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神話の続き ワイドマンvsリョート 死に物狂いのとき人は年老いる

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: MMA  UFC  クリス・ワイドマン  
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■クリス・ワイドマンvsリョート・マチダ 見立ての格闘観戦記録■




 ワイドマンは30代に入ったっていうのにある意味では20代半ばのジョン・ジョーンズよりもロンダ・ラウジーよりも若く見え、ミドル級に転級し30代を折り返したリョートはこれまでよりもずっと年老いて見える。これはエンターテイメントやプロスポーツをみるこちらの視線ゆえの、名を無していき方や世間への広まり方、その方法、新鮮さなどなどが要因にあるかもしれない。

 ミドル級にてアンデウソンがMMA成立初期からのグレイシー的な神秘や脱力を思わせるパフォーマンスを続ける中、そこに対峙していたのがソネンということからも北米vs南米見立て以上に、今から考えればパーソナリティの対峙として神秘vs詐欺師というダークネスな見世物であった。アンデウソンのファイトスタイルに伴う神秘性(今観てもゾッとするそれだ 打撃のモーションに無駄なく、絶妙のタイミングに合わせるから即座に反応できないそれだ)に対峙できるのは格闘技のすべてを構造化してフラットにしてしまう最先端科学技術のGSPしかいない、みたいな形でP4Pビッグマッチは期待されていた面はあっただろう。

 しかしアンデウソンの神秘や魔性、または詐欺や老獪に真っ向から対峙したのはタイトル挑戦時点でわずかに10戦だったワイドマンだった。既にレスリングの猛者がMMA転向するエリートコースであり期待は大きかったとはいえ、突然発生的に駆け上がったままアンデウソンと対峙したことによって、神秘と現実から老人と青年といった面まであらゆる相克が起こり、試合を超えた啓示性を見せたと思う。

  ワイドマンの勝利が原型的な神話性を発揮したのに続くかのように、同じくブラジルにて空手のスタンスを武器にして戦ってきたリョートが対峙することになる。アンデウソンと友人であるというのも加わってか、それともワイドマンに含まれている唐突なほどの正統にして強靭(そのままファイトスタイルからフィジカルに至るまで)に呼応する形からなのか、かつてなくリョートは奇妙に年老い、神秘や経験といった気配をまとう。その二人の対峙には「オール・アメリカン」とかニックネームについて、観客からUSAのコールが鳴り響こうともまるでアメリカvsブラジル的な国際対決にはまるで見えず、映るのは青年が老人の作り上げた過去の規律やルール、時代変貌を示す元型的な物語だ。




 試合はおおよそアンデウソンとの戦いが見せた啓示性を追いかけるかのようだ。奇怪なコンテクストの果てに神秘や歴史を醸成し、そして強烈に年老う印象となったリョートは実にワイドマンの正統と強靭に対する試練みたいな対照となっているかに映る。ラウンドが始まる際にリョートと向かい合うワイドマンの表情には、やはりアンデウソンと闘った際のような完璧な研究も対策も行ってなお実際に対峙したときにしかわからないだろう得体の知れなさ・距離のつかめなさに戸惑うかのような気配もある気がした。

 徹底してワイドマンはリョートがこれまでに仕留めてきたベイダーやムニョスのような打撃の仕掛けや攻めの入り方、距離に入らないように闘う。オールラウンドでの攻めの仕掛けに対応するスタンドのスタンスに加え、序盤にはムエタイ的な間の取り方さえ見せながら、徐々にリョートが得意とする出入りやカウンター、攻め手を封じていく形だ。序盤こそリョートはワイドマンのタックルを受け止め、切り替えしていたところだったがラウンドが進むごとにテイクダウンをいくばくか許すようになる。
 
 ワイドマンの堅牢さがリョートの独特の攻め手を封じ込めていく。しかしこの試合が単純に終わらなかったのはここからだ。リョートには距離をあけ、フットワークを行う中で相手を動かしそこに合わせて一撃を決めるというだけではなく、隙に合わせてラッシュやコンビネーションを重ねていく技術もまた印象深いだろう。ワイドマンに最適な制空権を封じられていくことにより、もうそこから勝利への道のりを目指す際ほんのわずかな綻びだろうが前に出て当てに行くことに賭けざるを得なかったのかもしれない。この攻め手が後半に爆発することとなる。

 4ラウンドを過ぎ、リョートの神秘性が霧散され始めたあたりから勝負を賭ける部分がフォーカスされ、熱狂的な打撃の応酬が展開される。リョートはかつてなく強打を、ラッシュをかける中で強烈に年老い始める。技術的に戦略的に勝つことが老獪で若さが無いだなんて嘘だ、どんな試合でも戦略を完遂し勝つというそれを出来ることはすでに若く賢い時代にしかできないそれだ。ホプキンズなんてあれはずっと達者な30代ボクサーのフォームであろうとするアンチエイジングなんだ。

 戦略を潰され死に物狂いになるとき年老い始める。リョートがライトヘビーでチャンプであったときの制圧を完遂していたあの時代を考えればその姿は老いはじめようとするそれだ。とっくにプロスポーツたるMMA、がむしゃらに打撃を振り回すそれが若さのだなんてクリシェに乗ることは無い。ワイドマンの青年性というのはアンデウソンやリョートというセオリーでは回収できない相手にさえ戦略を完遂できることにあり、リョートが発した老いとはもはや追い詰められたその瞬間にこそある。二人のMMAの道のりが上ろうと、下ろうとし始めるその瞬間が強烈にグルーヴした。
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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