オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


ブアカーオ・ポー・プラムックはタイの教科書に載るかどうか?・「タイファイト」、K-1MAXの遺伝子の先祖返り

Category: プロ格闘技   Tags: ブアカーオ  タイファイト  MAX以後    
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 K-1中量級・MAXの傾きはある意味で日本MMAの傾き方よりもずっと切実な痛い(イタい、じゃないスよ)感じがあり、それは元々博打で国技というムエタイをいつもどこかで目線に置いていた日本の立ち技の歴史にあると見ている。

 しかし、その当のムエタイが、MAXのヒーローの一人ブアカーオを迎え入れ「賭博」ではなく「興行」として行われた「タイファイト」は、少なくとも無駄にはならなかった意味でのK-1MAXの拓いたもの、という意味で、様々な示唆を含むかに見えた。21世紀のタイは何をなすのか?ということで、アフターK-1MAXでの世界立ち技の変化の一つの章。



 大衆的プロ格闘技K-1の崩壊・分裂というのを、伝え聞く噂レベルからボンヤリと判断していっても、とりあえずK-1本戦は件の商標権の移動からダニエル・ギタのフェイスブックによる開催の話などまだ生き延びる可能性は見えるが、真っ向から「崩壊」を示しているのはK-1MAXであって、特に中量級という立ち技格闘技の原点とも言えるムエタイ、それをモデルとしたキックボクシングといった日本の立ち技史のパンドラの箱開陳の衝撃がデカい。それは「キックボクシング」のWIKIの問題点の項に暫定的に書いてあることから結局越えられなかったこと、そこから逆流してマジにK-1運営団体がバラバラになりつつあるという、もう繰り返されてきた轍のなぞりぶりなどなどに加え、「ムエタイ」という一つのドグマの漏れ出方というのが、自分の超個人的な感想としては正直これが痛い原因のように思っていた。

 ムエタイはその競技の技術の地層や選手層に関して何か辛い感じがあるわけではない。そうではなく、そもそもの観客に披露するための形式そのものが引っ掛かってきていて、それはやはりタイの「国技」でありながら「賭博」をおおっぴらに銘打っていること、それゆえにKO負けですら八百長に疑われるほど厳しく、ほとんどが判定に持ち込まれることなどなど、「国技」と呼ばれるほどの伝統の地層、観客を呼び込む理由の大半である「賭博」という文化であるというのは、元々ショーである興行の格闘技たるボクシングやプロレスとも、賭博どころか興行とも身を置いた武道として独立している空手や柔道や柔術、前回エントリにて取り扱った空道、などとも別で、そして日本の国技である相撲にまで比べてしまうともはや極北のようなものだ。(特に「国技」でありながら一方は神事で、一方は闘犬か競走馬の扱いらしい、という差もまた、解釈しきれない差がある)

 「興行」と「賭博」。新興格闘技と国技。ムエタイのフックには解決され得ない様々な相反する部分があるし、日本の立ち技史はコンプレックスとしてにらみながら、ムエタイには絶対にならないようにしてきた歴史にも見える。自分が感じている痛い印象というのは格闘技を人々に公開して金を稼ぐ形式として、そうした解決され得ない相克の部分にムエタイが立ち技格闘技史にでセットされていることにある。


 しかし、遂にK-1MAXが解決し切れなかったものを、当のタイが実は解消しようとしているのではないか?という印象を抱いたのが最近の「タイファイト」だった。

 実力差のある闘いをセットしていたりしてKOが見られるような試合が組まれたり、比較的スペクタクルを呼び起こす「興行」にシフトしており、しかもタイの政府が支援してこのコンテンツを世界に輸出するために育て上げようとしていると見え、いよいよムエタイの歴史が転換する可能性が出てきたか?と思わされる。

 これは邪推するにブアカーオが曲がりなりにも世界で放映されていたというK-1MAXで為したことがこれに繋がった、と見え、「ムエタイの選手であるナックモエは、賭けの対象となるため、選手というよりは競走馬の様な扱いに近く、憧れや尊敬の対象にはなりづらい。K-1MAX優勝者ブアカーオ・ポー.プラムックが「日本で若い女性に声をかけられて驚いた。タイでは考えられないことだ」と発言していたのは、タイでのナックモエの扱いが低いことを裏付けている。」というウィキの一文を引用してみてもブアがMAXで切り開いたものというのは、どうやら金銭や技術というものだけではないようなのだ。また「マッハ!!!!!」などのタイのアクション映画にムエタイがフィーチャーされたこと、も関係ありそうな気もする。

 「ムエタイ」が、タイ本国にて輸出コンテンツとして解釈され、「興行」へのシフトすること、そこにはショーであるがゆえの様々な問題、一人のスター、ブアカーオで持たせるものなのか、興行であるがゆえにこれからタイファイトが継続していくにあたって、視聴率やPPV(ごめんタイファイトの収益形式分かってねーです)地味な実力者が排除され、スターが判定にて優遇されるような方向に行くのか。ブアカーオに続く、強いだけではないスターを発掘・育成していけるのだろうか?など、日本のプロ興行格闘技が観てきた問題をタイファイト陣営はどう対処していくのだろうか?とはいえ、ムエタイというのが映画や日本のK-1に触れることによって歴史的に転換するセクションに入った、というのは、K-1MAX崩壊後の世界立ち技界の変動としては特筆すべき事象の一つだと思う。

 日本国内からするとK-1という大型の物語が無くなることのキツさというのはそれはあるが、しかしK-1が切り開いたことによって変わりつつある世界の立ち技史という、小さいながらも重要な物語もある。タイ自身が「賭博」と「興行」の相克に着手したことは、これは競技力のみならず格闘技のあり方自体にも接触してると思われ、2010年代初頭としては実は最重要なのかもな、なんて思う。

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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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