オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


そして、気付かないうちに実現され、完遂された本物の日本人による「ラスべカスボクシング興行」、西岡利晃の描いたキャリア

Category: P・M・BOXING   Tags: 西岡利晃  ボクシング  ラファエル・マルケス  三浦広光  
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 オレ個人の一面的な見方には違いないが、いろんな形で日本国内にてK-1はじめ擬似的な形でラスベガスのボクシングを模したと思われる格闘技興行を新興格闘技サイドは実現し、ある意味でそれは日本国内においてのボクシング界にとってのカウンターのようでもあったと思う。

 日本の新興格闘技界か下火になり、現代ボクシング界の王者認定団体の権威の破綻の中で亀田が跋扈し、長谷川の強さというものが世間的に正当に広まるセクションが崩れている2000年代が終わり、新たなディケイドの始まりの中で先の二人が戦績的にも視聴率的にも黄昏る中で、井岡が地上波で放映される日本国内ボクシング興行の「”世界の壁”という意味以上のものを持たない外国人ランカーを撃破することでの日本人が世界にあることの充足」みたいなトートロジーとなっている中で、今回の西岡利晃が本当に為したこととは?

<<西岡利晃VSラファエル・マルケス 見立てのボクシング観戦記録>>

 互いが必殺の強打を持つゆえに、互いが警戒し、互いがほんの些細な隙を狙って決めにかかろうとする、居合での決闘のような緊張した膠着。それはドネアVSモンティエル、ジャンルは違えどバダ・ハリの近年の試合、あの三崎和雄VS秋山成勲のような一瞬でどちらかが終わりかねない必殺の緊張を久々に思い起こさせる試合だった。

 オレには規模や興行収入、観客動員数やこの試合がアメリカにてPPV販売されているのかどうかもTVで放映されているのかどうかも綿密に調べたわけではないので雑な評価になってしまうが、とりあえず画面の薄暗い観客席の奥や歓声などから察するに両国くらいのレベルで入っているのだろうか?などと感じた。

 ボクシングにおける興行形態は漠然としているのだがここはWOWOW大開局祭というタイミングでの目玉として取り上げられ、帝拳プロモーションも大きく今回の興行に力を入れていると見える背景の中で、今までK-1、PRIDEなどが擬似的なラスべカス興行とも言えそうな華やかな興行を打つのとならびに実際に現地ラスべカスでの興行を打ったりもしていた中で(まあここも解説聴いているに現地の会場にもまだ聖地と呼ばれる場が色々あるようであるにせよ)、日本側が本当にラスベガスでボクシングの興行を大きく打ったかに見える今回の西岡VSマルケスという興行の光景は、それはおそらく日本人がK-1などで作った、ラスベガスをモデルとした華やかな興行イベントという部分でなく、本当に日本人が作るリアルなラスベガスでのボクシング興行の光景という答え、という風に映る。


 日本のボクシング興行という視点から比較すれば、この王座戦も地上波の中で「西岡35歳”世界の壁”との防衛」以上の文脈からマルケスを語れないだろう中で、WOWOWでのそれは遥かに一人の競技者であるマルケスを競技能力から出自までを語り、今回の王座戦の前に西岡との経歴の符号も考察するような企画も行っているほどで、ここでWOWOWに加入してまで見ているレベルのファンからすれば単なる「日本人が”世界の壁”を破っての充足」ではない、もう少し個人VS個人の闘いとして見えていると思われ、またラスベガスという地での王座防衛戦というのはかなり本当の意味に近い部分で「世界の壁」と闘う意味での闘いを行っているわけなのだがこの闘いは地上波コンテンツとして放映されることなく、衛星放送という形での放映という世間的には非常に限定的なものになっているということも含めて興味深い。なんて感じた。




 「WBC世界チャンプの西岡でなく世界の西岡と呼ばれたい」という解説が入る。自分にはそれはとても興味深く聴こえた。

 ここのところ、興行格闘技でありその歴史や選手層で言えば最大のものと言っていいボクシングの、現代における「世界最強」「王者の権威」といった競技が提供する強さや価値といったもののシステムの現在や、そこを目指す競争力なども含めて考察してきていた所で、亀田とパッキャオを例に上げつつかなり考察してきた。

 今のところの結論は現代のボクサーの世界王座というものは、王座認定団体の分裂や様々な形でのチャンプを許すようになっている現状や認定団体の杜撰さなどによって、極端な話プロとしての肩書き・免許や手形のレベルにまで落ちているかに見え、現代のボクサーは世界王者を取ってそれからどのように振舞うのか?ということが問われている時代なのだと思う。それは王座を取ってから、「複数階級制覇」ということすらこれも極端な話、戦略によって可能であるかに見え、そのことによる強さの権威付けということさえも場合によってはかなり下落している現状で、さらなる名のある、強いスターを撃破することで大きく名を挙げていくパッキャオとして振舞うか、権威分解した状況にて取れる王座を拾っていき(何て表現だ しかしそうとしか見えない)地上波興行として世間を引っ張るボクシングというものの格闘エンタ―テインとして亀田三兄弟として振舞うのか。という風な彼らを代表に、実質やっていることに世界戦という権威の奪い合いというウェイトが薄くなっているように見え、「世界王座を取るということ」それ自体が興行のフックとなりエンタメとなり視聴率をとりチケットを売るような時代は去り、一人のボクサーとしてどういうキャリアを描くのか。という点に、選手サイドの視点からするとなっていっているように見える。誤解の無いように書くが、そうした今日のボクシングの中でパッキャオも亀田も共に認めている。

 西岡利晃が為したことの大きさというのは今日の現状の中で、日本の地上波で世間に展開されるボクシングで「世界戦の防衛」というものが視聴率などのフックになり得にくくなった現状で、亀田3兄弟らの手法が正直言って日本国内でのエンターテインとしてのボクシングがコンテンツとして(そろそろヤバくなってるけど)通じている中で、実力者である長谷川穂積などは昔からもう「ラスべガスでやってほしい」など、あんまり(地上波コンテンツ的な意味に繋がる)タレントとしての魅力やフックに欠ける実力者としての日本人ボクサーはその道を海外に向けていってほしい、という意見が散見され、世界タイトルを取ったあとの現状の、実力こそ第一とする日本人ボクサーは海外で闘うことにより、アメリカにて自らの価値を、名前を上げていくことの道に向かうことが望まれてきたと思われ、そしてそれが様々なタイミングによってついに実現され、そして勝利し防衛した。西岡が今回の勝利で評価されるのは何も「現地で防衛に成功したこと」だけに留まらない、世界戦を取った日本人ボクサーのその後に描くべきキャリアというものを達成したことにあるように思えた。

 次の試合で最後になるという西岡選手は、日本人としてかなりのところボクシングの正史に近い方向に躍進できたことを最後まで完遂するために、やはりノニト・ドネアと闘うことが望まれる。これはやはりものすごく厳しい闘いになると思われるのだが、仮にこの闘いが実現し、西岡選手が勝利したら伝説の領域になるだろう。

 あんま普段こういうこと書き方でまとめないけど、こういう気持ちが深く引き出される試合と結果だったので言う。西岡選手、防衛おめでとうございます。(香川照之氏のように感極まりながら)


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<<BONUS TRACK 元MMAファイター三浦広光の6回戦>>

 ・・・・・・・と感動してた中でなんと余った時間に三浦広光選手の試合まで!琴線にひっかかりすぎるおまけにビビった。

 三浦選手はかつてWECにてメイヘムやコンディットと闘ってきた選手だ。

 解説の「総合格闘技から転向してきて」という言い方、組み強さとかプッシングの強さとか普段のボクシングでは見られにくいと思われるシーンに「総合の強さが生きているんですかねえ」などと解説される。この「総合」の部分が「MMA」に変わる日が来る時、それは日本格闘技界が復興した時代なのだろうなと感じる。

 これで8戦全勝になるという。個人的には三浦選手のMMA転向の良さ、というのはやっぱ距離の取り方としてブロッキングではなくステップワークやボディワークでかわしていくことを攻防の基調にし、また様々な局面で多彩な動作を要求される競技ゆえの身体の使い方、技術をアジャストさせていく方法論なども有効に働かせてることにありそうだと思う。場合によっては、K-1・ショウタイムなどの立ち技からボクシングに転向するよりMMAからの完全な転向者の方が戦績はよくなるのではないか?というのを考えるのは保留にするにしても。

 別の話になるがガチガチのMMA経験者というのが例えばレスリング選手に、グラップリングに転向する場合(平行して行っているのは何人もいるわけだが)もその身体能力や戦略のある部分のアドバンテージはあるのだろうか?

 
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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