オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


戦極SRC buffet bizarre 2010

Category: 格闘周辺時評   Tags: ---
ウエノ 

<<本エントリの読み方と解説>>

①12・30戦極ソウルオブファイトの展望でございます。琴線にかかったカードのみ取り上げております。②各カードの評価の後に、競技性・因果性・スター性・歴史性・総括性と区分けして、一つに付き20点・総じて100点になるよう暫定的な期待値の評価もございます③競技性とはそのまま、試合内容や展開の期待、因果性とは、この選手同士が闘う意味の強さ、スター性とは、そのままその選手の現在のオーラから市場価値のレベル、歴史性とは、格闘技史的なこの試合の意味、そして総括性とは、互いの選手がこの1年に為したことへの結末としての意味の強さ、でございます④取り上げなかった試合の期待値は全て0と見て構いません⑤では、これが何らかの参考になれば幸いです

<戦極ムエタイルールと戦極キックボクシングルール>

 正直言って、去年の「戦極」時代から国保氏退任後の吉田道場勢や北岡悟が離れたSRCへと変更した今年の興行は、若干差別的な発言になるかもしれないが先進国で行っている興行とは到底思えない気配がつきまとう。このムエタイルールとキックルールが共存する意図や未来図は読み辛い。来年からは立ち技の試合も組みこんでいき、FEGと交流しながらってことだろうか?

 なんだかんだであらゆる格闘技興行は代表の世界観(ひるがえっては内面や精神)というものは興行にダイレクトに反映されやすいという事実を思い知らされるのだが、しかし向井氏の人生や個人史における格闘技の解釈というものを100%表している(「朝から晩まで格闘技」のコピーとか)、向井氏の内面が過不足なく表現された屈指の興行にも映る。

<ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムックジム)VS中島弘貴(バンゲリングベイ・スピリット)>

 名のあるK-1ファイターと無名だが能力が期待される立ち技選手との決闘を生む交流戦にするのか?と思いきや、蓋を開ければFEGのカードがSRCに移植され、しかもルールはキックという捻じれぶりはどういうことなのだろうか?この国が格闘技の先進国であった記憶を薄れさせる。精微な予想より、中島のアップセットに期待するしかない一戦。

<期待値>競技性14・因果性5・スター性8・歴史性6・総括性11⇒44

<中井りん(修斗道場四国)vs HARI(FIGHT CHIX)>

 特筆すべきはこれがこの興行中唯一の「無差別級」の試合であり、しかもそれが女子の試合である、ということに尽きる。今年は男子の格闘技のメジャーの失墜が目立つ背景で、女子格闘技は藤井恵の北米ベラトールの闘いからRENAのシュートボクシング優勝などなどの躍進は、振り返れば前にも思ったことだが歴史の裏を突いてる感じは強い。今男子で「無差別級」というのは最強を表現する方便ではなく、去年のハルクトーナメントで見られたような「競技性が度外視された技術のないヘビー級の闘い」みたいにまで冷え切った意識まで下落しているのに対して、ヴァルキリー王者中井りんによる「無差別級」の怖さという意味での説得力の回復ぶりは、まさに格闘技史の裏を突く女子、というのを完遂しているとしか思えない。この興行数少ないスター誕生のかけ橋になっている印象だ。

<期待値>競技性13・因果性13・スター性16・歴史性18・総括性17⇒77

<藤井 惠(AACCVS藤野恵実(和術慧舟會GODS )>

 今年北米MMAがバブル時代の価値から抜けられない日本MMAに、コンプレックスとしてのしかかっている中で、ベラトール準優勝という結果を残し、日本で年末試合を迎えるという一年だったフジメグ。その相手に藤野選手なんて謎のモジリを入れたマッチメイクなど、やはり意図不明具合が目立つがそれでもこの興行中の光り方への期待は大きい感じだ。

 にしても、女子のエース格がこうして年末に揃って現れるということの意味はこれまでになく、あの伝説の「猪木祭り2003」のスキャンダルの陰で唯一実現されていた「女子の年末興行の登場」という辻選手以来なんだが、無論地上波もついているわけでもないし比較できるものでもないが、これが何らかの歴史的分岐になるようには感じる。

<期待値>競技性12・因果性12・スター性14・歴史性19・総括性19⇒76

<坂口征夫(坂口道場一族)VSジョン・ジンソク(韓国/CMA KOREA/Wolf Max)>

 引退を宣言したが、こうして復帰した坂口征夫。その解釈はどうあれ、自分は賛成したい。

 坂口選手はその競技能力やスター性、試合内容以上に坂口征二の息子であり、そして坂口憲二の兄であるという家族環境の中の苦しみという、見受けにくくなったちょっとした古い文学や日本映画みたいな人生を背負っていること自体がドラマティックであり、格闘技というものの一面にそうした人生を拡大拡張して観客たちの前に披露してくれる側面もあると思うし、坂口選手はその意味で突出している。「坂口の呪縛から解かれた」と引退前のどこかのインタビューで語っていたが、そうした内面の葛藤から抜けた新たな試合で何を見せるのか?それともまた葛藤にとらわれるか?という、人生を拡大するドラマとしての格闘技という意味の興味が強い。

<期待値>競技性5・因果性18・スター性9・歴史性5・総括性10⇒47

<横田一則(GRABAKA)VSジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル/チーム朝青龍)>

 「ゼロ年代終結」の光景って意味では、初期グラバカメンバーの離散というのは地味に効いた。

 ガラグ戦での郷野を見るに、実際のところどうかはわからないがこうしたチームワークによってファイトスタイルを支えられてきた選手が、後ろ盾を失うことでこうも弱々しくなってしまうという悲劇に関して、三崎は逆境でもはねのけようと抵抗するポテンシャルを発揮したのと対照的だった。

 横田一則にこうしてガラグを当てられるのは単純な郷野に関してのアングルなのは明白だが、この試合によって見とれるのは現在のグラバカだろうと思う。しかし、体格や郷野戦、そしての横田の最近の試合を振り返ってもこれも想像以上に厳しい試合内容になりそうな気配がある。

<期待値>競技性15・因果性15・スター性4・歴史性11・総括性12⇒57>


<中村K太郎(和術慧舟會K太郎道場)VS Yasubei榎本(Enomoto Dojo)>

 トビー・イマダ、アンドリュース・ナカハラなどメインストリームにあんまり関係ないながらも、このヤスベー選手の登場時の菊田早苗の噛ませ犬か?!と当初思われながら試合になればKO勝利し、続く木健太戦など日本MMAのベストサブミッションの候補に上げてもいいようなバックブローをとらえてのチョークなど、不思議日系外国人系統のの選手が今年要所要所で活躍している。

 今年のSRCはかなりつらい内容が多かったが、このK太郎との一戦にまで至ったウェルターGPに関しては「ニュースター誕生」の意味では、去年のフェザーに及ばないとはいえかなりいい線いってると思う。勝つ人間が上がるというプロセスを素直に共有できる数少ない試合だ。

<期待値>競技性19・因果性10・スター性9・歴史性10・総括性12⇒60>

<真騎士(SRC育成選手)VSパーキー(韓国/CMA KOREA)>

 真騎士は戦極による、選手として、スターとして成長していく過程そのものを共有させた、ある意味TUF・K-1甲子園・場合によっちゃジ・アウトサイダーみたいな側面での最高傑作だろう。ファンの間でも今年の9月のDREAMでSRCとの交流戦の噂が流れた時に「青木真也VS真騎士」が挙がるほどにまで見事なKO勝利を生むことで名を上げてきた。その1年の最後にパーキーとの打撃戦というのは締めとしては申し分ないだろう。

 それにしても真騎士を注視しているのはコアファン限定とはいえ、ぶっちゃけ「コアファンからの熱の伝達」の健康的で(愚直な)形ってのは「競技性の正統を伝える」とか、「純粋に格闘技を格闘技として捉えない奴はおかしい」とかじゃなくて、単純に良質な選手が台頭してくまでに成長すんのを見取り、プロセスを共有していくことではあるよなあと思う。修斗やパンクラスなどでもそういう共有はあるけど、メジャーに上がる・上がらないでその感情移入の熱量も途切れたりするわけで、DREAM・SRCなどメジャー側が有能な選手が成長していく様をもエンタメとして組みこむことが、現状への処方の一つだろうと思う。いろいろ当初は言われたK-1甲子園も、いよいよ芽吹きはじめたわけだし。

<期待値>競技性15・因果性15・スター性12・歴史性11・総括性16⇒79>


<金原正徳(パラエストラ八王子/チームZST)VS前田吉朗(パンクラス稲垣組)>

 最近ZSTの試合をいくつか見た。まだ総合格闘技がK-1・PRIDEを経て浸透する以前に、前田日明がガチンコの格闘技を行うに当たってバイオレンスすぎるから、グラウンドでの打撃は絞り、グラウンドでの膠着はしないようブレイクも早めに取っていたりしたという、オレ好みの総合格闘技の形だったリングスKOKを継いだ孤児の興行で、それが今年同じ前田のアウトサイダーと対抗戦を行うことで自らの出生に回帰したともそういう意味では見れてスリリングではあると思った。

 ZSTの選手の光の薄さに反してのアグレッシブな試合をすることがプロという意識。勝敗以上に、噛み合うはずだろう前田吉朗との闘いによって、ボクシング&レスリングが背景にドンと存在している今のMMAの窮屈さと別種の日本MMA特有の試合の光景が生まれれば成功だろう。
 
<期待値>競技性15・因果性10・スター性8・歴史性10・総括性12⇒55>

<三崎和雄(フリー)VSマイク・シール(メキシコ/ジャクソンズMMA)>

 こうして振り返って、PRIDE崩壊後の片割れとして、アマチュアリズム・武士道・競技化という側面に分岐した戦極・SRCの歴史において、良性の部分を凝縮した選手というのが三崎選手の評価だ。

 復帰戦としてどれだけのパフォーマンスができるのかは不明だが、戦極のベーシックなテーマが三崎選手には投影されてるように映る。

<期待値>競技性13・因果性12・スター性12・歴史性12・総括性16⇒65>

<マルロン・サンドロ(ブラジル/ノヴァ・ウニオン)VS日沖 発(ALIVE)>

 SRC時代になって、戦極の頃からせっかく紡いでいたものがいくつがぶったぎられて正直興ざめすることばかりだった中で、去年のフェザーGPによって名を上げた人間による、日沖・金原・小見川・サンドロの4人のリーグ戦の最終戦という塩梅だ。

 フェザー戦線完結編として遂に辿りついた一戦は、少なくとも自分の中では唯一の戦極から繋がる正史として映っている。戦極によってスター性を鍛え上げられた北岡も小見川もいなくなってしまったSRCはともかく魅力に欠け、「修斗を大きくしたもの」なんて評価もあるけど到底そうは思えず、下部興行で能力ある有望な選手をメジャーによってトーナメントなりを行うことで、スター性を形成していき、そしてそのプロセスを共有し、熱量を生むという正攻法が今は効くと思うのに、何のテーマもなく漠然と拾ってきた選手を並べたようにしか見えないバンタム級トーナメントなどは誰が飛びぬけてスターになろうとすんのか全く見えず意味が無いように思うし、言っていいことか分からんがやはり一種の作為が無い限り絶対面白くならないということを思い知らされる。

<期待値>競技性18・因果性18・スター性11・歴史性16・総括性17⇒80>





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