オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


ファブリシオ・ヴェウドゥムの苦笑

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: MMA  柔術    
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(前置き)ブレット・ロジャースというのはヒョードル敗戦後スランプに陥ったアルロフスキーに秒殺勝利を上げて以来、UFCに移籍しなかった旧PRIDEヘビー級勢のイメージもしくは商品価値がどれだけ崩れていないのかを測る物差しとして機能している。ストライクフォースを真に救っているのは・・・
<<アリスターVSヴェウドゥム&デミアン・マイアVSマーク・ムニョス 見立ての観戦記録>>

あと、同日開催された<<ショウタイムでドラゴに勝ったロクエニはすげえ、必見>>の欧州米国興行の2本立てでお送りしまーす。




<<気狂いピエロ・メインテーマ>>


 MMAが本格的に新ジャンルとして生まれていくその原点の一つといっていい、最初期UFCでのグレイシー一族のプロモーションであり、そして「実戦ではこれが通用する」とか「立ち技だとかプロレスだとかで最強を標榜していても、実戦で闘う場合にはこうしたポジショニングが重要なのだ」などなどの最初期MMAの最重要メソッドとして大いに研究され、大いに広まった東洋武術が南米にて希釈されなおした、ロジカルでミステリアスな「ブラジリアン柔術」の、その現在の効用とはいかほどのものか?

 現在あらゆる格闘技術が融合し水平化しつつあるまっただ中である中で、最初期最大のエポックであった柔術に的を絞ってみていくってのも今更な話ではあるが、デミアン・マイアやファブリシオ・ヴェウドゥムらのように現代MMAの中でそれを主軸にしている選手らが、ここんところでは最もその辺の現在を示しているように思ったのだった。



 現代のMMAの中でのエポックを感じるのはやっぱ全ての格闘技術を咀嚼し水平化した結果、ものすごく人造的になって同時にそれがものすごくエレガンスでポップにしているということが北米におけるポップと重なっていくGSPであって、その対応関係にある南米・黒人のアンデウソンやジョーンズとの、競技力はもちろん肉体性や出自も込みのアメリカの歴史的な相克というのがUFCの現実を加速させ、日本人が咀嚼できる限界を遠ざけていっているこの二つの対立の傘下にあるかに見える現状、当の昔に柔術MMAというのはかなり分化してしまっているように思える。

 むしろアメリカカレッジレスリングの王者などがプロ格闘家を目指す先としてMMAを志向している選手や現在のUFCで戦略的にも判定基準としても評価される現在は、レスリングのラインの方に強く接触している。なんて見える中で、デミアン・マイアVSマーク・ムニョスというのはMMAの旧トレンドど現トレンドの対戦だったように見え、そして試合内容でのポイントになったのが次のトレンドとして用意されているだろう打撃技術の差という感じで、マイアは実は岡見勇信のような打撃技術の攻防を習得していれば、比較的一発狙いのある打撃のムニョスを制することができたんじゃないのか?という風に見えたことも含めての、現トレンドとしてレスリングが優位にあり、MMAの基礎構造という部分以上の意味が薄く見える旧トレンドにある柔術の現在地なんて思った。


 そういうUFCの速度に対しての、少し昔のPRIDE・K-1の格闘技バブル時代の気配を持つ、今日本人が最も咀嚼しやすい海外格闘技興行だろうストライクフォースにて行われたアリスターVSヴェウドゥムは、これがまた見事までの、懐かしの異種格闘技戦の場としてのMMAという感じの試合になっていて、しかもそれがブーイングによって迎えられてる光景がそれを一世代前として決定付けてるという。

 これが日本の大晦日で実現されてたらけっこージャストだったよなーこの組み合わせ。懐かしのK-1VSPRIDE。「疑惑ありのマッスルとフィジカルによる、K-1も飲み込んだ嵐のような打撃かッ!?氷の皇帝を極めた進化した柔術かッ!?PRIDE崩壊後に進化した二人が今まさに歴史を飲みこんで再び相対するッ」みたいに、何もしていないのだが存在感のあるネルフの総帥の声で脳内で煽らせながら見ていた。

 組みに行くための捨てパンチはどうかと思い、またそれを迎撃するカウンターってのは実は的絞りにくいし組みを防がなきゃいかんしで難しいのか?などと思い、クリンチアッパーや首相撲からの膝を放つヴェウドゥムに前回の前回DREAMの青木真也を思い出したりした。

 タックルを切られグランドの尻もちをついた状態から「来いよ」と誘うその光景はここ日本においては10数年前の桜庭のローキックの連発によってとっくに忘却の彼方にされたものかと思いきや、ストライクフォースの生む近代のMMAの光景にはよく馴染んでいた。

 現代における柔術というのは、MMAの必須基礎技術を越えて、メンデス兄弟を代表的に独立した超技術を競い合う場となっているのだろうか?なんて思った。実際この前ブラジル最大手の柔術大会ムンジアルが開かれていたが、あの中で上位にいる人間で何人がこれからのMMAに参入していこうなんて考えているのだろうか?とも思った。

 そして、このストライクフォースのヘビー級のレトロ感を保持させるのに最も強く働いていたのはヒョードルでもアリスターでもなく、冒頭でも触れたようにブレット・ロジャースのおかげだろう。このヘビー級トーナメントの価値を成立させた本当の立役者。Uインターで北尾に敗北することでうまく高田に繋いだり、伸び盛りにある若手を推すために機能していた山崎一夫選手と同じくらい、ジョシュ・バーネットのファンはロジャースに感謝しろ!
 とか思ってしまうくらい、この選手が現在のMMAの中で旧PRIDE勢の価値を保持させたという意味で果たした役割は大きく、アルロフを秒殺した価値のままにヒョードルを追い詰めかけて一発KOされたり、その後のアリスター戦で完敗し、ヒョードルVSアリスター戦を夢想させる。選手のコマがなく、興行としてのフック作りとしてこの選手が果たした役割の大きさは計り知れない。SFヘビー級トーナメントはロジャースが作り上げたと言っても過言じゃないだろう。


 そんなことを思いながら見ていたストライクフォースヘビーの中で、アントニオ・シウバが観戦している映像がたびたび挿入された。ヒョードルを越えたというバイアスがかかっているせいか、奇妙な貫禄さえ漂わせており、その姿はアントニオ猪木とジャイアント馬場をブラジルにて柔術風味で融合させた姿のようにさえ思えた。猪木も馬場も、力道山時代にはボコボコで時に「しょっぱい」とさえ言われていた時代があったというが、伝説的な試合や興行を越えていくことによって現在のような価値をと変化していった。という歴史を追体験させるかのような貫禄。彼が優勝だろう。


<<同日・ショウタイムにて>>

 アブラハム・ロクエニというのはこれは「キック・K-1WIKI」様のこの記事思い出した

 ボクシング技術がかなりキックの中で消化されており、ダッキングやサークリングの動作、ガードの隙を突くボディやアッパーなどなど、ドラゴがパンチ主体で引き出しがそんなにないのもあるのだろうが、これはサワーを破ったのはフロックなんじゃねえんだなと思わされた。もうドラゴが三世代前くらいに見えるくらいで、KO狙うようにしてくれればもっとよくなるというか。なんか前の記事で選手層の薄化によって競技力が停滞するってことはこれはそんなにないのかもしれねえな~と。アルバート・クラウス戦かキシェンコ戦が観たいなあとか海外キックファンみたいに思うのだった。

 カリム・ベノーイはこれは早いキャリアで去年のペトロシアンにおけるザンビディスに当たってしまったように見えた。雑な感想だしファヴィエル・ヘルナンデスはザンビとはまた別のファイトスタイルではあるし、一概には言えないが、ベノーイはまた強くなるだろうなとか思った。 


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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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