オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


マイティマウスvsクレイジービー 

Category: 見立てのMMA観戦記録   Tags: ---
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デメトリアス・ジョンソンvs堀口恭司

 
  ときにスキャンダラス、ときにP4Pの華やかな活躍が期待されるUFCチャンピオンシップの中で、フライ級タイトルマッチはとても静かだ。だが水面下にいくつものドラマツルギーが眠ってる。

 デメトリアスは他階級の王者のようにスキャンダラスでもスターシップに恵まれた人物じゃない。しかしその試合内容そして結果のそれぞれは鮮烈だ。チャンピオンになる以前は現代MMAをタイトに習得し、リングジェネラルシップを取り勝ちに行くスタイルだった。ところが近年はモラガに最終ラウンドに1本勝ち、続くベナビデスとの再戦は予想しなかった1R1分でのKO勝利などなど。

 堀口恭司はアマチュア修斗からデビュー以来から、クレイジービー所属でありKIDの弟子…とフットワークを中心とした距離、高速の出はいりによる打撃と師匠を思わせる(こうメディアレベルで見立てているが、本当のところどれくらいKIDと堀口の影響があるのかは不明 ほかのクレイジービー勢のスタイルから鑑みても)鮮烈なスタイルによって、瞬く間に飛躍した。

 山本KIDのデビュー戦を封殺した形であるジョンソンと、その弟子であり、期待された日本人UFC王者に現在もっとも可能性の高いとされる堀口の一戦。日本MMAの文脈からしてもとてもドラマティックでありながら、静かに行われた印象がある。もう日本MMAがどうこう言って全力で煽ってくれるシーンではなくなってるからかもしれない。いま日本でUFCに向かって戦ってるファイターはまるで日本のシーンから離れ海外で知名度をもつバンドみたいな存在を見つめるかのようなものなのかもわからない。 



 試合はそんなドラマティックな部分も、彼らの持ちうる技術も混ざった内容に見えた。序盤、堀口が例のステップワーク・中段蹴りを使用した距離の取り方からの踏み込んでの打撃という基本ライン。そのタイミングを見定めるかのようなジョンソンという構図、お互いの制空権がどこまでなのか確定する前が堀口のチャンスという見解をハードコア格闘技ファンの方の意見で見かけたがやっぱそうかもしれない。

 すげえ地味なところで感激するのはやはりジョンソンはまだ堀口が弱いだろう組みとグラウンドの展開を序盤に仕掛けるのだが、一時倒されるも金網から立ち上がりリセットしてるのにはつい、非カレッジレスリング文脈の日本人選手がけっこうやな組の攻撃から脱出してると感激したりした。UFCで堀口はここまでにものすごく嫌なイアン・マッコールみたいなグラウンドに持ち込む相手と対戦してなかったので序盤でやられたら…なんて最初の悲観的な部分を覆していたのがよかった。

 しかし、ダドソンやバガウティノフといった最軽量級のなかの一点突破の部分で上位までのし上がってきた選手をことごとく削り、封じるMMAの持つ多様な攻撃の選択肢を存分に使うジョンソンの戦型の深さはたやすくそんな感激も掻き消す。グラウンドの伏線を作り、そして時間経過の中で堀口の打撃のタイミングを見切りだす。堀口の踏み込みに合わせたタックル。そこから逃げたとしても、それは堀口の体力を削る。そして堀口の動きと反応を鈍らせる。


 すでに相手がいない状態に…というのはいまやトップスターになったロンダ・ラウジーを指して言われるが、フライ級のジョンソンもまたそんな状況に近い。堀口が飛び級なかたちでの王者挑戦もそういう面が多分にある。一方でこの試合展開の中でかつてなく堀口が戦ったことのないスタイルの相手の前に目に見えて消耗させられるという、極めて静かな勝ち負けが見えていく内容となっていた。後半になればサラベリー(マットヒューズ)ポジションからのパウンドという目を覆いたくなるような展開まで用意される。





 このまま判定で封じられるのか…と思った最後、唐突な結末が来る。試合終了残り数秒というところから高速でジョンソンは体勢を切り替え、腕十字を仕掛け極めた。静かに立ち上がった試合は鮮烈に終わる。


 
 

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人生はつらい ミルコvsゴンザガ

Category: MMA   Tags: ---
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 旧PRIDEのトップスターを撃破しUFCのライジングスターとなりうるはずだった選手が、しかし思うように伸びず、停滞と逡巡のままに引退と言う最も苦いケースがある。

 フォレスト・グリフィンがそうだろう。リアリティショーTUFの存続を決定付けたとも言われているステファン・ボナーとの一戦によりMMAの歴史的なファイトに選ばれ、次代のUFCを担うはずだった。実際PRIDEの王者マウリシオ・ショーグンを撃破した時には、誰もそれを疑うことは無かっただろう。

 だがしかしラシャド・エヴァンスへの敗戦や階級下であるアンデウソンに遊ばれるかのように負け、朗らかな笑顔は消え膠着した表情が常態になった。やがて抜けきらない試合が続くようになり、遂にはショーグンとの再戦に破れてしまう。

 オレがいまのガブリエル・ゴンザガに対して思うのはグリフィンに対して感じたのと同じ感情だ。日本格闘技バブルの化身とすら言える実績を抱え、鳴り物入りでUFCと契約したミルコ。それに対してなんと相手の得意なハイキックをぶちかまし大の字にして沈めたゴンザガは、UFC史上に燦然と輝くKO勝利を手にした。

 しかし近年のゴンザガはミオシッチに判定負け、そしてミトリオンにあっさりとノックアウトされるなど決して伸びやかなキャリアを辿っているわけではなかった。そうした渦中でのミルコ戦の決定は、おそらくは精神的にプレッシャーがかかるものなのは想像できる。

 とはいえミルコが戻ってくるまでに一体誰に勝ってきたのか…オレがここで良く書いてる「いまの選手の大まかな実力を観るならここ1,2年以内の数試合の中で誰にどのような試合内容をしたか」であるが、ミルコのそれが栄光をふたたび手にしたものとは思いにくい。ロシアにて袈裟固めで負け、いまだMMAでの栄光をつかみきれない石井慧に連勝(これもまたリベンジマッチであるのだな)したくらいだ。

 今のミルコに現代MMAに適応しなおしたような閃きや身体動作の閃きは想像し辛い。伝説的な一戦の再戦をメインにした興行価値以上のものはない。ミルコもゴンザガも、驀進し続けるMMAシーンのなかで後塵にいる現実がある。

 現実にお互いの動作に見入る部分はさして多くは無かった。ゴンザガはつらい、こんなの負けられない試合だ。3連敗がかかるうえに一度圧倒的に買った相手、UFCは栄光をひとつ手にした選手でも容赦ない。だからいまだトップなのは当然にせよ、勝ちに行く動きのコンセントレートを保とうとしていただろうゴンザガに放たれる容赦ないエルボーの結末はほんとに人生はつらいみたいなことを思う。

 ミルコはアリスターと闘ったらそれは面白いよね…なんて意見も見かける。でもジャクソンズMMAで毒抜きされた状態で完全に過去の身体の使い方と決別しているアリスターと、エルボーこそ新味があったがまだわからないミルコとではまだアリスターに分がある。ミルコvsゴンザガの試合に勝者はまだいない。

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