オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


ヒョードル復帰が見込めるヘビー級と、五味もペンももう戻ることは難しい中軽量級

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 一度駄目になってしまった選手が環境が変わった中で劇的に復活したり、または引退していたはずの人間が突如として現役復帰して活躍するなんて、フィクションみたいなプロセス。これがここのところのMMAのヘビー級にて少なくなく起きている。

 ふつう厳しい結果が当たり前である格闘技の世界で、それが起こるのはあまりに珍しいはずだ。もしかしたら奇跡的な物語として語り継いでしまうかもしれない。だが、今MMAのヘビー級で起きているそれにドラマティックな美しさを見取ることは、意外なほどにない。むしろ前回でも思ったみたいに「奇妙だ」という実感ばかりが残る。

 そこにはライトヘビー以下の階級の選手が昨今の競技能力の変化に伴う階級変更が頻繁に行われ、結果ハードな競争にさらされるのに対してヘビー級の選手層が一向に変化しないというのも関係ありそうだ。

 OMASUKI FIGHTさんも書いていたけど、現行のヘビー級トップの高齢化なんて最たるものな気がする。どうあれトップのベラスケスとJDS、ミオシッチはあまり他の階級でも珍しくはないくらいの30代前半ということでいいと思うけど、以下がやっぱおかしい。アルロフスキーやオーフレイム、そしてハントのここ5年来の失墜と復活は素晴らしいことには違いない。そして希少なことも間違いないだろう。

 しかしバンタム級で25歳のアルジャメイン・スターリングが水垣を一掃してしまったくらいの状況に比べれば、まるで新鋭が続かない状況なのは確かだ。むしろ中軽量級で、停滞や下降傾向の印象あったとこから王者挑戦圏内にまで上昇した意味ではドナルド・セラーニがそうかもしれない。全然ドラマチックなくらいのふり幅ではないけど…

 ヒョードルの復帰をオレは劇的だとは思わない。(復帰先がUFCではないけど)ヘビー級の現状がこうして停滞しているため、もしかしたら参入可能になっていること、そしてもしかしたら同時に噂されているPRIDE榊原の興行復活の際の目玉になるだろうことなどの思惑が絡みあっているだろうことが予想される。すでにいくつかのニュースサイトで言われているようにヒョードルがここ数年のオフを経てコンディションが戻り、今のMMAで勝ち抜くためのトレーニングキャンプを経たなら一定の結果は期待できるだろう。

 しかしそこには、選手層と競技能力の加速に伴い復活がより容易くなくなっている中軽量級の現実の持つ苦さに比べればドラマティックどころか、真逆の打算的な印象を見る。現実にヒョードルが復帰するのかPRIDEもまた蘇るのか知らない。だが今の神の階級ヘビー級はドラマティックさが、いかに空虚なものなのかを感じさせる。

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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

2度目は無い ディラショーvsバラオンⅡ、それから五味の連敗

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五味隆典vsジョー・ローゾン

 いまやランカーと別なレジェンド枠の位置にあると見ていい五味。フィニッシュを一直線に目指したリスキーな攻めが魅力あるローゾンとのマッチアップ。往年のような魅力ある試合が求められていたにも関わらず、現実は厳しすぎる。エドガーvsBJペンⅢくらい、前線にいる人間とレジェンドに行った人間の差を感じる内容。


 あまりにもテイクダウンされてからのあっけないフィニッシュに「五味は寝技がどうなっているんだ…」の声がtwitterで飛び交っていたのだが、もうそういう一元的なレベルじゃない。トータルなMMA技術が下降傾向にあるとしか見えない。そもそも勝負だったろうスタンドの段階でリーチ差のあるローゾンから左ジャブを少なくなく受けており、フィニッシュに繋がるテイクダウンもまさに左ジャブがヒットし怯んだところにタックルに入られるという連携。既に五味のスタンドの入り方は研究されつくしており、ケンフロ戦の味わいない負けを思い出した。

 もう寝技どうこうのレベルじゃない。この前のマクレガーvsメンデスを思い出しても多くの不利を予想されてたマクレガーが、どうあれマットヒューズポジションにまでメンデスに取られながらも脱出していたのを思い出すにこの結果に関してはもしかしたらモチベーションの低下だとかトレーニングキャンプであるとか、総合して厳しい。


 さらに問題はである、レフェリーハーブ・ディーンの判断はいよいよ謎を増しており、選手が失神しているにもかかわらず試合続行。さっき例に出したマクレガーvsメンデスも奇しくもディーンなのだが、もはやこいつの目的がなんなのか一切理解不能の領域にあり、ただ一つ何らかの興行的に続させようとする何かがあるのだろうかと思わされるのだった。

ディラショーvsバラオンⅡ

 二人とも初戦にあったような鮮烈なステップワークであるとか、ノヴァ・ユニオンのトップゆえのタイトなムエタイ&柔術スタンスの緊張感が奇妙になくなっているのが気にかかる。ここのところのノヴァ・ユニオンのトップ、アルドの怪我であるとか、去年の話だがバラオンも減量ミスによる欠場をしていたことを思い出すとあまり良い現状ではないのかもしれない。ディラショーも「これでいいんや」みたいになってしまうのも、あまりよろしくないし。

 アルドは大丈夫だろうか?UFC軽量級は間違いなく質や選手層合わせてMMAの競技能力を前進させているに違いないのだが、肝心の興行を牽引するスターが少ない。コナー・マクレガーはちょうどそんなMMA軽量級の興行と競技のネックのところに台頭してきた。マクレガーvsアルドは思った以上に、もっとも競技論で観ることのできるだろう階級にて競技論が度外視されるような状況にあるような気がしてきた。

「巌流島」アンチスポーツの揺り戻しの周期

Category: プロ格闘技   Tags: ---
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 谷川貞治の業界復帰として名高い巌流島。しかし開催第2回にしてフジテレビNEXTが放映を中止、危ういイベントの印象を強めている。噂されているヒョードルの復帰と、榊原の復帰によって示唆されるPRIDEの復活と関係があるとも言われている。真相は定かではない。

 ただ巌流島を流し見していて思うのは別の事だ。定期的に現れる新興格闘技を考案することで暗にスポーツ化に対してカウンターみたいになっていることで、おそらく興行格闘技の歴史上定期的に現れる。これはなんだろうな?

 格闘技が新たなジャンルとして切り開こうとしていき、やがて厳密なルールや競技環境を整えたスポーツになろうとしていく。UFCの歴史はそうだ。日本においては、修斗がそうだろう。

 だが、修斗に関して一定の競技化を実現した創始者の佐山聡はその後に自らの思想を体現する掣圏真陰流をスタート、路上で本当に通用する、武士道といったそれぞれが混ざり合うものらしい。(ここまではどういう経緯で佐山聡が修斗から離れたのかという細かい事情は分かんないで書いてる)MMAという確かな視座が出来上がったなかで観るそれを、禍々しいといってしまうのは間違っているだろうか?

 
 もともと人の潰し合いを見世物にしているんだから原点に戻っている…ともつかないところがまた、この手の揺り戻しのおっかないところだ。暗に武道だとか創設者の思想的なところが混ざりこんでいくのだ。当初のUFCみたいに鼻からグレイシーが勝つためのモンドな興行として幕を開けた、と見えるのだが、これも水面下ではグレイシー柔術という思想の拡大のそれはかなり入ってたりする。

 単なる喧嘩の見世物じゃない名目で作られる、武道の思想も混ざったそれは空道で完結してると思いたいのだが、現実はそうはならずに定期的にスポーツ化が進む現実をはねのけようとするモンドな大会が誕生する。


 「巌流島」におもうことはそれだ。ただ唯一異なるのは谷川貞治に最初から武道思想みたいな建前がまずないことだろう。しかし、肩で切れた胴衣を着て闘う選手たちという絵図、場外アウトありの舞台とやっぱこれは骨法から掣圏真陰流などなどに連なるモンド武道のフォームにものすごく近い。


 ちょっとした皮肉とも感じる。そういえば武道を標榜する掣圏真陰流だとか往年の骨法などは試合会場にロープなどが設定されてなくて場外の概念がある。いやいや、とりあえずアマチュアスポーツとして確立されてる柔道なんかもあれもまた武道の名目なのか基本場外のあるものだ。ところが興行からスタートしたプロ格闘技は相手を逃がさないようにし潰しあわせるという構図なのでロープ、それから金網という舞台になっている。

 現実では競技化の進んだボクシングでもキックでも、そしてMMAでもバイオレントそのもな構図であるにも関わらず、ずっとスムーズに見れている。だがスポーツ化した格闘技に対する代案が場外ありの、数々の武道思想ベースなそれなので可笑しい。武道にだけあってスポーツにないものはない…というのは中井祐樹氏の至言なのだけど、もしかしてスポーツに対して武道、それから実戦といったそれぞれが対置されがちなのもジャンルの出自のせいなのかもしれない。

 モンド格闘技やモンド武道が定期的に現れるのは、プロ格闘技のスポーツ化というただでさえ矛盾が孕み続けているもの(単純に判定問題を思い返してみてもそう)をなんとか止揚していく厳しい現実に対してのにきびみたいなもので、現実から零れ落ちたそれらでおおよそ出来上がっている。田村潔司が進行している現実から零れ落ちた側に入ってしまったというのはむなしいことだ。


 なんて、こんな議論もきっと20年からそんな前、インターネットを繋ぐときのダイヤルアップの独特の音がなっていた時代から散々やりつくされたんだろうなとも同時に思ったよ。そして巌流島はスキャンダラスな放映中止も含めて、すべて終わった時代の繰り返しだよ。

  

テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

ローリーマクドナルドの停滞は堪える GSPで遅延されていたそれを見せつけられるから

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ロビーローラーVSローリーマクドナルド

 ウェルター級チャンピオンシップがどんな相手も完璧に封じ込めてしまうエレガンスな時代が終わりもうそろそろ2年になろうとしている。レスリング文脈によるジョニヘンとのチャンピオンシップの、GSPはもう限界なのかどうかといった実質的な勝敗や結末の見えなかったゾワゾワする試合結果は未だ心の襞に引っかかる。

 次代のGSPと言われたローリーマクドナルド。成人する以前からMMAがMMAとして成立している時代にプロになったネイティブの選手。それゆえ素晴らしいスタンドからグラウンドの繋ぎのパフォーマンスなど、その才気は少なくないオーディエンスが期待していた。しかし頂点ギリギリのところで思った以上に期待通りにはいかない結果となってしまっている。

 ロビーローラーとローリーマクドナルドの構図は、レスリングベースを抜いたGSPとジョニヘンの構図とほとんど一緒だ。神経質いや神経症とも言えるコンプリートファイターと高いフィジカルを持つパワーファイター、エリートと雑草(雑草て…)なんて対照なんだけど、今回の2回の試合によってGSPとジョニヘンの試合によって先延ばしにされていたはずの結末が生々しく目の前に現れる。




 レスリング比重が薄い二人の喧嘩四つでの対峙、それはどちらかが制空権を取りどちらかが完封させてしまうそれではなかった。ボクシングにおいて優れた選手がラウンドを重ねた後に相手の手を完封したのちに、フィニッシュにたどり着くといった試合ではない。コンプリートファイターが完封する、パワーファイターが一撃で潰すというそれじゃあなかった。


 端的にいって静かな潰し合いだ。想像以上にマクドナルドはローラーを止められないし、ローラーの打撃はマクドナルドに当たり、静かに蝕んでいく。それは良くも悪くも予想外である。マクドナルドの完封とフィニッシュが中盤に訪れかけ、ローラーとの初戦みたいな「まさかのフィジカルで完成度の高いのがやられちゃうなんてことは」という気分がなかったものになってくれるかと思った。しかし、ローラーはしのぎ、ここまでにマクドナルドを蝕んでいたダメージを貫き、鼻を骨折させてノックアウトさせたのだった。


 この結果は意外に堪える。結局GSPの決定打的な敗戦ってのは無かった。あの神経症的な完璧さの中で自ら引っ込んでいってしまった印象があった。それは しかしGSPの後を継ぐと言われたマクドナルドのこの完全に壊される形での負けは、GSPが(マット・セラの敗戦以来)決して見せなかった、いや徐々に近づきつつあった崩壊が目の前に提示されてるようで、それが堪えた。二人ともコンプリートファイターという裏で、観ていて精神的な部分でキリキリさせられる印象があった。

 往年のウェルター級チャンピオンシップが思った以上に完璧や完封を意味する以上に神経症的なそれをオレは見取ってもいたのかもしれない。ウェルターがジョニヘンとローラーのようなフィジカルの強さで圧倒すると言う、この階級特有の完成度とパワーの揺れゆえの現実は未だ慣れない。ローラーのパフォーマンスは素晴らしかった。でもGSPが最後まで遅延させていたぎりぎりの神経症のようなスタンスが目の前で壊されるみたいな、なにか現実に人格ごと壊されるような印象が残る結末だった。


 

コナー・マクレガーのポーカー

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コナー・マクレガーvsチャド・メンデス


 時折、時代の流れは選手の競技能力であるとか相性であるとかを覆してしまうような試合が起きる。ジョン・ジョーンズがどうしようもないスキャンダルで王者剥奪、アンデウソンはPED使用発覚などなどかつてのスターが軒並み潰えているなか、わずかにロンダラウジーが活躍している現状で気を吐いているのがアイルランドのコナー・マクレガー。

 鮮烈な勝利を重ね、ジョセ・アルド戦に到達した時には流れは猛然として強さを増した。マクレガーは王者を挑発する。恐れを知らないプロセスはまるでテーブルに限界までチップをレイズしていくみたいだ。そしてアルドとマクレガーを比べて不安になるのだ。アルドはレスラーからグラップラーの数々を撃破し隙はない手札を抱えている。対してマクレガーは勝負に勝ちチップを得てはいる。だがその手札の役は手練手管のレスラーやグラップラーを仕留めるような高い役が揃っているとは見えない。軽やかに対面の席のアルドを挑発するマクレガー、しかしその手に握るトランプカードはツーペア程度、もしかしたらブタかもわからない。現実にUFCはアンデウソンとソネンと言う歴史的なポーカーを通過しており手札が公開される残酷な展開を見せている。


 膨大なチップが積み上がったテーブルの行き先を見守るオーディエンスをよそに、アルドはアバラを故障しそのゲームを降りる。代わりに、マクレガーの相手に上がったのはなんとチャド・メンデス。マクレガーに相性が悪いとされている相手、しかもテーブルに積み上がったチップは引っ込められないのが興行格闘技の恐ろしい所だ。


 もしこれがとくに前後のつながりの無い、暫定チャンピオンシップでもなく、ましてや2週間前に変更になったなんてことのないワンマッチであったとしたならばマクレガーもメンデスも冷静な試合運びであったのではと思う。そこではマクレガーのタイトなスタンドでの身の運び、アルファメールで向上著しいだろうステップからの打撃やタックルを仕掛けるメンデスという構図。しかしことはお互いの手札の役を競わせるということで決まるものではなくなっている。


 ポーカーの場であるならば相手がどんな手札を持っていようが、最終的に相手を降りさせ、チップを奪ってしまえばいい。そこには単純なお互いの手札をぶつけ合う部分を超え、かつてない流れを背に受けたマクレガーが凄まじいブラフやハッタリを放ち、メンデスが心理戦の様相を示しているかのようだ。





 前日計量から試合開始ブザーのなる直前までマクレガーはメンデスを挑発し、なんと冒頭ではメンデスに対しキックを放ったのだ。キャッチされれば即テイクダウンを喰らうあまりにも危険な一手からぶちかまし、案の定倒される。


 レスリングの能力の高いメンデスがポイントを奪いタイムアウトする展開、これは少なくないオーディエンスが予想していた展開だ。だがもう普通のゲームではない。テーブルに膨大なチップがマクレガー側に置かれていないワンマッチならもしかしたらかもわからない。マクレガーはポィエーやシヴァーを鮮やかに打ち倒した伸びのいい打撃とは異なる、いささか荒く走った打撃だし、メンデスは冷静さを欠いているかに見える。


 限界までチップが積まれオーディエンスが見守る磁場、浅い競技分析は容易く覆されるしそれこそドミニク・クルーズくらい見識無ければ試合がどう転ぶかは全く分からなかった。当然二週間前に決定したとはいえふたりともタイトなパフォーマンスとは別の、鉄火場の空気ゆえに揺れているかのようだ。
 

 マクレガーがメンデスを打ち倒した時は膨大なチップがテーブルから動いていく様が見えるかのようだった。ストップが遅いことで有名だったはずのレフェリー・ハーブディーンがかつてなく早く止めているのもついついテーブル上の膨大なチップには、PPVやゲート収入を売り上げたい主催者側のもかなり混じっていることを思い起こしたりするのだが、現実にはあまり起こり得ない鉄火場の勝利だ、見なかったことにしつつ、大量に入ったチップが次のゲームに向けて動くのを眺めてる。アルド、そしてエドガー。そして途中からポーカーの例えはでたらめでじつはあまりよくわかってないということも見なかったことにしてほしい。そんなのばっかだ。



 

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