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ともあれ歴史の浅いジャンルMMAでの正しい晩期とは?VTJ3観戦感想

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: MMA  VTJ  
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  MMAの歴史はどうあれ20年足らずであり、それゆえにボクシングが提示してきたような選手の老成や晩期というものを提示しているのは以外にも少ないのではないか?(ってたかだか観戦歴6年程度の感慨で申し訳ないんだけど)もちろん戦績や待遇、環境の問題で格闘技から足を洗っていった選手というのと話は別で、優秀で長いキャリアを積んできた選手のその老いやキャリアを引く決断、または決定的な敗戦によるキャリアの死みたいなことを感じさせる。

 1993年の同時多発的なMMAなど新興格闘技興行の発生から専門のプロ格闘家が成立したと簡単に仮定して、20年近く経過したいまはちょうどMMAというジャンルがより成立した時代だ。そこから成長してきた20歳前後の選手と黎明期の選手で今も結果をだしキャリアを重ねているも、いよいよ晩期にあるって選手が入り混じるVTJはちょうど黄昏と夜明けが共存しているかのようで、それは往年の派手な演出による煌びやかさは遥かに遠いものの、今のところはそれが毎回興行の終わりに独特の余韻を生んでいる。

 VTJ2で見事に名勝負を制してUFC契約を勝ち取った堀口から一転し、今回VTJ3のメインのフジメグ引退試合は、さらに歴史が浅いだろう女子のMMAの中で見事にボクシング的とも言える強い晩期の幕の引き方を見せたと思う。





 歴史が浅く競技性を担保する環境もない時代、新興格闘技が日本で地上波発で浸透していった過程には、スポーツマンシップというよりもとても打算的で計算高い青年実業家のようなスタンスが大きかったわけで、やっぱ90年代k-1を広めようとした石井館長なんてのは完全に日本のプロ格文脈を掬い取ったうえで遠心力を強める戦略取ってきていたために、空手家というよりも「政治家」とか「髪の毛上げればドン・キング」とか一部揶揄されていた。


  そういう土壌ゆえかK-1そしてFEG興行でスターになり、それからキャリアの結末を決めるってのもこれは日本人限定な話になるんだけども魔裟斗や須藤元気など見てると彼らも同じく青年実業家的な視点で自らの格闘技人生を俯瞰しており、特に当時谷川貞治&TBSの明日なき使いつぶしの偽ラスベガス興行だったってのも含めてそこに競技的な整備も環境も弱く、名のあるスターの発生と終焉ってのは実業家が事業を収束させるタイミングみたいな印象のほうが強い。現在もこの二人をTVや雑誌で見かけるとより強くそう感じる。(※まあ須藤元気はヘルニアだったという身体の問題あったってのはもちろんだけど、まー裏でいろいろあったんじゃねえのっていう噂込みと本人の方向性って話で進めてます)

 


 そういうMMA初期にはものを構築していく実業家的センス(というか性格かな?)と競技能力の双方を有し、MMA黎明期からしデビューし、MMAの正史UFCから危険地帯FEGまで含めてサバイブしていた宇野薫はほんとにすげえなと今大会でのダニエル・ロメロに一本勝ちしていることから思う。高谷裕之を打撃で葬ったこの相手のラッシュを徹底して空転させ、グラウンドの展開に持ち込んで一本を取るというこの年齢できっちり戦略を実行しきってることから、子供3人がケージ上に上がったあたりでMMA選手の老成や晩期の一つの正しい形を垣間見た気もした。ハマのビッグダディとか言われてニコニコしてるのもすごい。元ネタ離婚してんねんで!

 3度目のUFC契約をこれから目指すというのも前回に言及したような昨今の日本の状況やツイッターの噂レベルながら来年はUFCは日本に来ないのでは?だなんて聞かれるなかで、UFCサイドが契約することの旨みというのに果たしてまた適応できるだろうかなんてハラハラする一方で、実績を積み最後の挑戦にまい進する姿はまさにボクシングの選手が晩期を迎えていく様、選手として老成していく様とさして変わりない印象に映る。


 日本人の中軽量級なんかになるとみんな実年齢以上に齢を摂りすぎているというか、見た目が年齢相応ではないという印象を抱くことが多く、所英男なんてそうなんだけど特に童顔の宇野薫はその代表格だ、なんて思ったいたのだけど、今更なんだけど紆余曲折あった日本や世界のMMAの歴史の醸成に合わせて、その歴史とともに歩んだといっていい本人も老成していってるかに見える。

 マッハやルミナなど、日本でおそらく最も早く専門のMMAファイターを選んだ人間がいかなる晩期や老成を見せるのか、というのを、佐々木ウルカや根津など若手台頭の一方で近年見せてるように感じている。昔から思ってたけどMMAファイターのプロの顔、プロのイメージってなんなのかな、ということの一つの答えなんじゃねえかな、と。職業上のムードは実績と年齢を重ねていかなければ見えないというので・・・







 そういう意味で藤井恵のこの引退までの経歴ってのもMMAという競技ジャンルにまい進した選手の結末として個人的には座りがよかった。なにもアイロニーで言ってるわけでなく、それは興行的にも本人たちだってこういう試合内容になっちゃうのは誰だって満足いかないだろう。

 だがこれも純競技的にはほとんどの試合を1分で極めて行ってしまう鮮烈な結果からP4Pと呼ばれ君臨。その後北米ベラトールのトーナメントにて、さらなるレスリング能力の地肩の強さから現代MMAのメソッドを習得している選手との戦いによる敗戦、などなど具志堅用高的とも言ってしまいそうな戦績によるキャリアの重ね方は、日本人のMMAの中でもそうはもう屈指のまっとうな老成と晩期を迎える形とみえ、引退試合が過去に敗戦したジェシカ・アギラーとの再戦というあたり、ある意味完璧な気もする。


 最後までこの世代でライバルと目された辻結花との対戦が叶わなかったが、もうこれはそういうもんかもしれないと思うしかない。五味vs青木もきっと実現しないしGSPとアンデウソンも実現しない。やっぱパッキャオとメイウェザーもやらねえだろうななんて思いつつも、でもこんな今のMMAの日本と北米に即した構図で引退試合を迎えたってのはVTJのコンセプト的にも、MMAと老成って意味でもよかったと思ってる。

 そして現実はそんな大きい意味を持った試合であっても美しい結果になりえないというのも、それはまた純粋な競技生活にまい進した晩期の、ほかのスポーツ選手でもありうることだろう。そもそもどんな結果も不確定で現実に起こってみるまでわかんないからこその純粋な競技でキャリアを重ねていくこととも見え、ねじくれているようだがこの結末はそうした美しく優れた経歴ゆえなんてオレには感じたのだった。特に女子のMMAでデビューから鮮烈に結果をだしていき、こうした老成と晩期を迎え、一つのプロの顔を定義するケースはきっとここまでに誰もできなかったのだから。
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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