オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


2012年のUFCのブラジル人たち

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: UFC    
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●「立ち技格闘技の面白さを伝えたい」という言葉を
虚ろにさせてしまうバルボーザvsエティム●

●フィジカルグラフィティ●
●それにしても、ブラジルの歓声●






●「立ち技格闘技の面白さを伝えたい」という言葉を
虚ろにさせてしまうバルボーザvsエティム●

 UFCブラジル大会で放映された一発目の試合から衝撃を受けるとともに、少し虚しくなる。この試合はフィニッシュの鮮やかさばかりが目立つけれど、試合展開の全面に渡ってのスタンドでの攻防や動作の精微さに目を奪われた。
 
 新K-1もまだ全容が見えてこず、K-1が停止している今、かつてMAXを主戦場にしてきた日本人選手などは現在の状況や心境からかしばしば「立ち技格闘技の面白さを伝えたい」とインタビューなどで語る。

 でも思うのは、これはあまり普遍的に共感されるものじゃあないかもしれないけれど、別に格闘技の面白さと言ってものは本音の所で言えばMMAだとか、立ち技だとか、ボクシングだとかプロ興行格闘技においてはルールや形式によって決められるわけではないと思え、「格闘技の面白さ」と言ってもどんなルールでもシンプルにKOや一本という結末に向かってお互いの能力が発揮される試合が見られれば構わないんじゃないのか。だから多くの選手が「立ち技の」「ボクシングの」「MMAの」面白さを伝えたい、といつも言っていてもそれが何を指しているのかもいつも伝わらない。格闘技の面白さといっても本当のところ、いくらルールが違うと言ってもツボのところでそんなに差が出てくることってのはそんなに無いとオレは考えている。


 もちろん「だったらミックスルールでもいいのか」などのどうしようもない反論が予想もされるし、仮にそういう視点からのものであったなら格闘技の面白さってルールのことか、それを順守しようとする自意識の事か、巡り巡って俺の自意識を愛してくれ、愛してやれということなのかと途方に暮れるのだが、しかしブラジル現地での闘いということで気合も入っているのかバルボーザの上中下に散らした打撃やフットワーク、エティムのローからハイへの連続のキック、そして、最後のバックスピンキックでのKO勝利という展開は、「立ち技の本当の面白さ」と聴いてオレがイメージする期待のほとんどを実現していた。MMAの中で。




●フィジカルグラフィティ●

 アルドの立ち技と柔術を消化した痩身の体型とレスリング出身のメンデスの軽量級であるに関わらずの凄みを感じさせる背筋の対称。

 様々な攻防の動作が要求されるMMAでは、選手が一番勝利に向かえる戦略や技術のベース、そこに至る練習の強度などがそのまま肉体に現れていると思われ、今更ながらプロ興行格闘技中では多彩な才格の人間が参入できるジャンルであるなと思う。

 もはやプロレスとMMAを一緒にするなんてことは少なくなったとはいえ、わずかに共通する点がある言えばこの肉体の作り方で見られる意識のあり方というか、無論勝利を目指すことと興行を盛り上げていくことなどまったく目的地は違うとはいえ、顔立ちから肉体の作り方まで全てが試合にてさらされ、しかもそれが多彩であるという点に置いて極北を築いているなんて思う。プロレスでも本当にボディビル的に仕立て上げる選手から和術慧修会出稽古みたいな方向に行く選手もいたりで、やっぱそれなりの結果が肉体やら身なりに現れているわけで、非難する意味で言うわけじゃないがステロイド(など)で仕立て上げていく肉体の禍々しさというのもまた印象深いというか。

 ボクシングやキック、さらには他スポーツなどでは競争の中でその競技でかなり有効な体格が決まってくる傾向はあると思うし、MMAにそれが無いとは言わないが(やっぱジョンジョーンズアンデウソンは有効で)、まだしも多彩さや多様さを受け入れる意味で興味深いのだった。

 

●それにしても、ブラジルの歓声●

 アルドが1ラウンド終了間際に放った、メンデスの組みを外しての振り向き際の膝を当て吹っ飛ばし、勝ちを確信したあとにオクタゴンを飛び出して観客に向かって飛びこんでいく。ホジマールが戦極の頃の北岡を思い出させる鮮やかな一本勝ちの後に、亡き仲間へとエールを送る。

 このブラジルでのUFC新年一発目から、現地のブラジル人選手らのほとんどが勝利し、その後に大歓声の中で選手らが祈りを捧げたり、仲間たちと肩を組んで喜ぶ。それらのシーンがまるで映画みたいにさえ見えた。

 解説陣も指摘していたけど、観客の歓声がサッカーみたいとも言われ、ブラジル選手の相手への容赦ないブーイングなどすがすがしいくらいで、こういうところでも今更ながらMMAの質的な変化の一端を感じ直す。

 既にブラジル出身でUFCチャンピオンが数多く存在していることがここまでの活況の大きな要因なのは当然にしても、ヴァーリトゥードの国ブラジルという言い方は正史か偽史かは分からないにせよ、現在のMMAとの歴史が綺麗に直結している光景には違いないと思った。

 このブラジル大会を見るに現在の格闘技最前衛のUFCが日本にて興行が行われる際にオレが見立てるのはいかに今のMMAの質や歴史というものが分岐していったのかだ。ということで今エントリエンディング動画と言うことで、オレが思う日本格闘技最全盛時の会場の歓声、小川直也vsヒョードル。今見たらこれが一体何に似ているのかが見当がつかず、これを全体主義だファシズムだ、煽りビデオはナチス宣伝省ゲッベルスだとアナライズした人がいたりしたけど、この時の総合格闘技と今のUFCのMMAが質的に全く別のものに変質しているという事実をしばし噛みしめる。

 それにしても、小川のリーチや体格を見るに詮無いことながら勿体なさというか、ヒョードルの攻め方など今から7年前と比較して現在の立ち技・組み技技術の洗練と混合の進化は著しいなと思う。がしかし、格闘技の技術進歩と興行的なフックになるのかは別問題になりやすく(関係ないとは言わない)、やはり命題として続く。




  
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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