オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


LINEAL CHAMPION(正当たる王者の系譜)・観客たちが歴史の糸を手繰り寄せて見立てる「王者」

Category: P・M・BOXING   Tags: プロレス  ボクシング  MMA  権威  王者  
窓
「 ようは、世界王座かどうか、正規な世界チャンピオンかどうかは、現在の
ような時代では、ファン各自で判断するようなものになったのではないだろうか?
と思うのです。

>誰もが認める強敵を
>破ったボクサーこそ最強、ということなんじゃない?

407さんのおっしゃていることが正論だと思います。
この考えで王座の系譜をまとめている専門家は世界に多いです。
というか、正確には、正当な資格を持つ王者(もしくは選手)を敗った者が正当なる“王者”という意味です。
これは、”LINEAL CHAMPION”といいます。」

 現代ボクシングの歴史と構図を解説した「IBFとWBOどうする?」の407~410より

 ちょっと前の「パッキャオと亀田」王者権威を巡る現代のジレンマの続編。今回はこの「最強を証明する王者権威が飽和した中での、正当たる王者の系譜。または、プロレス・K-1・MMAなど正当たるジャンルを牽引するスターの系譜」ということの見立ての章。 




 というわけで、冒頭の参考資料として引用した2ちゃんの過去ログとはいえ、凄まじい知識量による現代ボクシングの状況と歴史、2003年当時のK-1がボクシング側から見ていかに優れていたのか?ということも言及され、最終的に「格闘技と興行」というジレンマの部分にさえ到達している、最近漁った資料の中ではこれは必見だと思ってた中で(特に新興格闘技の競技化、というタームでこのプロボクシング史を振り返ることは非常に重要だろう、繰り返すが格闘技の競技化ファンは必見。)、読み返してみて非常に心に引っ掛かったこの「LINEAL CHAMPION」という概念は、現代格闘技のパースペクティブを見取ろうとする意味で示唆に富んでいる。

 何故なら、前回の「パッキャオと亀田」の時にも書いたように現在はやはり「最強」だとか「チャンピオンの権威」だとかの意味が解体もしくは飽和しつつあり、プロ興行格闘技の最古の伝統あるボクシングに至ってさえ、団体分裂や複数階級の出現、様々な形で現れる有象無象の王者たちの前に、真に栄誉ある王者というのは識者が歴史から逆算して見立てることで判断しないとならない状況である、という点が、ザックリと見てしまえばもはやどのプロ格闘技(※)であろうが「最強」だとか「王者」だとかの権威というものが見え辛くなっており、自分は「こうした問題を凝縮し超克したものこそスター」みたいにパッキャオと亀田を前回判定したわけだけど、この歴史的な意味での「正当な王者の系譜」という意味でパッキャオは現代ボクシングにて識者は大きく評価しているようなのだ。

 Lineal championship「正当な系譜のチャンピオンシップ」(ウィキ英語版より)

 プロボクシングの、階級の正当な系譜にあるチャンピオンシップが目的の世界チャンピオンシップのタイトルです。ボクサーのそれぞれの階級で最高と評価されたことのある時点で授与されることが始まりです。他のボクサーはリング上の試合にて、正当な系譜の王者を破ることで、そのチャンピオンシップを獲得することができます。正当な系譜の王者は"決闘を制した男"として記述されています。
 現在のチャンピオンが引退するか、別の階級に移動したりなどの合意した判断基準がないため、すべての階級で正当な系譜の王者を記した正規のリストは存在しません。

 <<歴史>>

 このコンセプトは、特にそのトップランクの候補と戦うのを拒否するチャンピオンというのを外すために、異なるチャンピオンの存在を認める、様々な団体(WBA、WBC、IBFなどなど)のそれぞれの傾向に不満を持つボクシングファンによって開発されました。
 1970年代の前に、こうした事態のほとんどが起きており、国立ボクシングの前協会(NBA)、ニューヨーク州アスレチック委員会は(NYSAC)時々、異なるチャンピオンの成立を認めていましたが、他を破った一王者だけ短い間隔で通常試合が行われるものでした。

 "正当な系譜のチャンピオンシップ"とはその時代に回帰するものとして意図されています。何人かのトップボクサーが個人的な業績、または目標として正当な系譜のチャンピオンシップを認められています。


 <<実績>>
 マニー・パッキャオはCyber BoxingZoneとBoxingScene.com(いずれも海外老舖ボクシングサイトによる評価)によって4つの別の階級(フェザー級、ジュニアライト級、フライ級、ジュニアウェルター級)の直系の大会とクレジットされている唯一のボクサーです。これはESPN、CNN Sports Illustratedと行われてきた試合によって報告されています。また、パッキャオは、3つの異なる階級(フェザー級、ジュニア軽量、ジュニアウェルター級)の3つのリングタイトルを保持しています。
(※翻訳ツール頼り&超訳多しのためミス御容赦を。)  



 もはや多数の王者が正規に存在を認められている現状では、真に正当な王者の系譜というのはこうして「強いものが強いものを倒す」という歴史を逆算していって見立てられるもののようで、マニー・パッキャオというのはそういう意味で歴史的に特筆すべきである、という評価であり、ボクシングという伝統と歴史と、そしてその根底にある競技発生の出自からその特性まで含めて、「正当」を見立てるにしても非常にシンプルな判定基準である。


 ここでこの「正当な王者の系譜」の見立てかたというのを、例えば他のプロ格闘技に転用して考えた場合なんかはどういった判定になるのか?というと、例えばK-1、まず基本、K-1は王者の価値を研鑽していくためのチャンピオンシップが元ではないし、ワンデイトーナメントで頂点を決める、ということだがプロテニスやサッカーのように厳密な組織によるランキング制度が実地されているわけではなく、やはり様々な選手のキャラクターによるドラマの発生みたいな部分を目的としており、どちらかというと実力に加えてドラマを盛り上げるスター性を持つパーソナリティを持つ人間の存在が重要なのだろう。極端な話、王者というのは結果に過ぎないのではないか?という。
 

 そしてこれが厄介極まりないのがMMA。まずこの競技、正当な起源自体を設定すること自体が困難ではあり、MMAを作りだしたのは自分だとかいう人間も数限りなくいそうに思えるが、とりあえず世界史的に考えればUFCの起源としてグレイシー一族の土壌であったブラジルのルタ・リーブリが一番でかいってことにはなんのかな、と。

 でも、ここ日本においてのMMAの正史とされているのは猪木異種格闘技⇒前田UWF⇒高田ヒクソンから「PRIDE」みたいな流れで、しかも全盛期時の解体直前なんかはむしろこうしたプロレスの尻尾の過去の歴史とかは完全に「最強を決める場」「最強を決めるルール」「熱狂できる「この選手とこの選手が闘う理由」を描いた試合前に流される物語」という黙殺で迎えており、崩壊後の現在も未だ歴史は振り返らないまま。というか。

 そういう風に見れば世界で最もヴァーリトゥードに近いルールでやってたPRIDEを買収したUFCにて、ミドル級戦線の王者にブラジルのムエタイと柔術を駆使するアンデウソン・シウバが長らく居座っていたりするあたり、歴史的に実は一番正当で収まりのいいところにあるというか。MMAの場合、”CHAMPION”でも”STAR”でもなくそもそもの”LINEAL HISTORY”を探ること自体が困難なのであった。

 ここ日本においてはまさしく「正当な系譜の歴史」それ自体がプロレス・ボクシング・キック・相撲・MMAともに喪失しかけている段階にあるように思え、とりあえず自分はまぜこぜになったところから歴史を逆算していって正当な系譜を探りなおしていこう、なんて思うのだった。

 (※一応書いとくと「プロ」格闘技では。柔道やレスリングのようにオリンピックを頂点とするような競技の栄光や権威とはまた別。が、ここのアマスポーツの組織・体制化された栄光と権威の意味と、プロ興行の演出したい栄光と権威はまた別の話であるし、また広い意味での格闘技においてプロ興行とアマスポーツの意味というのはこれまた他スポーツのプロ・アマの意味以上に深い乖離が存在しているのも事実だ。「プロ興行格闘技の競技化」というのはこうしたパラドキシカルな問題を暗に含んでいる。

 とか書きながら、ここで日本プロ格闘技の最古のものである大相撲に関してが抜けてたのであわてて書き足すが、このジャンルに関してはそういや「横綱の権威」というのは国ぐるみで団体を保護してるゆえかろうじて守られているとも言える。が、2000年代後期ごろからの朝青龍の横綱の品格がどうのとか相撲部屋の新弟子の事件や野球賭博と社会的な綻びから団体自体の権威の下落というに出くわしたことが現在というか。個人的に最近の八百長発覚というのは積もり積もったものが落ちるきっかけにすぎなかったという判定だ。)

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