オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


マイク・ベルナルドの追悼と再評価

Category: プロ格闘技   Tags: K-1  


 マイク・ベルナルド選手が亡くなって数日経ち、彼と共に練習をしたファイター、K-1にて仕事をした人間、ファンやメディアのサイドから一通りの追悼の言葉が送られた。だけど、ファンの中にはなぜベルナルド選手がそうした最後を選んだのかに対しての事実関係が手に入らないうえの邪推も含まれていたり、しかもそんな確証がわからない上でこの後に及んで「ベルナルドがそうした精神状態に陥ったのはステロイドなどの薬物のせいで検査しなかったK-1の責任」などと運営批判の盾にするなどのどうしようもない言葉さえあった。

 わかりもしない事実関係みたいな部分を掘り返すよりも、黎明期の格闘技を彩った功績をたたえることが良いが、やはり残された試合を今の目で再評価することで追悼の言葉としたい。90年代K-1を彩ったボクサータイプの代表であるマイク・ベルナルド選手の試合を振り返った、追悼と再評価のエントリ。

 90年代の当時のプロレス・格闘技は異種格闘技戦・空手の流派の決定戦・あるいは地上波に合わせた日本製のラスベガス的ボクシング興行で全盛を迎えて行ったと思うし、ベルナルドと言えばやっぱりアンディ・フグとの一連の試合をハイライトにしている人が多いんだと思うが、当時のK-1のマッチメイクはかなりのさじ加減で組まれているように見える。そのさじ加減とは1にスターによって興行を繋げ、引っ張るための流れ、2に筋書きや結末の無い真剣勝負であること、3に実力主義というくらいの優先の配分と見える。だから今見るとちょっとヒヤヒヤする試合ではある。


 実際のベルナルドの持ってた技術という部分からザックリ振り返ると、以前に「K-1とボクシングの越境の仕方」を書いた時にK-1の過去の試合をざーっと見直してみたんだけど、まずベルナルドの試合ではこの試合が見ていていろいろハッとさせられた試合だった。

マイク・ベルナルドvsサム・グレコ



 今の目で見ると二人とも結構な試合をしているよなと感じる。やや攻防の処理速度に難があるとはいえ、これはK-1のボクシング・マッチのようにさえ映る意味で面白かった。この頃5Rでやってたのか。
 この試合でのボクシングのテクニックはじめ立ち技技術を簡単に見る限りかなり優れていたのではないかと見えるサム・グレコも再評価ってことではとても面白い選手と思うけど、今はどうしているのだろうか。



 K-1極真空手の代表選手たるフィリオとの試合。多分ボクシングvs空手みたいな見立ても入ってんだと思うんだけど、ベルナルドが見事なまでにジャブを撃ち当ててみるみるうちにフィリオが動けなくなっていく様が印象深い。話変わるんだけど菊野克紀vsKJヌーンというカードの話をいつかに聞いたが、それとこの試合を比較するのは時代も競技も背景も階級も違うとはいえ、スタンドに限ってしまえばやっぱり厳しいのかもしれない。

 すごい基本的な部分ではあるんだけど、異種格闘技見立てを持ってボクシング技術と言うものが非常に有効なものであることを思い起こさせる試合で、ボクシング出身選手はK-1やMMAでローキックを受け続けて破れたり、一切タックルに反応出来ずテイクダウンされパウンドかサブミッションで負けたりとものすごく乱雑な結果を迎えるなどでその技巧的部分での強さを評価されるどころか新興プロ格闘技の発展の食いものにされてきた印象は強いと思うが、もう立ち技でもMMAでも高いボクシング技術のミックスが著しい中での目で見てこのあたりの試合が一番ベルナルドの技術の強さが見えるように思う。



 対バンナ第三戦などは過去の2戦がバンナがベルナルドのボクシングに乗らず、ローキックで凌いで闘っていた試合だったがボクシングに越境した後のこの試合は完全に真っ向勝負での闘いとなっており、会場の熱狂、試合内容、そしてこの結末という残念ささえ含めて、K-1が和製のヘビー級ボクシング興行を完遂させたような試合に見えた。まさに2001年は今から振り返ってしまえばK-1の最盛期だったと見え、実際の二人の名声、競技能力、試合内容共に頂点にあったのではないか?と思える試合で、そしてそれを何故なのか生かしきれない裁定を下したあたりから危うさの兆候がもう出ていると言うのも分かる。(この試合も再戦は無かったし、無効試合ということのままになっているという)


 タイムリーで追えてはいないオレの視点だけど、K-1の黎明期から最盛期に駆け上がる段階の中で、K-1と言う興行自体が華やかさと真剣勝負の興行を拡大させていくのに合わせて、そのボクシング技術を中心にしてスターとしてのタレント性とKOに持っていける試合内容、競技能力の全てを磨いていった選手だった。と、あまりに典型的な評価になってしまうけれど、こうしてK-1が崩壊し、数々の選手がボクシングへと流れていく今、ボクシングからK-1へと渡ったベルナルドの経歴はどれほどの意味が含まれているのかは未知ながらも、とっくに立ち技もMMAもかなりのボクシング技術がミックスされているのを目の当たりにする現在、最初期から最盛期のK-1にていかにベルナルドがその技術を機能させた試合をしてたのか?を感じる試合を取り上げて見た。(技術を中心に見てるサイドからもう少し綿密な再評価も見たい)



 マイク・ベルナルド選手の冥福を祈る。
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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