オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


メイウェザーvsサウル・アルバレス・それは魔裟斗vsアンデウソン・シウバのファントムペイン

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: ボクシング  
無題

  北米ボクシング最大のビッグマッチメイウェザーvsアルバレス見立ての観戦記録なんだけど、まあこれまでもMMAや立ち技など新興の興行格闘技を軸にしてボクシングを観る、という癖で正直この二人の対戦ってのはぶっ飛んで「魔裟斗vsアンデウソン・シウバ」なんて風に見えていた。

 というわけでビッグマッチに対してボクシング外野席サイドで見た、新興興行格闘技のスターをボクシングのスターに見立てた感想。


 さてサウル・アルバレスってのはWOWOWでボクシングを観始めて今日のビッグマッチにたどり着くまでの高い実績に根差したライジングスターぶりをその試合内容と結果から見てきたわけなんだけど、そのスターとしてのネームバリュー上昇に伴いだんだん彼のファイトスタイルと顔つきっていうのがオレのあまり長くはない興行格闘技観戦経験から非常に魔裟斗を思い起こすに至るのだった。


 というのもオスカー・デラホーヤによるゴールデンプロモーション所属のエース格であるっていう構図がまた強く魔裟斗を思い起こさせる背景なわけで、もはや大昔のK-1MAXでの魔裟斗っていうのは、あれはTVパッケージング的にもミニチュアのラスベガスボクシングだったというのが潰れちゃったFEG&TBSのあの地上波放映された格闘技イベントの、いい意味(といっていいか)の歴史的評価なんだけど、デラホーヤってのはやっぱボクシングの2000年代中で本物の元ネタだったと見え、かつては長いこと地上波による中国製製品的とも言えるFEG興行見てきたせいか元ネタ見てもバッタもののスターの方を想起してしまう体になっている。


 引退後の魔裟斗とオスカーデラホーヤ自体も見ていてどんどん似通っているかに見えて、これはスターが一線を降りて興行を作っていくプロモーションサイドにシフトするという意識ってもの自体が実質非常に近いわけでその意味でも魔裟斗のデラホーヤの偽者ぶりはかなりいい方向だったのだけれど、元ネタデラホーヤがこうして着実に成功させている一方で、k-1ってジャンル自体が偽者から先に行けなくなったように魔裟斗も突如k-1から降り、その後がわかんなくなってしまうあたりに物足りなさを感じる。


 日本で選手終了後でのプロモーションへシフトのケースというのは本当にプロレス界隈でしか見られなくて、格闘技界隈で自分の試合以上にジャンルへ関わっていき成功させていくケースはほぼ見られない。あのレイセフォーがMMA団体を立ち上げて北米のなかで独特の立ち位置を形成しているというのに。魔裟斗はそういうムード(実際どれだけ関われるのかはともかく)を生む、セカンドキャリアでもデラホーヤの偽者を継続してくれる期待があった中で、その道が途切れたまま空白になったかのようだ。


 そういう空白を持ったままデラホーヤのゴールデンボーイプロモーションのサウル・アルバレスを見ていると、、これは本当にデラホーヤ経由で魔裟斗がメキシカンで、そして若き時分に逃げ出してしまったはずのボクシングを本当に忠実に継続していた場合にロンダリングされた姿というほか見えなくなってしまい、腕が無くなった人が無いはずの腕の痛みを覚えるファントムペイン的というか今は前線から退場したそのの本のスターの姿を鈍く思い出させるのだ。


 実際にサウル・アルバレスのファイトスタイルは非常に忠実で、通常のボクシングの距離感での張り合いでの詰将棋のような勝ち方は、ミゲール・ガルシアとともに基礎メソッドの強さを感じさせるものだ。20歳という若さで王座につき、今回ビッグマッチまでに駆け上がり方は分かりやすい言葉として「若さ」「力強さ」というのがフィーチャーされているのを見かけるが、実際にはとてもクレバーな戦略構築と必勝のパターンを持っている選手であり、それは序盤に相手の攻防の癖を見抜き、中~後半にてダッキングの動きすら見切って打ち込んで倒す、という試合展開に表れている。膨大なフィジカルや荒々しさで戦ってるのはその実オッサンの年齢になりつつあるのが少なくなくて若い奴のほうがずっと戦略的で知性的な戦いをやってるのが少なくない、ってのはここのところのMMAでも思うことなんだけど。(これはたぶんトレーニング方法からタクティクスまで構築されてるのせいだ。グレッグ・ジャクソン的というべきかな)「アルバレスの強さ上手さがわかりにくい」というのをどこかで見かけたけど、たぶんそういうスタンスなので異質さや強度といった印象から離れるせいだろう。


 そういう意味でもサウル・アルバレスってのは偽者のボクシング、競技にてスターになった魔裟斗のロンダリングされた姿なんだと感じる中で、相対するメイウェザーってのはそれはそれはボクシングの中で異質な経験を生む意味で、そのままだけどアンデウソン・シウバを想起させられる。


 メイウェザーはあのL字ガードに代表されるように、基本的に上体を強く構えず、下半身と連動しやすいばねの動きになりやすいそれで重心を変えながら距離を攪乱させていくというスタンスであり、それが実現できるのも驚異的なタイミングの取り方ってのが軸にあるには違いない。アンデウソンと重なるのはそこで通常のボクシングの距離・MMAの距離というもののの規律を乱してくるスタンスを最大の武器とし、その攪乱はまた彼らの煙に巻くような・または悪質にもなるようなパーソナリティーにさえ繋がっている。


 そして再びファントムペインが来るのはこの少し前にアンデウソンがまさにMMAメソッドの規律の強いだろうワイドマンに敗退した、という現実であり、それがこのメイウェザーvsアルバレスの構図と近似していることだ。


 だからこのビッグマッチ最大の見どころは通常のボクシングの距離感、技術の規律から自由であるメイウェザーを、アルバレスがどう序盤から見切っていき、中~後半で詰めていけるのかという戦いだと思われ、想像以上に理知的な張り合いであると想像したし、魔裟斗とアンデウソンが三度生まれかわりこうした形で相対することになったならきっとこんな感じだったろうなと思いながら観ていた。


 試合はメイウェザーの能力を捉える回路がアルバレスに足りていないことを露呈する結果となり、やはりたいていのボクシングの距離による戦いならば序盤に相手の動きをインプットしていく戦いを見せていたアルバレスが序~中盤の時点でとても捉えづらそうにしており、メイウェザーが中盤以降ノーガードのポーズをとり「見切ってるぜ」ということを示すまでだった。


 ボクシングはパッキャオ敗退以降、ネクストに向かっているのかどうかの過渡期なんだろうし、アルバレスにかけられた期待ってのはパックとメイ時代からの変動を期待された、という点も少なくないだろうし、オレなんかもアンデウソンvsワイドマンと相似する構図など込みで注目していた。結果はメイウェザーの距離感がアルバレスを上回ったというもので、興行的にはどっちみち期待どおりだったと思うけれど、それはオレの乱暴な見立てを超えていく現実的な光景だった。


 
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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