オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


ジョン・ジョーンズの速度4 

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: ---
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廃墟からまだまだほんとうの廃墟にはならんぞ!最近はゲーム系などで他のメディアにも書き出してるがここはまだまだやってやるって!と吠えています。大分時間経っちゃったがいまさらチャンピオンシップ話です。

以前こんなめちゃくちゃな記事を書いたことがある。コーミエ、ジョンソン、ジョーンズの3人を中核にしてグスタフソンなどが絡んでいくという構図だけども、ファイターの経歴や性格、プロセスのすべてが相互に対照的であり、そこから垣間見えるドラマツルギーの豊饒さをライトヘビーのトップにいるこの3人以上に感じさせるのはあまりない。競技性からなにまでひっくるめて、まだアンデウソンとGSPがトップだったころみたいなUFCの強度を感じさせるのはライトヘビーの彼らの関係だ。 

しかしそんなドラマティックな関係も終わりを迎えてしまうのしれない。今年4月にコーミエとAJがライトヘビー級チャンピオンシップを争い、コーミエの一本勝ちで勝利。敗北したAJはその後引退を表明してしまう。関係や構図を考えるとあまりにも劇的な結果になった。引き続くかたちでコーミエがジョーンズと再び相まみえるというのは、どうしたって何かが起こる期待をしてしまう。

そしてその通りになった。どれだけぼろぼろのスキャンダルを振りまこうが、ジョーンズのスタイルは堅牢だった。あのリーチ差、相手を狙わせないようにスイッチしながら遠距離~中間距離での前蹴りや間接蹴りはもちろん、ジャブやちょっとタイミングがわからないところから放たれる肘やバックキックなど打撃のバリエーションの豊富さはやはり群を抜いている。

あらためてコーミエが遠距離~中間距離のジョーンズの制空権をどう制するのか。これまでかなりのリーチ差のある試合では、立ち技に限っては埋めるためにリーチの短い方が特攻してチャンスに賭けがちな試合になりがちだ。それどころか無理やりワンチャンスの何十倍の倍率になっているところに全財産をベットする戦法が目立つ試合だってあった。セームシュルト君臨時代のK-1とか技術革新が一向に行われないのもあってか、無理やりジャンプしてパンチなんてシーンさえあり特にひどいもんだった。

ここで優れているのはコーミエはジョーンズの制空権をとる行動を潰し、遠距離からの攻撃を封じながら徹底してクロスレンジでの試合に持ち込んでいることである。間接蹴りをガードすればその蹴り足にローキックを返す。サークリングさせて逃がさないようにする。遠距離では前蹴り、中間距離ではボディへの打撃をとにかくジョーンズの打撃を受けて、決して止まらないようにするという削る戦略は徹底していた。(あたりのことが海外MMAサイトなどにかかれてました)。

決してジョーンズの打撃によって下がってはならないし、蹴りを使うことでサークリングを許さないようにすることでプレッシャーから逃がさないようにする。オーソドックスから変拍子での打撃までこなすジョーンズのバリエーションに対してコーミエ陣営のディフェンスが今回のタイトルマッチを味わい深いものにしたのは違いない。しかしそこまでやってもジョーンズの速度には敵わないということが、もうなんというかジョーンズとコーミエが持ってる経歴や性質の対照的な関係を凝縮しているようだった。

あの一発のハイキックで終わってしまうとは…試合は中盤に入り、ほぼ中段の制空権掌握のキックをさばききっていた。1R、2Rはコーミエのポイントだとして、おそらくその時点でこの試合は自分のゲームだという確信を抱いていたはず。でなければ、終わった後に涙を流すわけがないからだ。

泣くに決まっている。コーミエの経歴は悲運の天才であることは確かであり、ジョーンズとの対戦は圧倒的な天才であるそれに対しての差を埋めていく闘いでもある。名誉や報酬やら地位以上の、うまく言語化できないんだがなんらかの持つ持たざる者という差(天才と凡人の差とも違う。コーミエも全然天才だし。38歳だよ?)がもしかして埋まるのか?みたいな試合はときたまある。

ここまでの試合から涙をながしたコーミエに対し「bitchみたいに泣いてるな」とか解説席にいたスヌープ・ドッグは言ったそうだがこれは持たざる者に対しての持つ側の残酷な現実を突きつけるかのようである。スヌープドッグもジョーンズも反社会的で自滅的な行動をいくらでも取るでたらめな天才が、実際捕まったりなんなりでペナルティを受けてその速度が弱まるのかと思いきや、結局そうはならないし依然として持つ者持たざる者みたいな関係を覆すことができない。覆せる可能性にまでたどり着いていたコーミエが感情的になってしまうことを、対戦する二人の背景を知りさえしなければ素直にスヌープドッグに同調して英語圏のインターネットトロールのように笑ってみていられたのかもしれない。

ジョーンズが王者に戻り、コーミエは涙を流し、AJは引退を発表した。自分はアンデウソンとGSPがP4Pの時代以降で選手のキャラクターと競技能力、それらが生み出す暗喩がもっとも質が高いと感じていた3人の関係を面白がってきたけどそれが終わりなのかもなと感じた。ジョーンズの速度は別のところにシフトし始めている。ヘビー級のブロック・レスナーの名前を出したことはもはやチャンピオンシップというよりも、一部にコナーマクレガーのやっていることに追従しようとしているし、噂レベルではミオシッチの名前も挙がっているなどもうそっちの方向が希望されているのかもしれない。

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