オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


ジョン・ジョーンズの速度

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: UFC  ジョン・ジョーンズ  
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「偉大なファイターになったとしても、人の記憶に残るとは限らない。偉大であり記憶にも残るファイターになるには、なにかの象徴的存在になって、ある意味で世界を変える必要がある。そう、俺は世界を変えたいんだ。モハメド・アリはムスリム(※イスラム教徒)のために立ち上がった。(ベトナム)戦争の徴兵を拒否し、世界に衝撃を与えた。ブルース・リーは、『アジアの俳優』として記憶されているわけじゃない。誰も彼がアジア人だということを気にしていなくて、ただ、純粋に世界中で愛されている。俺も彼らと同じようなインパクトを与えたい。アフリカ系アメリカ人ファイターとして憶えられたいんじゃない、『あの黒人ファイターが好き』とは誰にも言われたくない。どちらかと言えばクリスチャンファイターとか、とにかく前向きで思いやりに満ちたイメージが良い。これは俺にとって重要なことなんだ」(スポーツナビ ジョーンズ語録より

<<ジョン・ジョーンズVSLYOTO 見立ての観戦記録>>

 これまでの歴史の中の格闘技団体で、全盛期に入った様々な団体の速度というのは、当然のように世間に広まっておりそれが当たり前のように感じられながら同時に途方も無い状態に入っていると思わされる。かつてのk-1やPRIDEが会場で、地上波で定期的に開催されていた当時は、それが当然のように感じられながらも崩壊した後には途方も無い状態だった、ということに後で気付かされる、という崩壊した団体の歴史までこれからのUFCがなぞるかどうかは定かではないが、アメリカTV大手FOXとの契約も成立させた今年のUFCが途方も無い状態であるのは確かだ。


 その全盛に入ったUFCという場の中で、さらに途方も無い速度を示しているのがLYOTOとのチャンピオンシップをこれ以上の結末は無いだろうという勝利を生んだジョン・ジョーンズであり、しかもその速度は競技的な能力の強弱の印象の強いフランク・エドガーやドミニク・クルーズ、また、多階級時代に真の強弱を判定する見方としてパウンド・フォーパウンドであり、そして北米・南米のスタイルに象徴的なアンデウソン・シウバやGSPといったスターと別に、冒頭のジョーンズの発言に見られる自覚や、オレのような見立てをしている側から見えるのはもはや単なる選手以上の存在、現代では成立不可能に近いと思われるアリやブルース・リーの領域に飛躍しようとしているということだ。このことはちょっとみんな流し聞きみたいになりそうだと思うんだけど、しかしそれがリアルタイムで行われようとしているのはやはり僥倖と感じる。



「世界中の子供を失望させたくない。タイガー・ウッズみたいなクレイジーなスキャンダルを犯したくない。アスリートとして、試合に勝利していくことに専念する。俺をここまで育ててくれた格闘技に没頭したい。勝ち続けてベルトを防衛していくことが重要なんだ。(チームメイトでウェルター級王者の)GSPはいつも、自分は王者として闘っているんじゃない、功績を挙げるためにやっているんだ、と言う。そんなことを言うには、俺はまだ若すぎるけど、考えてみればすでにそのために闘っているところもある。そういった事実が俺を貪欲にしているんだろう」




 ジョーンズとLYOTOの一戦が決まったというのを聴いた際に夢の対決の実現と感じたと同時にUFCが生き急いでいるかの速度で拡大しているのを感じた。そして、様々な「夢のカード」というのが実現が難関であったこともさることながら、蓋を開いた時にその「夢」の期待通りの結末を迎えることはとても難しいことも分かる。夢の階級を越えた対決。夢の日本人対決。夢のUWF継承者の対決。思い起こしても完全に失望から手を切ったケースはとても少ない。

 オレがこの試合全体を振り返って凄まじいと言うほかないのは、おそらく大抵のファンが「ジョーンズvsLYOTO」と聞いて想定するだろう試合内容と期待される結末が、寸分違わず実現され切っているだろうことだ。高速の踏み込みによるLYOTOの打撃の切れと、よろめかせる瞬間さえ見えたことに震えるシーンと、そこから見切ってのジョーンズのカウンターからのフロントチョーク、そして失神して崩れ落ちるという結末。唐突に発表された夢のカードの結末ということでは、これ以上の結末を想像するのはLYOTOがノックアウトで勝利すること以外にはオレには思いつかなかった。

 ダナ・ホワイトは「アメフトも、NBAもアメリカでしか知られない。UFCは全世界の人間に向けられるんだ、みんなモハメド・アリのように本当に強い人間を見たがっているんだ」と(いうようなことを言ったと思うけどソース失念・申し訳ない)発言し、ジョーンズは冒頭のようにアリやブルース・リーやタイソンのように生きようとしている発言が見られる。それは、もはや単純な競技性や競技者の幸福や栄光といった枠組みすら越えようとしていることの表れであり、とにかく今のUFCが途方も無い状態に思うのはそこなのだ。

 そして、これからのジョーンズがどれだけアリやタイソンと言った、人種や思想といったものさえも飛び越える格闘技のアイコンの道に行けるかどうかは不明だけど、本当にそんな神話の領域に足を踏み入れて言ったのなら、ジョーンズの中にかつてのアリやタイソンの栄光と、それに伴う悲劇もまた同時に追体験することも可能であるとも思え、そこまでのことを思わせ、また本人たちが発言していることからオレにはジョーンズと、彼を擁するUFCは今現在の世界の格闘技中で途方も無い速度を手にしているのだと見える。


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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

Comments

こんにちは!リョートならジョーンズのペース乱すんじゃないかと期待してたんですけど、ダメでした。ジョーンズは若さ、技術、メンタル、全て高レベルですね。ライトヘビーでは倒せそうな人が思い浮かばない(笑)。

あと自分firefox使ってるんですけど、Firefoxだとクリックが効かず続き記事が開けません。internetexprorerだと問題なしです。前はFirefoxでも問題なしだったんですけど、念のため連絡しときますね。年末のレスナーvsアリスターが楽しみです!
Re: H・T様
ジョーンズは誰が倒せるんだ?という文脈に既になってきてますが、ここで焦って階級を越えたヘビー級のオールアメリカンクラスの選手をうっかり当てたりすると危ない感じもあり、しばらくはライトヘビー周辺での防衛戦から価値をあげていってほしいです。記事にもあるように、アリやタイソンクラスの可能性の選手ですから!

それにしても、うなるのはズッファサイドの勝負強さですね。興行を投資や博打に例えるのもあれですけど、ここでジョーンズLYOTOの札を切ってこの結果という勝負師ぶり。これは投資家で言うと誰か、博打打ちで言うところの誰かなんて言葉遊びになっちゃうとあれなんですが。

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