実を披露した。

 本当に何が起こるかわからない。昨日みた栄光も明日にでたらめになるかもわからないし、クズだと判定したはずのものが突然美しく奇跡的な結果を出す。

UFC184 ロンダ秒殺の影で

Category: 見立てのMMA観戦記録   Tags: ---
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 ロンダ・ラウジーの14秒勝利は予想が付かないつうか、どうも勝負にならなすぎるレベルの試合が続きもはや語る言葉さえないくらい。ジョーンズやアンデウソンといったP4Pのトップがドラッグトラブルでかなり格を落としている中で、興行って意味ではもう今最大のエースなんですね。

 ロンダはほんとに時代にハマりまくったグラップラーのチャンプなんだと思うけど、今回は彼女の秒殺を止められる可能性は?サイボーグ?とか逡巡した中で、今回の興行では打撃屋に印象がいったのだった。

トニー・ファーガソンvsグレイソン・チバウ

 ライト級トップ10外の中でも魅力的な試合をこなし、なおかつ連勝を続けているに関わらず今だトップとの絡みが少ないトニー・ファーガソン。改めて考えるに、TUF優勝者という華やかなはずの実績も持っているのに対して極めて地味な位置なのは解せないところはある。

 もう初期からのフォレストグリフィンの時代と違い、すでに2010年あたりの時点で米国リアリティショーとUFC契約のためのふるい落としを行ってスターを生んでいくみたいな時代とは違っていたからだろうか。TUF優勝者同士の対戦となったマイケルジョンソン戦も極めて地味に判定で終わっていた。ジョンソンのほうはバルボーザを撃破し、徐々に上位に食い込んでいくライト級レスリング主体の代表に昇りつつあるが。

 しかしファーガソンの安定感というか、相当なものだとも思ってる。筋骨隆々なグレイソンチバウとの相対の時点でかなり二人が試合で出来る動きの質というのは見えそうなくらいで、柔らかで正確な動きを持つ長身痩躯のボクサーであるファーガソンの優位は下らないだろうと感じたのだった。

ラケル・ペニントンvsホリー・ホルム

 ボクシングとキックの高い実績を引っ提げてきたというホリー・ホルム。実況解説を観るとサイボーグがロンダと当たることはもうパッキャオvsメイウェザー(決定おめでとうございます)くらいまで実現が遠い予感がしている中、ロンダの対照となるファイターとして期待がかけられているかに見える。

 ホルムが出てきたからってことじゃないが、女子の試合ももうほんとにスタンドでの打撃フォームはすげえタイトになってきてる試合が多くなってきた。ホルムの制空権の取っていき方などは男子のタイトなスタンド戦を制するそれに変わりはないくらい。

 しかしそれでもファーガソンのような肝心のフィニッシュまで到達する打撃というのはやはりまれなのだとも思う。もともとのホルムのスタイルやペニントンとの相性もあるだろうがどうしてもフィニッシュの遠い試合になってしまう。打撃でのフィニッシュを生み続けるサイボーグがやはり別格で、異形性が際立つ。

 
ロマン・サラザールvs山本KID徳郁

 2008年~09年のDREAM・戦極のころって日本のメジャー興行で中軽量級選手が主役である最後の時代でボクシング&レスリング系に五味・川尻・KIDあたりに対し、当時大躍進を遂げていたグラップラーたちである青木・北岡・今成という相対があった。

 もっともファンが望むような五味vs青木のような好対照による勝負は実現せず、五味vs北岡や青木vs川尻のような少々捻じれた形での実現になり、では当時最軽量級のフェザー級での対立でDREAMではKIDvs今成というのは期待されてたのを思い出す。

 なんでそんなことを急に…というのも3年ぶりにオクタゴンに上がるKIDがなんか今成みたいと思ってしまったからで、なんというか変に覇気がない感じ。ファンの質問も「そうですか」としか返事しなさそうだ。動きも間合いも非常によい立ち上がりなのだがなんか変な感じだと思っていたら、ホントに変な終わり方に。

 そして今成の現在はなんとアウトサイダーのチャンプ幕大輔戦が決定していたのだった。

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ビデオゲームというフィルターから俯瞰する、現代エンターテインメント総合批評
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