オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


Dynamite! TBS dream 2010

Category: 格闘周辺時評   Tags: MMA  DREAM  川尻達也  青木真也  Dynamite  
ピンクビザール路地裏

<<本エントリの読み方と解説>>

Dynamite!2010の展望でございます②各カードの評価の後に、競技性・因果性・スター性・歴史性・総括性と区分けして、一つに付き20点・総じて100点になるよう暫定的な期待値の評価もございます③競技性とはそのまま、試合内容や展開の期待、因果性とは、この選手同士が闘う意味の強さ、スター性とは、そのままその選手の現在のオーラから市場価値のレベル、歴史性とは、格闘技史的なこの試合の意味、そして総括性とは、互いの選手がこの1年に為したことへの結末としての意味の強さ、でございます
④では、これを何らかの参考にして頂ければ幸いです

■K-1 MAXライト級ワンマッチ
大和哲也(日本/大和ジム)vs西浦“ウィッキー”聡生(日本/STGY)

 K-1ライト級という新たな舞台を、見事なKOを生む試合によって優勝した大和哲也。が、Krushにて卜部功也にいきなり敗北を喫しているのだが、見事なまでに無かったことになってるように、記者会見上の写真似て思った。
 対するは山本KIDにここまでよく似ており、軽量級特有の狂気の打撃を表現できる数少ない選手であり、キース・へリング・ミーツ・シャガールのような絵も描く独特さを持ち、数多くの人々にスター性を期待されていた、ウィッキーというカードなんだが、しかし推しようによってはこの大晦日興行最上級クラスの熱を生み出せるはずのこのカード、何故か黄昏て、くすんだ印象さえ残るのはどういうことなのか?

 その理由も、特にウィッキーに顕著なのだが、どう見ても選手の自己像形成を妨げるようなVS石田戦のような、あからさまに内部の都合で組まれたようにしか思えない試合で、光を消されて敗北していたり、(ここ後出しジャンケンかもしれないが。)大和もせっかく王者になったのにいきなり敗北していたりなんかのスターの自己像形成のつまずき方が大きいせいだとつくづく感じる。新鮮でいきのいい素材を腐らせる技術にかけては2010年のメジャーはFEGにしろREにしろSRCにしろすげえよな~と思う。

<期待値>競技性16・因果性12・スター性7・歴史性13・総括性16⇒64

■K-1ヘビー級ワンマッチ
京太郎(日本/チーム・ドラゴン)vsゲガール・ムサシ(オランダ/チーム・ムサシ)

 京太郎の今年の活躍振り返ると、これは自分が格闘技を見てきた歴史が浅いのもあるし簡単に評価できるもんでもないがK-1ヘビーの日本人史上何だかんだでうさんくささの少なさと実力のバランスが最も取れた選手だと思う。
 がしかし、奇怪なことに武蔵の如きうさんくささ(≒運営のプロテクト&判定勝負)が無く、洗練されてるほど感情移入先が人間的魅力うんぬんでなく家族の物語ばかりになってしまうのはどういうことか?とか思ってしまう(これはほとんどの格闘技の日本人選手に対して思うが)。そんな中で今年アーツを撃破し、GPに残りシュルトと闘う所にまでいき、ようやくギリギリいち個人として見れるくらいにまできた中での結末として、ゲガール・ムサシというこの絶妙さ。比較的意味や試合内容への期待のバランスも高い。なのにくすんで見えがちなのは京太郎のファイター像が途上なのと、今年のムサシが去年大晦日のゲーリーグッドリッジ戦みたいなどうでもいいカードから、なんとキング・モー戦での完敗の後で、沈黙の中の水野との防衛戦だったりの光の無さのせいなのだと思う。

<期待値>競技性17・因果性14・スター性8・歴史性15・総括性16⇒70

DREAMフェザー級ワンマッチ
宮田和幸(日本/BRAVE)vs宇野薫(日本/UCS)

 ほとんどの選手が業界の関係性の中であったり、めちゃくちゃなカードの中で自己のファイター像を崩されてゆく中で(あらためて思うがすごい話だ。2回書くが本当にすごい。)、渡辺を立ち技で制し、大塚、リオン武と厳しいファイターを破ってきた宮田和幸は数少ない躍進した選手と評価できると思う。ガンガン無批判な「北米化しろ」みたいな意見渦巻くなかで日本初のメガジム設立という環境作りまで含めて実に一歩ずつ踏み込んで言っている。

 宇野との一戦は誰もがとっくに思っているだろうが幻のHERO's の一戦だが、今年のUFC再挑戦の苦い結果の中リリースされたのちの、日本復帰戦がなんとフェザーに落とし、いよいよMMAに適応してきた宮田が相手ということの、その心象は想像を絶するものがある。宮田和幸の躍進はすごいこととは思うがどうしても新たなスターの浮上ではなく、他の光のある相手を消すことばかりの印象が付きまとう。1年の終わりがパイオニアの光を消すのか、それとも抵抗するか、の試合という、こうして考えてみると単なる競技上の好試合でない意味の深い決戦ではある。あるが故に動けない可能性も高いか、高阪剛VSマークハント時の高阪くらい食らいつく宇野というのもありそうな気もする。

<期待値>競技性15・因果性15・スター性8・歴史性14・総括性17⇒69


DREAMフェザー級ワンマッチ
所英男(日本/チームZST)vs渡辺一久(日本/フリー)

 両者ともに今年全敗。おまけに両者が闘う理由もなく、せっかくのキャラのある人間同士の抱き合わせ。勝つ人間は上がらず、負けた人間のみ下がりそうだという試合。今年1年で存在意義を削がれるマッチメイクと試合内容となったなかの最後がこれは、いや良く見ようと考えれば全敗で終われない二人が気を張るって因果性はあんのか?まだ両者を生かすための寝技20秒ルールとか設定するなら分かるが、通常のMMAだと、辛い。

<期待値>競技性5・因果性10・スター性14・歴史性1・総括性5⇒35

DREAMウェルター級ワンマッチ
アンディ・オロゴン(ナイジェリア/チーム・オロゴン)vs古木克明(日本/SMASH)

<期待値>競技性(数字では表せない。言語を越えている)・因果性(わからない、練習お互いしたことあるとか)・スター性(古木選手はどれくらい有名なのですか?)・歴史性20(大晦日史)・総括性0⇒

DREAMウェルター級ワンマッチ
桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)vsジェイソン・ハイ(アメリカ/Team Bodyshop)

 桜庭VSザロムスキーといい、この瀬戸際の気配の強いカードといい、人によっては無かったことにしてくれという評価のウェルターGPのメンツが、今になって日本格闘技のレジェンド殺しとして亡霊のように蘇ってくるという、またしても選手として残された光を守り切れるかどうかの闘い。それは現実の日本格闘技界全体が光を守り切れるかどうかと完全に呼応していて、笑えない。(ここで田村潔司もウェルターに落とし、アンドレ・ガウヴァオンと闘う、とかなら乗れるのだが、無いことがわかりきっててそれもまた哀しい。)

 ただ近年のマッハの大晦日では柴田や、友人でもある郷野との一戦といった、因果性が厳しい試合が多いなかで、非常にシリアスな実力を測られる試合であり、決して悪くはないと思う。

 ところでこのカードに関して「普通のDREAMじゃん」なんて意見をどこかでみて、柴田や郷野ならゲンナリでまっとうに見えるカードならこんな反応。大晦日は難しい。

<期待値>競技性12・因果性12・スター性12・歴史性11・総括性14⇒61

DREAM無差別級ワンマッチ
ミノワマン(日本/フリー)vs泉浩(日本/プレシオス)

 奇怪なことに、柔道家から転向してきた石井と泉はこの試合によって、お互いキャリアの中で柴田とミノワマンと闘うことになるということの意味は、1000%「プロレスVS柔道」の文脈ではないし、MMAファイターへの割礼でもないし、また試合内容も「他のMMAファイターに出来ない試合をしよう」ではなく、単にMMAの技術の覚え始め同士ゆえにお互い攻められなくなってしまうなんて光景ばかりになりがちだったりしていて、ネームバリューに比べて空白感が大きい試合が多い。

 知らず知らずの内に石井・泉・柴田・ミノワでリーグ戦を行っているということ。試合内容や展開より、なぜこんなリーグ戦が起きているのかの謎を解く方が重要だろう。

<期待値>競技性12・因果性14・スター性11・歴史性10・総括性12⇒58

■アントニオ猪木プロデュースIGF特別ルール
鈴川真一(日本)vsボブ・サップ(アメリカ/チーム・ビースト)

 これはMMAルールではないだけ救われた試合だろう。しかし会見の鈴川の言葉で「相撲が強いことを証明します」ってなんだこれ?相撲でどのレベルだったの?というより大麻所持の不祥事で相撲界追い出されて猪木に拾ってもらってプロレスで再生しようとしてるのに、相撲の名を出すものなのか?天龍が仮に出たとしたら「相撲は~」っつうもんなの?田上が出たとしても?横綱になった北尾・輪島・曙が相撲の名を出すならまだ分かるし、また別競技だが柔道メダリストから猪木によってプロレスラーになった小川直也が格闘技に出る時に「柔道の強さを証明する」とか言っただろうか?IGF所属とはいえ、実質猪木イズム(もうこの単語を書くことはないだろう)なんて継承・教育されてねえんじゃねえかとか思わされる。

 あっ、でも小川直也プロレス転向初期はそのまんま柔道家で外敵と闘う、で橋本真也と異種格闘技戦してたからいいのか? いやいや柔道でトップだったからプロレスの外敵としておおっぴらに「柔道」を標榜してもいいけど、特に相撲でもトップどころかそれ以前でプロレスを言葉だけでも背負おうともしないっつー、相撲もプロレスもなめられた何重にもかかった負の滑り方なんだが、OKなのか?ここでサップではなく中邑真輔を今こそ鈴川に当てろ!「IWGP小島聡のラリアット食らって負け展開でも会場の客だけが喜ぶという外部を無くした世界」から抜け出して今こそ行けッ!とりあえず大晦日は決まっちゃったから来年のどこかで当てろ!もうオレは最近のプロレスのツボがわからん!1月4日も眠いカードばかりなんだがみんないいのか!?コンプレックスはどこへ消えた?

<期待値>競技性2・因果性5・スター性10(猪木の分)・歴史性10(猪木の分)・総括性0⇒27(1月4日も同じ)




というわけで前篇はここまでで。川尻・青木・長嶋・桜庭・アリスター・石井は後編で。
スポンサーサイト

Comments

男祭りとダイナマイトのメンツを常に比較されて悔しい思いをしてきた私にとっては、今回のメンバーは過去最高の素材を(ヲタ的に)揃えてきたとも言えますし、K-1ファンの間では比較的好評の声が上がっていますが、反対にMMAファンの間では不評の声が上がっていますね。
競技寄りの私ですら自演乙VS青木は許容範囲のカードだというのに・・・。(試合内容はともかくとして)。かといってGSPでも連れてきて貰いたいのか、と聞くと「GSPの試合はつまらない」と返答するしで、今の格闘技ファンは、一体どのような格闘技を見てみたいのか、どのような経営戦略で格闘技を復興させていきたいのか、という明確なビジョンが定まっていない状態にありますね。だからどんなカードを提示しても不満が噴出するという。
まあ私も、偵察がてらに紅白を最初から最後まで見ることに決定しましたが(笑)。
Re: 銀玉さん
> 男祭りとダイナマイトのメンツを常に比較されて悔しい思いをしてきた私にとっては、今回のメンバーは過去最高の素材を(ヲタ的に)揃えてきたとも言えますし、K-1ファンの間では比較的好評の声が上がっていますが、反対にMMAファンの間では不評の声が上がっていますね。

あ、そうなんですか?不評はかなり単純な話、ず~っと言われてるようにカード決定が遅い、決まったとしても
ミックスルールみたいなそんなんになってしまう(しかも青木が)ってのが大きいです。

> 競技寄りの私ですら自演乙VS青木は許容範囲のカードだというのに・・・。(試合内容はともかくとして)。かといってGSPでも連れてきて貰いたいのか、と聞くと「GSPの試合はつまらない」と返答するしで、今の格闘技ファンは、一体どのような格闘技を見てみたいのか、どのような経営戦略で格闘技を復興させていきたいのか、という明確なビジョンが定まっていない状態にありますね。だからどんなカードを提示しても不満が噴出するという。

 これは青木のファンの期待に完全に逆撫でする仕事ばかりしてきたことに対しての反発の意味が大きいと思いますよ。しかし、青木の方もがんじがらめになってるという(これは後編に書きますが)。
 
 GSPは北米現地のスターであり、日本人の感情移入できるセクションが現在のMMA同様限られてる、というのが前回GSPへの考察での結論でしたが、そこから逆算するとどれほど現在の日本格闘技は感情移入出来る物語や技術面が限られてしまっているのか?を感じさせます。
 

> まあ私も、偵察がてらに紅白を最初から最後まで見ることに決定しましたが(笑)。

紅白もDynamite!に負けず劣らずけっこうおかしな仕掛けやったりしてますね(笑)去年のスーザン・ボイルはジャストミートでしたが、いつだったかの紅白で突如エンヤ登場に絶句した記憶があります。「紅白の鈴川真一」を是非お探しください。

Leave a Comment

プロフィール

EAbase887

Author:EAbase887
人気ブログランキングへ

ビデオゲームというフィルターから俯瞰する、現代エンターテインメント総合批評
「GAME・SCOPE・SIZE」もやっております。ゲームの他に映画・アニメ・小説なども取り扱っており、興味があればこちらにも。

人気ブログランキングへ


ひっそりとド偏見アニメネタレビュー「14ー21歳のセックスか戦争を知ったガキのモード」「もスタートしましたので、妙に少なくない格闘技ファンとアニメファン兼用の方はこちらもよろしくお願いします。

TweetCasting

ツイキャス・LIVE放送中はこちらからでも視聴できます



 
検索フォーム
 
 
 
 
 
 
ブロとも申請フォーム
 
 
QRコード
QR