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TJ・ディラショーのアップセット・それは少し前の北米vs南米構図の凄まじい逆転

Category: 見立てのMMA観戦記録   Tags: MMA  UFC  
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◇ヘナン・バラオンvsTJ・ディラショー 見立ての格闘観戦記録◇

 TUFシーズン14にてジョン・ダドソンとの決勝にて敗北し、準優勝となり、その後にUFC本戦にてバンタム級戦線にて結果を出していったTJディラショーへの評価というのは決して高いものではなかった。それは事前のチャンピオンシップの予想の数にしても、オレにしてもそのスタイルや印象度という面でそこまでの期待はなかった。やっぱり、TUF時代のジョン・ダドソンのほうに印象が寄ったままであるし。

 ところがそのディラショーが、まさに今のMMAの構図変貌さえある種象徴するような驚異的なスタイルにて、2重に凄まじいアップセットを実現した。その何が驚異的だったのかの見立ての観戦記録。





 ユライア・フェイバーを中心としているチーム・アルファメールは北米でのMMA構図ではかなり典型的なチームのひとつだ。つまりアメリカのレスリング土壌発で、そこから現代までにボクシング・柔術などの必要なパラメーターが揃ったMMAの構図を習得し生かす。チャド・メンデスなどなどもそうだし、そしてNCAAディヴィジョン1で活躍したディラショーもそういうレスリング土壌からのMMA転向というケースだ。

 ちょっと前ならMMAというスポーツの持っている構造をボクシング・ムエタイ・柔術・レスリングとパラメーション化して消化し再構築した闘いをやってるのは北米MMAだった。グレッグ・ジャクソン~GSPを完成系として、完全に制空権をとり、確実にリングジェネラルシップを取りラウンドを取り、圧倒する。様々な格闘技が参入可能なMMAというスポーツに、一つのフレームを規定していた。

 その対照としてアンデウソン&LYOTOに見られたような脱力&制空権外へのステップ・ノーモーションなどなどの変調を当てるのが南米MMAサイドであり、そこで構築された規律の北米に対して「予期しない」「まさかの」印象を与える攻撃を展開して対応していたのである。

 それは抽象化すれば、(ルールが規定している面で)技術の自由が許されるスポーツの中で、規律・緊張をもつものと脱力から伸びやかに闘うものの陰陽のような対立であり、それがMMAのシーンを推進させていた。でもそれがホットだったのはワイドマンvsアンデウソンまでだったのかもしれない。





 ブラジルのノヴァ・ユニオンはそうした脱力や伸びやかさといったブラジル系のMMA戦型にて一つ特色としていたところから真逆に、アルドやバラオンに濃厚に見られるのはこれはブラジルの格闘技土壌式のMMAの構造化・規律化だ。北米がレスリングやボクシングを主にしているのに対して、おそらくムエタイ&柔術あたりが基礎的な部分に映るが、彼らの試合ではかつてなく戦型が構築的になっている。

 軽量級が近年に整備されていくに当たって、ノヴァユニオンの彼らが上位を覆っているのはそれまでの南米的なムードと異なるのはそこで、バラオンvsフェイバーってのはある種北米レスリング土壌のMMA規律vs南米(えーっとムエタイとか柔術とか)土壌のMMA規律同士の闘いであって、そこでバラオンが圧倒したという形だ。

 こうした構図は軽量級であることそのものも無関係ではない気がする。ドミニク・クルーズが休養中とはいえ、今やライト以下では北米レスリング規律MMAが大きな活躍を妨げられているかに見える。

 あまりわかっていないまま書くけど北米レスリング土壌でのMMA規律が圧倒的というのはウェルター以上の階級になってからであり、その階級になると培ったレスリング技術はもとより、フィジカルの強さというアドバンテージも加わってくるためそこで圧倒することが可能になってくる。単純化してるかもしれないけどミドルでワイドマン、ウェルターにてヘンドリックスの台頭や、いよいよライトヘビーに落としてきたダニエル・コーミエが異常なくらいヘンダーソンを圧倒しているのを観るに、近年の選手層の増加による競争力の上昇により少なくない選手が階級変更を選択する中ウェルター以上ではよりレスリング土壌のフィジカルのアドバンテージのあるMMA選手が台頭しており、アンデウソン&GSPはそのトレンドに飲み込まれたような感じ。

 ところが近年ではライト以下になるとそうした光景が急速に見られにくくなってくる。ここで痩身・ムエタイ主体のようなペティスやベンヘンが上位であるし、フェザーやバンタムでノヴァ・ユニオン勢が規律ある闘いを見せている。ライト以下の北米レス主体はヘゲモニーを取れなくなっているのはなぜか?そういや宮田和幸がこうしたツイートをしていたけれど、そういう背景も無関係じゃないんだろう。




 どうあれ、ライト以下軽量級になるとフィジカルによる制圧面が途端に有効ではなくなるため、北米MMA規律のアルファメールではフェイバーもメンデスも南米MMA規律に象徴的なアルドやバラオンに敗退してしまうのである。当初、ディラショーへの期待感の無さはこういう軽量級の北米vs南米構図にうまく印象がはまらなかったから、みたいなひどい理由もある。

 ところがだ、ディラショーはふたを開けてみるとなんと北米レスリング土壌MMAではかつてなく、脱力のスタイルで、バラオンの制空権に絶対入らない位置距離を置き、常時ステップ&スイッチで翻弄し、変則的に打撃を放つと言うとんでもない逆転が展開された。

 こんなのほとんどありえなかったというか、いや逆にコロンブスの卵というべきなのか、コーチのドゥエイン・ラドウィックの秘策だったのかはわからないが、完全に以前の北米南米構図と逆転していて、ディラショーのアップセットは単に低いオッズを覆しただけではなくそういうレベルまで含めてのものって気すらした。

 完璧に規律化したバラオンがほぼ感知しにくい所からの、脱力&ステップからの打撃で1Rにフラッシュダウン取った時にはさすがに驚いた。まだこの時点だとバラオンの逆転が存在すると踏んでいたところ、それがラストラウンドのKOまで貫徹していたことがそれは驚異的だった。ほぼ最後までディラショーはガードをガチガチに上げたものじゃなく、デトロイトL字スタンス的な、いやでも少し違う肩の力を抜いた下げたスタンスから完全に翻弄し、圧倒したのだ。マジであのアルファメールが、北米レスリング土壌MMAが、こういう切り口でいったのはちょっと驚いた。ワイドマンがアンデウソンになったようなもんだというか。

 そしてこれが近年フェザー以下で行き詰まりを感じ、南米の方に規律取られてる北米レスリング勢のある種の打開策の一つになるんだとしたらあまりにも皮肉で意味深い北米南米構図の逆転の仕方であり、ディラショーはその意味で大きな仕事をした。

 オレは似た意味で「レスリング土壌の人がなんと脱力&ステップによる変則変調スタイル」でライト級で期待してるのはパット・ヒーリーを破ったボビー・グリーンなんだけど、彼も上に行けるか否か?ともかく、現在のライト以下北米レスリング選手の一つの変貌や打開策を提示した意味で、今年の中でもトップクラスに意味深い試合だった。


 
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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