オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


2011年上半期の総括(後篇)・サードワールド化の中で「仁義なき戦い」の時代に入った日本格闘技

Category: ウェブ線上の批評   Tags: サードワールド格闘技    
蛍光の図案

 とりあえずK-1・MMAの動向が中心にあると、FEGを代表とした凋落や混乱ばかりが目立つかもしれないが、驚くことにその周辺、大元となってる相撲からボクシングのJBC、さらには日本老舖格闘技団体である修斗までもが、団体もしくは協会の分裂の可能性すら匂わせる内紛が起きているという、日本格闘技団体の負の直列現象が起きているというスゲエことになりながら今年を折り返す、という、マジでこれが底値であってくれよと願う。
 
 そして、この時代の中での、「リングス再興」と発言した前田日明が、「ジ・アウトサイダー」が示唆するものとは。日本格闘技の上半期を振り返るエントリ。


<<フロイドと夜桜>>


<<日本の3月11日のシンクロニティ・SRCの終結と紙プロ休刊・実質的な2007年PRIDE崩壊後の時代の区切り・そして日本メジャーMMAの意味の喪失>>

  と、書いた先から何だが<<2007年PRIDE崩壊後の時代の区切り>>とかって言い方、共有されにくそうだが「やれんのか!」以降の、とりあえずメジャー団体ということでのDREAM・戦極SRCの二極に分かれていた時代というのが、こうして大元のドンキホーテ側と主催側の判断によってSRCを終結させることが明らかになった中で、まったく可視化(時代の流れを凝縮したある試合によって、ある興行によって時代の始まりや終わりを示すような)されない形で終結したのだと思った。いや、少なくとも「終わり」を可視化したものはあったか。GONKAKU・高島学氏のインタビューへの公の批判文だ。

 もう今更なんだけど、アフターPRIDE時代の中での戦極・SRC・ドンキホーテというのは正直、かなり謎だった。というのも、ここは当ブログの文脈による意味の「事件性」ということを持ちだして恐縮だが 、この3年間の日本格闘技シーンの中で起きた事件ということで、筆頭格に上がるだろう2009年大晦日の「青木VS廣田」であって、あの不快感が強烈に増幅される要因としてその年末にて石井慧のデビュー戦を放映するテレビ局をつけられなかったとかなんとかで、当時の代表だった国保氏が代表を降りてなし崩し的にDREAMと合同で大晦日を迎えることになった、という背景のキナ臭さが関係しているには違いないが、しかし今もそのあたりのSRC・ドンキがどういう形で組み、ああした事件に繋がったのか?はうまく見えてこない。

 少なくとも、今年3月11日よりPRIDE後の時代というのが終わった、というのが自分の感覚であって、そしてまずその区切りの直後の光景として「DREAM FIGHT FOR JAPAN」は意味があると思う。その心は「格闘技におけるメジャーの崩壊」ということであって、いまなおミクロな問題として話が続いている、件の判定の問題などは、あれは元々日本のファンが一番味わいやすくするための処置であるわけで、こうして規模が落ちるに落ちてほとんどが目の肥えているマニアが主要な客となっており、新規のファンや地上波で放映された場合の一般視聴者を引きつける意味を為していない結果生まれた違和感なのだと思っている。この判定の違和感それ自体がメジャーという意味が喪失したという証左だろう。

 そして、もう自分なんかかなり忘却の彼方になっていた、戦極の切り札であったはずだった石井慧選手。MMA転向発表直後の信じがたいくらいの漠然とした期待の掛けられ方と、その後の迷走。誰だったか「救世主のいない世界は不幸だが、救世主を必要とする世界はさらに不幸だ」という格言が真実であることを証明してしまったように思うのだった・・・(余談だが、プロレスにおいての中邑真輔選手も)。

<<ネット動画の中の大相撲とK-1に映る、日本格闘技最大の長所である「場」の亀裂・または崩壊>>

 しかし、やはり個人的には相撲がついに「八百長」という領域が公にされて、NHKの放送が降りて「技量審査場所」という形でニコニコ動画にて中継となり、そして八百長が発覚した力士をトカゲの尻尾切りのように首、という野球賭博とかああいう時とまた話が違うのにこんな対応。という、ガッカリさせられる対応は相変わらず。

 とはいえ、正直なところ、数日見て見たのだがニコニコ動画内で行われていく取り組みというのは見に来ている観客から流れてくるコメントの内容なんかは実に平和で、件のフレーズ「強く当たって、後は流れで」みたいなコメントとかもそりゃ流れるんだけど(笑)後味悪くなって発言者見つけ出してやっちまうか?くらいイライラすることが全くなく、さらにいつものNHK放送だと端折られがちな様々な儀式も生放送されているのを見てやけに新鮮な気持ちになり、そしてその光景から「ああやっぱ日本格闘技の全ての源流にあるのはこうした神事というか、イベントというものを形成する場の力なんだな」と強く思うに至り、無論これは副次的な「ネット中継の利点」なんだけど、全ての格闘技興行というものが意識的にせよ無意識的にせよ孕んでいる要素を目の当たりにした思いにもなったりした。ある意味、一つの興行の「場」全体をこうして放送する枠としてネット中継は、プロモーションと別に、質的な意味はあると思う。

 ネット中継の中の白鵬はどんどん孤独に深化していっているように見え、朝青龍以後のこの相撲というジャンル自体の孤独も背負ってるかに見えた。

 対照的に、K-1MAXのネット中継、これはさっきのDREAMに見られた「メジャーの意味喪失」と繋がっているのだが、こちらは最近の記事でも言及したように、特にそのメジャーとしての措置が地上波コンテンツとしての作りに合致させようとしていただけに切実だったと思う。イベントとしての「場」を成り立たせにくい状態もまた、それが書いたように、シャレにならん疑似的なムエタイ的光景に近付けているように見えた。

 金もかけていないのに罵りあい、罵倒の言葉の舞う動画。全て判定試合であり、KOしに行くという意思も見取りにくい試合。高校生の天才と呼ばれながら、壮絶なKOを一月前に追った選手を上げて興行にする。日本K-1が、興行のために封殺していたはずの「ムエタイ」のパンドラの箱が開陳されたとしか思えなかった。

 ネット上の野杁雅明は、数々の条件が揃った末に、K-1が封印していた箱を開けてしまったように思い、若くして天才的に振舞えば振舞うほどその封印していた影としてのムエタイに近づいていっているように見えた。

<<亀田の腹芸と、長谷川の敗退、そしてJBCの混乱という、日本ボクシング2010年代初頭>>

 ある意味においては、新興格闘技たちよりもっともっと早い段階で旧来の例えば「日本人VS世界」という価値からの興行から抜け出せないことからの苦しみみたいなものが見えた日本ボクシング。個人的にザックリ見通すとこのジャンルの膠着と亀裂を端的に示したボクサーとして、亀田三兄弟と長谷川、西岡をはじめとするボクサーの道程の対照というのが2000年代のボクシングの光景、という感じ。

 亀田の、「判定おかしいだろ」「ザコ連れて王者か?」みたいな炎上を誘いながらも国民の半分近くを見るに至らせる内藤戦、ランダエダ戦などに見られる、広い意味での格闘技の伝播性を引きだし、時に「昭和のボクシングのようだった」とすら評された、大衆娯楽としての格闘技という光景の原型を見せるというのと、試合内容に至るまで対照的に、現代における純文学の成立(芥川賞のここ5年間のものを参照してみて下さい)に近いという印象のある、日本VS世界戦の構図にて、強烈な結果を残してきた長谷川穂積。ボクシングにおけるKOの発生はスタイルの洗練によって吸い込まれるようにして起こる、という、鎮静したカタルシスが印象深く、漠然とした「ボクシングとは最も世間に認められた格闘技であり、スポーツである」といった凍結を見せているように見えた。

 しかし、この対照も、この前の亀田の地元での防衛戦や、長谷川の明らかにスタイルの変わった闘いにてゴンザレスにKOを喫してしまった試合、そして、JBCのくだらない内紛などを見るに、実に2000年代のボクシングの問題は解決されずに次代にもっと捻じれた形で持ちこされる、という状態のように見える。

 そして、ボクシング協会の磁場から抜け、K-1・MMA側の出場も認めるという、新たな可能性を期待される新興ボクシング団体「BOXFIGHT」の光の無さぶりもまた、何とも言えないのであった。 

<<プロレス、そのジャンルと人の器>>

 三沢光晴選手没後から2年。そして、ハッスルとマッスルのいない年。気が付けば新日本プロレス以外のメジャー団体がとんでもなくドメスティックな事件を起こしていたり、奇怪なアングル・ストーリーラインによってかろうじて持たせているというものになってた。

 全日本の件のスーパーへイト選手の事件や、NOSAWA論外の事件とその復帰、NOAHのKENTAの、フロント仲田龍氏との諍いを軸にした展開などなど、去年からうっすら思っている器の問題なんかに関して、格闘技が御猪口みたいになってるのは顔をいぶかしくする程度に辛いが、ジャンルの特性上、プロレスの器の狭まり方の場合はもっと切実にキツい。

 何だかんだで、ハッスルとマッスルなどによって徹底的に茶化され、批評されるも、体制が変わってコンテンツとしてのクオリティをあげるように再編成し直され、そんで今年はアメリカで興行したりするくらいのクオリティは保ってる新日本は、それはもう時代性を牽引するものとは全く別なものとして機能してるけど正しい道なのか?などと思うのであった。

<<とはいえ、地上波提供の世間にとっての格闘技は?・RENAとガチ相撲>>
 けっこう格闘技ファン側の意見をネットで読んでたりすると、半ば恒常的にTBSはじめTV局の悪口なんかを見つけたりするけど、製作側の人間や芸能界の人間らの中で個々にものすごく愛着を持っている方々がいるのが分かって、けっこうそのあたりの気持ちよさってのはRENA対今田耕治とか、もちろんネタ番組なんだけど曙をちゃんとヒエラルキーの頂点にして芸人がいっちゃん下、のトーナメント構成にしてたりするガチ相撲とか、ガチガチのコンテンツ製作にしようとすると腰砕けになるけど通常のTV製作側で愛を持ってるファンというがけっこういたという事実は心地よかったというか。

 「格闘技はスポーツなんであって芸能のしょっきりとかにされるとほんとムカつく~」みたいなひともいるのかもわからないけど、TV局側としても実は強烈に憧れながらうまくいかないという微妙な愛憎関係というか。またRENAやガチ相撲は出てくると聞くけど、日本格闘技の荒れ方のなかで相対的に無償の愛を最も味わえるものになってんなという印象だ。

<<日本格闘技界が全面的に荒れる中での前田日明、「ジ・アウトサイダー」と「リングス再興」が示唆するもの>>
 
 というわけで、2011年折り返しの日本格闘技は、新興格闘技は言うに及ばず、相撲からボクシングまで大元の組織がグチャグチャになっており、世間から格闘技の存在なんてもうどれも忘れ去られ死んでるんじゃないのか?しかもどの格闘技であれ、見ている熱心なファンも納得し切れる内容になっていないのではないか?というくらいのヤバさ。というのを持ってして、完璧、造語なんだがこの現状は「サードワールド格闘技」というのが自分の気分だというか。もう全然世間を巻き込まない組織内部のドメスティックな諍いの中で小さくなっていくっつうのは。

 自分の今年の記事を見返しても「亡命」とかいうアナロジーでUFCに行く小見川なんかを評してたりして、なんか日本格闘技はソマリアか何かを箱庭にしたものか(笑)みたいに見えてしまった。

 しかしこの状況に関して、何らかの意味や作用を示唆する(この言い方は逃げ場を意図的に確保してるような感じで恐縮だが)、格闘技興行とトピックスいうことで何だかんだで意味があると思うのは前田日明氏の「リングス再興」と「ジ・アウトサイダー」というのは、サードワールド感の中では意味深いな、というか。

 特に「リングス再興」というのはオールドファン的にはツェッペリンの再結成とかああいう類のトピックスとして解釈されてるのかもわからないけど、この「ジ・アウトサイダー」のやり方から繋げて現在にて復活させようというわけだから、確実に現状の格闘技界に対しての前田氏なりの反論の形になる部分があると思われ、(ロープブレイクとポイント制のリングスルールとか今更やるわけねーだろ)そこに注目が行く。ルールなんかはアウサイが適用しているHERO’sルールが流れてくるものと思うんだが、自分なんかはそれがどれだけ修斗との対照となる格闘技団体となるのか?に注目がある。

 とまあ、ここまで書いてても公式に「再興する」て決まってるわけではないいだけど(笑)続報を待ちたい。



 というわけで、上半期というのはUFCはじめ、日本人の嗜好や構造と別の米国ボクシング興行に近似していくという流れがMMAにあって、立ち技というのは競技精度の洗練の可能性はショウタイムのスペインはじめ各国開催の中で芽吹く可能性を残すが、興行的にはK-1の換骨奪胎を見ても未知数。「競技化」という言説の行きつくところを解釈するに、世界のボクシングの興行と構造というものを再確認してみるべきか?という感じか。

 その中での日本の中で最もダメージでかいと自分が思ってるのがK-1、MMA、プロレスはじめ格闘技イベントのみならず、大元の相撲が荒れることに見られる日本格闘技全体の「場」の亀裂であって、その亀裂の間の中で前田アウサイや猪木IGFが再確認されるという光景に映る。

 2011年の後半はどうなるのか?では「オウシュウ・ベイコク・ベース2011」後半も宜しくお願いします。

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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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