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UFC133・欧米的価値観によるアジアのステロタイプと完全に化した秋山成勲(and more)

Category: 米国基地   Tags: 秋山成勲  MMA  UFC  
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8月7日の格闘技大会・UFC133のレビュー。UFCでの秋山が残した意味と、今やアメリカ側にMMA史が移ったことによる、資本力や興行力、競技力の差以外に格闘技が欧米的な価値の視点になった世界の何ともし難い感覚に関しての見立て。


 UFCに移籍して以降の秋山というのが日本国内を主戦場にしていた時より物足りなく感じる、とはところどころで耳に入るが、その最大の理由というのはイギリスでのビスピン戦のときにもうっすらと感じていたのだが、それは日本国内でのJMMAのアイコン桜庭に対しての仕打ちを代表に、日本と韓国、柔道とプロ格闘技、保身か戦略か。などなどの観客サイドの生理的な部分に接触する境界を行き来するドメスティックな部分が秋山成勲というファイターの意味の大部分を為していたと思うし、紙メディアからネットレベルまで彼を語る際にはどうあれ、今やMMAに転向した日本の(あるいは韓国の)柔道家の中で最も適応しいくつかの結果を出した、高いボクシングテクニックと組み技などの競技力以上にそうした部分に寄っていることは確かだろう。


 そうした秋山の意味がUFCの圏内にて物足りなく感じる、というのは何も最上級の舞台に挑戦し、そして現在のような結果となった。という競技上の強弱のみの問題以上に、秋山がUFC主催の欧米的価値観によるアジア人のステロタイプな解釈にほぼピッタリ嵌まって、それを壊してくれない。というのもあるように見える。
 
 あんま厳密でなくほとんど感覚みたいなもので説得力に欠けるかもしんないが、欧米的価値観によるアジア圏の解釈、それは東洋の神秘、みたいに語られる一方にニアイコールで結ばれる西洋文化圏のコンテクストから外れる不気味さ。評価を置きながらもイメージのヒエラルキーとしては下位に位置されがちな理由。神秘に対するクエスチョンと蔑視。このあたりにかの文化圏のアジア圏のステロタイプがあると考える。(※)

 もはや現在のMMAであまり見にくくなったファイトスタイルを持つ青木真也選手などはUFCに行けばなんだかんだで前者の人気を取れると思われるし、メレンデス戦で見せた後者の気配も完遂しているし、何より日本国内のMMAシーンででドメスティックな不快感というのを秋山以降にここまで増幅させたわけだし、ある意味「自分たちのコンテクストから外れる神秘的なスタイルで同時に不気味で卑怯なアジア」のステロタイプを完遂しつつある現在UFCにいくのは旬だろうなんて思っているが、同時に期待するのは単純に勝っていってチャンピオンになることで、欧米的価値観によるアジア人のステロタイプに嵌まりながらぶち壊す、というのが望まれる。

 そして、UFCに行った秋山に、どんなサイドの方々でも意識的にも無意識でもUFC参戦当初に期待していたのってそういう逆転的な面白さと思われ、結局「セクシヤマ」とか何とか言われてしかもビクトー戦の記者会見時に「I am sexyama」なんつってボチボチそれに乗っかって、あのとんでもないKOで、アンデウソン戦のあのKOでかなり印象を落としていたビクトーの復活劇として起用されるみたいな欧米的価値観によるアジア人のイメージのヒエラルキーに遺憾なく嵌まってしまうという悲しさじゃねえだろと思われ、オレもさっさとウェルターに落としてジョシュ・コスチェックとかチアゴ・アウベス、去年の記事でも書いたようにあるいはBJペンあたりと闘うべきとか思っていたが、もう賞味期限がこれで切れたかもしれないな、と思わされる敗戦だった。(それは「UFCは2~3連敗したらリリースされる」の定説通りの団体での賞味期限が切れた意味でもあるし、ビスピンを上げ、今回落ちかけてたビクトーを上げたっていう。「秋山は負けるたびに相手が強く」というよりかはズッファは都合よく人気選手の価値補填に秋山を使っているなあと思うんだが。)


 実のところ最もそうした欧米的価値観に抵抗してるアジア人、みたいな意味で最も成功してんのかもしんないのは、全然神秘性も、それと裏返しにある不気味さもほとんど感じないキャラクターであるが、遂にミドル級の王手にかかるまでになったという岡見勇信であって、徹底的に欧米的価値観によるアジアに一切嵌まっていないこの選手は様々な形で王者挑戦を遠ざけられていたとしか思えないのもあり、アンデウソン戦でのタイトルマッチから見立てられるもうひとつのデカい見立てとはそうした欧米的価値観のヒエラルキーの転覆、にあると思う。これはまた「日本人が外国人を倒すことで熱狂」のナショナリズムとは違い、公式な国際連盟によるワールドカップでの優勝や、日本国内での世界戦を実地してそこで日本人が頂点を取るというフックの日本のボクシングとも違い、結局UFCというのはアメリカのメジャー興行団体であり、国際的な規範のあるスポ―ツでは無い。

 何よりも欧米的価値観の振りまかれるアメリカのエンタ―テインメント内でアジア人はやはりその価値観での典型的な役柄を与えられ、そしてその役割を演じているわけなのだが、ただ一つその実力という一点にて、岡見はそれを打開する可能性を秘めている。ショーとスポーツのハーフであるUFCゆえに起こりかねないアジア最大の転覆劇というのが実現されるかもしれない、などとアンデウソンとのチャンピオンシップに思うのであった。

(※ 最近パリコレとかああいうファンションショーの写真とか雑誌などを見てるんだが、そこでのアジア人モデルというのはエビちゃんとか押切もえみたいなタイプは一人もおらず、べっタベタな小さい瞳で釣り目気味、そしてもちろん黒髪という、あの類の顔立ちがかなり起用されている。ちなみに、アジアの男性モデルはほぼみんな、菊野克紀。)

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