オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


「格闘技シーンのムーブメント」としてのアリスター

Category: プロ格闘技   Tags: ---
家族の観念

<< プロ格闘技界固有の光景であり、そしてムーブメントを象徴する選手というのは固定したK-1、MMA、プロレスなどのジャンルに留まらず、そのフィジカルの強度などを武器に、むしろジャンル間の壁を破壊していく選手だと思う。今その強度が注目されるアリスターを中心にした、「ゼロ年代格闘技ブーム」の震源でもあった「ジャンルの破壊と格闘技ブーム」の考察>>

<<BGM・エイジアン・ダブ・ファウンデーション「flyover」>>

 世界最大の歴史とそれに基づく権威やらもある、競技として確立されている興行格闘技のボクシングの世界最高の強度と、かつてはアントニオ猪木や大山倍達、そしてUWF勢の流れなどが形成していた様々な言葉や仕掛けによって先のモハメド・アリやトレバー・バービックなどボクシング王者倒そうとするなどの仕掛けによって世界最高を獲得しようとしていく強度と別に、ゼロ年代「格闘技ブーム」によって経験した世界最高の強度とは、どちらかと言えば長らく”MMA”というジャンル内にて世界最高を保持してきたヒョードルではなく、プロレス・K-1・MMAなどの権威なき格闘技たちのジャンル間を、「UWF」とか「ストロングスタイル」とか「地上最強の空手」などのコピーに見られるような意味や歴史の文脈を無視して、有り余るフィジカルに加え凄まじいまでの自意識によって破壊してきた経験というのが大きいと思う。ミルコが藤田を、永田を下した時。サップがノゲイラを壊しかけ、ホーストを下した時。思うに「歴史や文脈を無視してフィジカルでジャンルを破壊していくスペクタクル」を生み出してきた選手という意味ではミルコ・サップ・曙(ジャンル間横断で全敗の逆ケース、意味は近い)、ブロック・レスナー、そして、アリスター・オーフレイムがそれにあたるだろう。

 彼らに共通しているのはヘビー級であり、強い自意識があるとともにどっかしらに邪悪さが漂い、初期にはパッとしない面もあったもののあるきっかけから恐れを知らないかのようなアグレッシブと強い(疑惑さえ向けられる)フィジカルによってどの舞台でも相手を制圧し、破壊してしまうという彼らのコピーに付けられたとおりの嵐の如き活躍をする。そしてまたあるきっかけによってその恐れを知らぬアグレッシブさが極端になりを潜め、信じられないくらい消極的になってしまうという没落に繋がりやすいという気配だ。

 今現在も「格闘技」を見る際の基本的なポイントとしては、「K-1」「MMA」というジャンル内での頂点を決定することのスペクタクルよりも、ジャンル間をオーバーして強度によって壊しにかかるということが遥かにスペクタクルであるのだという、バブルとも言われたあのゼロ年代の経験を、PRIDE時代中堅選手であったはずのアリスターがオーバーラップさせるということは、あるいは危険かもしれないと思うと同時に、K-1の番宣で安田大サーカスと腕相撲したりギャル曽根と大食い対決をしたりゲーマーと格闘ゲーム対決をしたりする姿に軽いデジャブを感じたことも確かだった。

 危険、と思ったのは先のジャンル間を壊していく選手たちによってバブルを生み、そして終焉したのちに、のこ残された回復手段がやはりジャンル壊しのバブルなのか?という面ではあるが、好意的に見て「アリスターの活躍によって世間をK-1、DREAMに目を向けさせる」と性善説的にいまは評価したいが、あるいはこうした形で今アリスターに日本格闘技界の期待を向けるのを振り返ってみれば、また石井慧の話になってしまうのだが、2年前の石井転向発表当初には「格闘技界の救世主になるか!?」とのコピーが舞い踊ったが、その「格闘技界の救世」の期待とは、「柔道家」の自己像のままだった吉田、「強いプロレスラー」の自己像の小川と別に、石井に今のアリスター、またはかつてのミルコやサップのような強度によって各ジャンルを制圧していくという期待というおそろしくハードルの高いものを求められていたと思われるが、当の石井は初期のUFC参戦を口に出しているようにジャンル横断によって自分らしさを発揮してムーブメントを巻き起こす、ではなく、基本的に青木や川尻のような「いちMMAの競技者」という正論の側であり、ミノワ戦のように実際の試合がそんなかつての格闘技バブル時の経験により掛けられた、ミルコやサップみたいに圧倒的な強度によって制していくというものではないだけに、ファンのいたずらな願望とのズレが起こり、フラストレーションを当てられてしまうのだと思う。(柴田戦はMAX内という舞台以外はいい線だったと思う)

 UFCであっても米国最大のジャンル越境者レスナーが登場し、ベルトを獲得するほどの強度を見せつけることで団体の勢いが加速したことには違いないし、格闘技のムーブメントを発生させるポイントには意味や歴史を叩きつぶすフィジカルとアグレッシブによる選手の登場というのが確実に存在し、K-1FINALに臨むアリスターに望まれているのは「この2010年の停滞の歴史を強度によって潰してほしい」という願いのように、各方面のプッシュをみて感じたのだった。
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