オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


MMA史の再インストール作業として見るDEEP金網大会やアウトサイダー諸諸

Category: MMA   Tags: MMA  ヴァーリトゥード    
バレトド

 次に行われるDREAMと、その下部団体的な位置づけだろうDEEPの大会の概要やカードを見比べてみると、もう今はどっちの方が意味があるのか?ということを感じざるを得ず、オレには現状の日本MMAというものの見どころというのは、「日本には日本のやり方でMMAをやってく」っつう割り切りよりも、MMAというものが成立するに当たっての歴史とか出自とか再インストールし直していくかに見えるところに醍醐味があると思うということで「日本にとっての、MMAの再インストールとは?」の考察。


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 MMAの発祥・出自というのはどれなのかと確定出来るものは無いとはいえ、少なくとも2000年代に味わっていた格闘技バブルの頃の総合格闘技と、現行のアメリカUFCにて展開されるMMAはもはや別物で、興行の効用(奇妙な言い方で申し訳ないが)や最終的な目的地も、競技の技術面から会場の観客の歓声の質なんかを取り上げて見ても一見同じジャンルを取り扱ってるように見えるが、実質もう別のジャンルになっているなと思う。

 それでここ日本に置いてのMMAの浸透の歴史がどうしても猪木の異種格闘技戦~UWF、高田VSヒクソンというプロレスサイドのネームバリューが優先された形でPRIDEによってコンテンツとして爆発したわけで、決して中井祐樹VSゴルドーとか、世界でもっとも早い段階でMMA団体を成立させたという修斗によってこのジャンルが一般的に浸透したわけではなく(2000年代初頭あたり修斗ブームということで一時的に佐藤ルミナや宇野薫などがCM出演したりなどしていたようだが。関係無いがその頃の格闘技通信で佐藤ルミナが藤原紀香と熱愛発覚かって話が出てた時に「世間に打って出るルミナ」とかコピーしてる表紙があって笑った)、そういう経験ゆえか「MMAはプロレスの一形態」みたいな誤読を未だちらほらと見かける。

 日本にとってのMMAというのは結果的には先の誤読が示すように、一ジャンルになるというよりかはプロレスを中心とした日本の興行格闘技史上の特異な事象というところで終結してしまってる感がある。PRIDEはその当時の地球上でどの団体よりもヴァーリ・トゥードの語源に近いルールで行われていたにもかかわらず、DSE(あるいは山口日昇氏はじめ紙プロ勢)らの様々な手法によってパッケージングされた興行の形は、見事に「ブラジル発祥のなんでもありの残虐なもの」みたいな出自をヴァンダレイ・シウバのアクセント程度に留め、迂回し、実質的にUインターを軸にしたプロレスの方に歴史的にも振り返られる瞬間が多く、ヴァーリトゥードというものが持っていた本当にヤバい部分というか、発祥や衝動の部分にあたるものをプロレス最強とかグレイシー柔術との闘いというハイライトの中で、日本MMAは実はそこんところの歴史が綺麗にすっぽりと抜けていることで、なにか現在の情勢と繋がりにくい側面が出ているのではないのか?という仮説を、DREAMの現状から、前田日明のジ・アウトサイダーの台頭から思いつくのだった。




 今度のDEEP金網大会はある意味で日本のメジャー団体が意味をなさないことを完璧に提示してしまってるように見え、出場選手や今回適応される肘、4点膝、サッカーボールキックまでありという限りなくヴァーリトゥードにルールまで比較して逆転が起きかけているな、と思わされ、この前の遂に復帰し、なんと菊野克紀を適切な戦略・しかもそれをフルラウンド実行できる意思で持って完封した廣田瑞人の試合などなど、SRC崩壊後で、メジャーの意味を失ってるDREAMという現状にて、これまでメジャー団体の受け皿・掛け橋として重要な位置を締めていたDEEPがここに来て、継続的に行うのか分からないながらもこのようなルールを適用させた、UFCが現在のMMAに到達させる以前のヴァーリトゥードに回帰させるかのような興行を打つのは興味深い。

 次に、こちらはルール上では肘も4点膝も規制されている、ヴァーリトゥードというよりかは現在の日本MMAにて適用されているオーソドックスなルールではあるが、全国各地の不良の喧嘩を見せるということを売りにする前田リングスの「ジ・アウトサイダー」なんかは特にMMAの出自に当たる衝動的なところが凝縮されたものだと言え、ここを地下格闘技全体にまで話を広げるか?は保留にするにしても、DVDのレベルでさえ確認でき、アウサイの観戦者の感想のひとつに「まるでブラジルあたりのような会場の空気」と言わせしめる気配は「異種格闘技戦」だとか「60億分の一」みたいなものとはまったく別な、原型的なものだ。

 


 もう今のDREAMを見れば一発で歴史の流れの何らかの部分が途切れている、何かが欠けているということは分かるだろうが、日本MMA史の成立の上で、やはり本来高級な競技でも高潔な武道でもなく、それ以前の原型的で暴力的で危険な場である、という出自や衝動の部分からMMA興行史が発展してきたわけではなく、むしろそれを迂回してきていたのではないか?ということを今日のアウサイなどを見て思う。

 もちろん、現代MMAを日本にて再インストールするって話は、今度のDEEP金網大会やアウサイなどこうした日本MMA史にて迂回されていた、プレ・MMAとしてのヴァーリトゥードというものの原型的な部分の空白を埋めるだけで完了するわけはなく、コミッションの問題やアメリカUFCの確信にあるだろうボクシングとの比較など様々な要素との比較も必要と思われるが、少なくとも日本にてついに行われるUFCとの歴史を合わせるにおいて、そうした歴史の空白部分を振り返るのは必須の作業、とも思う。(そういう意味で、立ち技におけるムエタイが興行にシフトしようとする「タイファイト」だとか、大文字の感情移入出来る興行が失われてるのは残念ながらもジャンルの地殻変動的な事象は多々起きているわけで、そのあたりの面白さはある)

 この日本にヴァーリトゥードは存在していなかったし、ほとんど感覚での発言になって申し訳ないがやはり文化的に、精神的に日本人がハナからそんな暴力的な興行を生む土壌は無かったと想像され、だからこそ逆説的にあのPRIDEルールを許し、格闘技バブルという日本興行格闘技史上、最も特異な時代を生んだ、とも考られ、ある意味では日本人がそもそものヴァーリトゥードの原型的な部分を咀嚼できるようになるのに格闘技バブルの経験が必要だったのだろうか?などと思いもする。

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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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