オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


子殺しと仲間殺し

Category: 格闘周辺時評   Tags: ---
ネオンライト_copy

 
 
 廃墟からファイヤーバードスプラッシュを演じています。

 日本の興行格闘技における「闘い」というジャーゴンは、単に試合を消化していくことだけではなく、様々な意味での主導権を握ることや、プロレスや格闘技という枠内を超えていこうとする意味で使われてきたと思う。だが現在「闘い」と思い込んでやっていることが、結果的に身内のみを刺してしまっているような泥沼しか見当たらないのである。


 元ゴング編集長である金澤克彦はそのえげつなさを一冊の本にまとめた。それも1999年から2009年くらいまでのアントニオ猪木が、総合格闘技に関わりながら古巣の新日本プロレスに関わっていったことで、新日本に長い迷走期をもたらしたことを取り上げた「子殺し」という鮮烈なタイトルでだ。「プロレスラーは強くなくてはならない」ということが、シンプルに興行としての主導権を取り戻していくことを示すのではなく「だから総合格闘技でも強くなくてはならない」と長らくずれていた、ということで猪木のコンセプトから永田、中西などなどが悲惨な目に合ってきたことでこうしたタイトルになったんだと思うのだが、ここに「闘い」だと思い込んでやってることの実態が、身内を潰しているだけだったという後味の悪いものになっている。


  時は立ち、子殺しの猪木はIGFを立ち上げる。その間にPRIDEも潰れ、格闘技バブルは一発のスキャンダルから殆ど自滅みたいな形で終わっていった。その後継団体DREAMでは青木真也がエースを張った。しかし、そこで最も力を発揮したのはJ.Zカルバンとの試合でもアルバレスの試合でもなく、川尻を秒殺したときや、シャオリンを完封したとき観客に向けたマイクのとき。そして戦極との大晦日で廣田の腕を折ったときのように(ほぼ)同じ日本人の身内や仲間、業界内部の諍いのときである。本当にそういうシチュエーションのときに試合内容を超えた反応が生まれる。


 やがてそんな仲間殺しが子殺しの団体に参戦するようになり、いままたPRIDEの後継団体RIZINにて佐々木を打ちのめしたクルックシャンクの青木挑戦のマイクに対して物をなげつけたりするのである。だが現実はクルックシャンクVS青木の機運は上がらず、結局解説席にいた川尻に投げたものが当たり、Twitterみたいな場でファイターからファンが何一つ本質(興行に行きたくなるとか、クルックシャンクvs青木が観たくなるとか)に関係の無いことでいがみ合うのである。

 
 「闘い」とは均衡を破ることや主導権をとること、その他多くの意味で使われてきた。オレも仕掛けていくことは正しいと思う。でもいまは、子殺しを行ってきた男の団体の行うそれは結局身内以上のものにはならないし、そんな団体に出るようになった男が退屈になってしまった興行で均衡を破るために仕掛けたその効果も身内同士でいがみ合う程度のことにしかならなかったのである。なぜなのだろうか。

 みんな本当に「水を入れたままのペットボトルを投げるなんて人として最低だ」とみたいなレベルで話題にすることは悲しくならないのか。オレはこんな書き散らしをやりながら哀しくなってきた。じゃあ書くなと言う話なのだけど、ここは廃墟なのだからこうした崩壊に引っ張られたというだけなのです…

 
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Comments

仕掛けにしてもなんにしても
青木のやり方がプロレスとしてもガチトラブルとしても粗雑すぎるのが最大の問題ではないかなあ、と
例えばクルックシャンクに握手を求めるふりをして目の前で毒霧を食らわせるとか、せめてそのくらいの機転はきかなかったのかなあ、と思うのです

やっぱり「プロレス」を根本的に勘違いしてるよなあ
プロレス的にやるのは全然いいんですよ。
でもその効果が本当に内向きにしかならないのは
どうにかならないもんかなあ…と心底思います

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ビデオゲームというフィルターから俯瞰する、現代エンターテインメント総合批評
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