オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


GSPvsヘンドリックス、ブラックジリアン、裏でロシアの北米

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: MMA  UFC  
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 いよいよ世代入れ替わりでつまりはMMAトレンドも入れ替わりじゃないか?と感じるのは、昔の北米vs南米構図の象徴的な絶対王者たるアンデウソンとGSPの後退だ。

 それは各階級にてフィジカルの強さから戦略の洗練などが加わることにより、今年エドガーからリョートまで様々な選手が階級変更を選んでいる中で、王座への挑戦者のグレードが変貌しつつあるのでは、というのも考える。なんせ(構図を単純にして)アンデウソンとGSPが迎え撃ったのは、米国レスリングのトップという実績をもとに強大なフィジカルに加え、現代MMAメソッドを持つ相手だったわけだから。というわけでオーソドックスなUFC167観戦記録


●北米でのロシア勢の緩やかな進行



 さてUFCは結局ヒョードルとの契約が決まらなくて以降、ちょっと前の日本のメジャー格闘技がやってたような
PRIDEでのロシアvsブラジルのような感じで鮮烈にデビューしプロモーションの一大勢力になる、なんて部分はしばらくはないんだけども、プレリムやアンダーに登場してきた最近のロシア発の選手見てると徐々に進行しつつある、という印象を受ける。

 前回UFC166で相手を失神させたアマゴフも相当に基本的な体幹と打撃の重さを感じさせたものだが、アリ・バガウティノフは相手のエリオットの変則的な動きや打撃の対応の仕方などなど、引きの姿勢であったがあの途方もなくロシア的な地肩の強さというか、あの独特の肉体的な強度を感じさせるものだった。

 軽やかなステップやフットワーク主体ではなく、体幹の強さと組み技土壌の技術による盤石な印象、そこからの一発の打撃の重さってのはまさにヒョードルなどが打ち立てたロシア的なファイターの特徴であって、それはウクライナだけどもボクシングのクリチコ兄弟らにも共通するそれだ。このあたりがフットワーク&ステップと、ボクシングとレスリングを混ぜ合わせ強く軽やかな戦いを見せる北米~中南米的ファイターと真逆な強度を感じさせる。

 エリオットが一見リングジェネラルシップを取っているかのような展開ながら要所要所での打撃のヒットやテイクダウンのキープなどなどあの地特有の強度見せて、そして勝利してるのを見ながら北米と南米トレンドが支配的なシーンをブラせるところまで、ここまで参加してるファイターが見せられたらいいよななんて思った。

 ※なおベラトールなどでも多数のロシア選手が見られるがそこは確認しきれてない。そこはスマン!

 

◆エヴァンス・ビクトー・アルバレスの北米ミックス南米チーム・ブラックジリアンの躍進


 ビクトーvsダンヘンに続いてエヴァンスvsソネンってのはチームで言えばブラックジリアンvsチームクエストって構図であり、すげえ雑に見立ててチームクエストはレスリングをベースに北米MMAの老舗で保守的な基礎力を持ちながら、現トレンドにも対応してきた強さをもつ一方で、ブラックジリアンは北米&南米のミックスという現代MMAのネクストみたいな構図、という感じ。(これ単に所属選手とファイトスタイルだけ見ての判断です・・・)

 ビクトーの躍進やブランクから復帰してチャンドラーとの激戦を繰り広げたアルバレスなどブラックジリアン勢のここのところの試合を観ると、その強力なフィジカルに加えステップ&フットワークとボクシングの切れの滑らかさ、柔らかさと剛胆さの共存というまさに現MMAトレンドの目標ともいえそうな展開が多い。ビクトーの躍進はこのチームに移籍してからなどなど言われる一方で、ややゴシップ的ながらその肉体改造法に関してもどうなんだという点さえ含めて北米っぽさ南米ぽさの混合であり、ネクストを感じる。

 
 エヴァンスとソネンに差があったというのはやっぱトータルにそのあたりのことで、ソネンは試合でのその肌つやの鈍ささえ含めてどんどん年老いてる段階に来てるように映る。もう最初のスタンドの時点でエヴァンスの方に懐の深さを感じ、アップライトのスタイルで来たソネンは体幹の強度優先スタンスであるために軽やかさや伸びを期待しにくい。(5、6年まえならともかく今のMMAの光景ではもう基礎的なボクシングのようなこのスタンスの選手はトップどころではかなり減っているはず)

 なのでソネンがいきなりタックルの展開に来たのはオレにはそのスタンドの差でどうにもならなくなったからみたいに見えた。でも一階級上の重量級のレスラーとの組み技対決ってのは、かのライトヘビーのエースだったティト・オーティズもヘビー級のレスラーとはやりたくないと自分の階級に固執していたこと思い出しつつよりドツボに入っていってるとしか見えず、結果エヴァンスに完敗した。

 しかしこのセミの「タックルにいくも、通じずむしろ危機に・・・」というレスリング戦はなんとメインでも連鎖するのであった。

▼GSPvsヘンドリックスと、ローリーvsローラーの似通い方


 現代MMAにてスタイルの完成度を誇るのが今ならローリー・マクドナルド、そしてGSPだ。それはフィジカルによるアタックの強度以上にMMAにて混合される各種格闘技術の洗練と距離感にある。

 この二人はカナダ人でありその躍進の仕方も似通うのだが、今大会での展開や構図まで似通うのがオレには大変に興味深かったのだが、まず二人とも相手が自身のスタイルに比べてフィジカルと打撃の強度が目立つ相手であり、しかも制空権を取る打撃を上手くかわす上に、当てても進行が引かない。そのため局面で大崩れになるシーンが生まれ、展開が割れるのである。


 各階級で層が厚くなることにより年々フィジカルの強度は増しており、同程度の技術を持つ選手同士の場合フィジカル差により打撃のリスクや組でのスタミナロスなどのリスクが想像され、結果伸びやかな試合展開を望みにくくなる、という側面を簡単に想像できる。そのためか近年も様々な選手が階級を下げる判断をしている。

 ここのところのUFCウェルター級シーンでもいよいよそういう傾向が来つつあるのかもしれないなと思わされ、タイロン・ウッドリーがコスチェックをKOするなんて展開まで生まれる現在、それに飲み込まれるかのような形にマクドナルドとGSPが関わったってのはなにやら因果めいている。


 GSPvsヘンドリックスなんか本当にUFCのパワーバランスやトレンド変貌の感じが強い構図だ。ジョニヘンのレフトハンドと組の強さ、フィジカルという武器はここ数年のGSPが相対してないものであって、これは同じく絶対王者だったアンデウソンがその実、カレッジレスリングの王者発の現代MMAメソッド到着のようなタイプのフィジカルと技術ともに上位の選手と戦ってきていなかった中での対戦というのにも似通っている。


 試合は過去にない苦戦が目に見えるかのようだった。開幕こそジョニヘンのフィニッシュブローに合わせたタックルが入ったものの、GSPの精度の凄まじく高いジャブ、それからハイキックやスーパーマンパンチで出足を止め、そこからタックルを織り交ぜることによって試合展開のイニシアチブを取り、制空権を制圧するというここのところの試合のこの展開が通用していない。

 ジャブのクリーンヒットもジョニヘンはほとんど食わないようにしており、さらにはGSPのタックルもうまく相4つ組みでのクリンチにて対処し、そこから逆にGSPを金網に押し付けての攻防に移行するというくらい。GSPがタックルに行ったことでむしろ不利になるという展開になってしまうくらいなのだ。


 そのためGSPのイニシアチブを取らせるポイントを多くの部分潰していることで、かつてなくGSPに疲労感が見えるという展開となった。フィジカルの強い相手プラス米国レスリングトップとの組みでの展開で使う体力に加え、それが競り負けるという疲労感というのは解説の高坂氏などがよく語られているが、今回かなり自分の展開を潰されているGSPが憔悴していたのはまさにそれだろう。事前にスタミナに難という意見もあったジョニヘンが想像以上にフルラウンド持ち越せたというのには、ここまでGSPの試合を作らせなかったというのも大きい気がする。

 各階級でトレンド変貌が起きており、10年選手であろうとも環境次第でまだ化ける可能性も残されていたりと相も変わらず混沌としつつ進行してるUFC&北米前線ではあるが、アンデウソンとGSPのキャリア折り返しを印象付ける今年以降、長年のトレンドを支配してきた二人が今後どうなるのかは面白くもある。

 名誉も報酬もすべて得て、なおも続けるか。そしてまた返り咲くか。無残に没落するか。それとも身を引くのか。そういうブルージーな瞬間を看取る局面にP4Pの二人は来たと思う。


(GSPvsジョニヘンでは大ネタとしてジャッジの違和感などでにぎわっているのだが語り切れないので今回外してる。ダナホワイトはこのあたりの発言に関して観る側や興行的に次につなげることに寄ったガス抜き発言(3分の1くらい本心であると思うが)でバランス取ってると思う。)
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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