オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


UFC Fuel TV 8のヴァンダレイ・シウバ・運命めいた結末が用意されてるから興行は面白い(この後に逆接の接続詞が付いて続く)

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: MMA  UFC  ヴァンダレイ・シウバ  五味隆典  
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 事前のBS朝日で放送されたUFC日本大会の告知番組は佐藤大輔を起用することによる煽りVの体裁を取ったもので、そのポイントにはメインイベントにヴァンダレイ・シウバと五味隆典が名を連ねていることによるPRIDEの帰還、という面を多分に強調していた。

 去年のUFCがあれだけよかった面に今のUFCが最前線で構築している現代のMMAというものを日本にインストールした形というのがともかく大きかったはずなのにこれでは逆戻りとしか思えない。正直言ってどうかしているもので、番組の文脈もPRIDEの荒々しさと比較しての「UFCは競技になった」みたいなどこかしら下位に位置するものになったみたいな進め方で、ヴァンダレイや五味はそうしたものと違う、ということらしい。

 現在、最前線にランクする選手による主要なナンバー大会は北米とブラジルで行い、その他の国で行う場合にはFuel TVでの放映という形であり、そこではより各国にて代表的な選手がメインを飾るローカルなマッチメイクにした興行の傾向があるが、日本でのそれは単なる国の代表選手というそれよりも買収されたPRIDEのイメージが大きく、そこに寄りかかる(というか事前番組はそこくらいしかフックが無かった?)形になったというのは多かれ少なかれ今大会の注目度に影響したと思われる。

 選手のラインナップを見てると韓国の選手の出場も多く、そういえばUFCコリア大会ってやってねえよな、それにはまだ色々整ってないからかな?なんて考えつつ、やっぱりアジア圏内での興行の中心はここ日本とかマカオとか手のついたとこだよな、ここでシンガポールで大会やったりしたら複雑な気持ちになれて面白いけどと考えつつ、後で調べてみるとそれは今後の計画として候補にあるとのことらしい。

 
 それにしてもメインのネームバリューと別に、プレリムからの日本人選手の試合はボクシングの世界戦を見るように勝敗や内容を見ていくので、エキサイティングな結果は出たらいいよねくらいの気持ちで観るんだけど今日は本当に日が悪いのか判定が続き、しかもスプリットでの判定が頻発すると言うどっかしら奇怪な結果が数多く生まれる。

 まあこうなるのはたまたまですよとはいえ、運勢といったらおかしな話なんだけどかなり興行のムードが鈍くなっているのは確かだし、なによりメインイベンターの五味vsサンチェスの試合内容からどうにも乗り切れない判定結果などなどが重なったおかげで去年のような切れ味は無かった・・・って、去年も日本人選手はほとんど負けちゃってるわけで、あれもエドガーvsベンヘンはじめライトの前線の選手の活躍などが大きかったんだけど。

 なので去年のような日本でもなじみ深い選手からUFC最前線の選手の試合というフックを外された、素の日本人選手のUFCでの現状がより生々しく見せられる形であり、その中でもやっぱり五味の現在ってのはどういう状態なんだろうなと思わされる。



 
 サンチェスが軽量に失敗したことに加えてああした試合内容、そして判定結果であったことから「五味がマジでこの選手に勝てるのか?!」という予想や期待よりも試合のグレードがはるかに下回った釈然としない試合であったが、それよりも今の五味を見ていて思うのは別のことだったりする。


 試合内容に触れない完璧にオレの印象論になってしまうので、共感されにくいかとは思うがここのところの五味の、なんというか不服感というのが全身にまとわりついているかのような気配はどういうことなんだろうと思う。これは青木もそうなんだけど、旧武士道のエースが気がついたら物凄い不服な感じをずっと持っているようになってしまい、少なくともオレには今の彼らを見ると胸が詰まる。青木との比較というよりも、近いパーソナルやファイトスタイルの桜井マッハも本当に忸怩たる思いが気配に強く現れていて、五味は天然ボケっぷりもそれっぽくなってんだけどそれを追いかける感じになっちゃってる気もする。


 とはいえ、この試合での五味のパフォーマンスはこれまでテイクダウンされたらあっという間に抑え込まれてサブミッションで決められてしまっていたのに対し、サンチェスに倒されてもすぐさまに立ちあがるなどして決して相手のペースに載せなかった面で非常に高かっただけに、全体の不手際がここでかかるか?と思わされる酷いものになってしまった。




 かように素の日本人選手代表でのローカルなところを盛り上げる試合がこうなったあたりに日の悪さを感じてしまう中でメインを迎えるわけなのだが、しかしそこであまりにも凄まじい逆転が生まれることとなるのである。

ハントのTKO勝利に続く形で一気に厄介な判定が続いた気配が中和され、ヴァンダレイ・シウバのサンドストームが鳴り響くころには会場の気配が裏返っていく。

高揚しつつ非常に心中複雑になる。これでは本当に事前煽り通りの興行のポイントを突いている流れであり、ここまでの試合実にフィニッシュに持っていくリスクを取らない試合が頻発した中で、シウバとスタンがメインイベンターとして出張るというのはこの興行の成否にかかっていることで、そして実際に開幕から高いリスクをものともしない打ち合いを展開する。そのシーンから、実況の方からもあの伝説的試合の名前が上がるほどだった。

それは今から11年前にまだPRIDEが全盛を迎える直前の2002年のPRIDE21にて、格闘技のムックにて島田裕二が
「それまでの試合がダメだったじゃないですか。メインもこれだったらどうしようかなというところで、二人が空気を変えてくれて。勝ちにいく試合をしてくれた。」という、「高山vsドン・フライ」の一戦のことだ。

「二人は本当に偉いなと思いましたよね。命がけでPRIDEを守ってくれましたから。」と評価される試合はまさしくその通りにヘビー級の二人がメインイベンターで互いの頭を組んだまま殴りあい続けるという、かかる負荷を考えても凄まじい試合であり、シウバとスタンがお互いクリンチから打撃を放ち合ったシーンからその試合が実況から出て来た瞬間に、試合だけでなく2002年のその時の興行の状況に似通っているとも取れるのである。

当時高山もフライもMMAの現実から遥かに後退した位置であり、まだ興行的テーマとして根強かった「本当に強いプロレスラー」みたいな役割からPRIDEに上がっていたと思われ、同興行には彼らを遥かに上回るヒョードルもアンデウソンも参加していたのだが、当時はまだ実績を積み上げている段階でまだ決定的なバリューは無かった。

しかし二人は凄絶な試合をやることで、もうそこに競技性だとか試合の強弱といったものを超えた評価の試合を残した。実際MMAでファイターが互いに了解の上での凄絶な打撃戦に「高山フライ的な~」という形容が出てくるくらいに未だに強烈な印象を残している。

それとシウバvsスタンがどう似通ってたのか?こちらはアンダードッグに位置したシウバが上位に返り咲こうとするスタンを迎え撃つという試合で、お互いが前線から若干引いた位置で、メインまでの試合が煮え切らない結果ばかりになった。さあここで長年のメインイベンターはどうするのか?に答える形になったことだ。

しかし高山フライは悪く言えばMMA専門の人間ではないゆえの勝敗が度外視された立ち位置であったのに対し、無論のことこれはとてつもなく勝敗が重要であり、ブライアン・スタンというマッチメイクはあまりにも絶妙。単純に考えたらスタン有利で見る。「だがしかし」という逆接が差し挟まれる隙もある。

そして、本当にそんな逆接が差し挟まれることになる。1Rの凄絶な打ち合いを凌ぎきったあとの2R、シウバがスタンを仕留めるのだ。

オレは最後の最後にこの上がりが出たことに関してどうしても運命めいてるとしか、因果めいているとしか思えない結末であり、ハッピーエンドであると同時に本当に皮肉めいてる。日本のMMA自体はまだまだ夜明け前で、PRIDEの輝きを持ってきたシウバが結局まとめきったことが。

今大会の現実に違いないが、それを悲惨な形ではなくまったくの逆に凄まじい結果として残したことには驚いた。ひっさびさにkー1MAX2010日本トーナメントでの長島自演乙とか青木vs自演乙(またかっ!笑)を見たときくらいの、状況は悲惨だが、その中でのあまりにも奇跡的な結末を観た、と思えたのだった。

 
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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