オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


「日本格闘技バブル」の強打を、UFCの金網が捌く。またしても・・・

Category: 「見立て」の格闘観戦記録   Tags: MMA  UFC  山本KID  小見川道大    
sale3.jpg


<<UFC126・好きなファイターが今回たくさんいていやっほーいと思って蓋を開けてみたら・・・観戦記録>>



「Pink Floyd - 1973 - Dark Side Of The Moon」


 ▼金網の向こうの日本▼ 

<<○チャド・メンデス(3-0 判定)×小見川道大>>

 後述するKIDVSデメトリウスを見ていても思ったのだが、現在のUFCにおいて打撃で決着を付ける、というのは、よっぽどのことが無い限りできんな、と言わざるを得ない。

 ケージ・リング問題ってどうなったんでしょうか?小見川選手がメンデス選手を詰めて、そこから打撃を当てていこうとしても、入りをスカされていき、横に回って逃げられてしまうことからの、「ネオ柔道」と自らで名付けた攻めのスタイルの待ちの外され方を見ていて、現在のUFCで打撃戦にまで引っ張るには別の意識が必要なのか?とか思った。序盤にメンデスのタックルを切って離していただけに、そこで勝負する予定だったと見るが、思うように捉えられない中でテイクダウンを取られてしまうあたりから、流れを取られていったように見えた。

 よく見られる意見で、「リングとケージの舞台の違いによって、追い詰めての打撃が通用しにくくなる」というわかりやすい違いが語られるが、メンデスのベースにあるレスリングの、円運動と空間の捉え方がケージとマッチするせいもあるのだろうか?などとも思った。何かこの空間の捉え方や戦法の選択などなども込みでのレスリングからMMAなのだろうか。小見川選手はケージ復帰一戦目+実のところあまり闘ってこなかったレスリングの強豪との闘いでスカされて、ギリギリのところで負けたと思うが、次回どれだけアジャストできるのだろうか。(多分まだリリースはないと思うが)そして、実はレスリングの強豪と、オクタゴンで闘った経験の薄いだろう、あのマルロン・サンドロを撃破した日沖発選手が仮にメンデスと闘ったらどうなのだろうか、レスリングに優れる宮田選手ならいけるんじゃ?とも漠然と言われるが向こうの打撃にどれだけ対応できるのだろうか。

 「ボクシング&レスリングが日本から抜けている」などと思ったが、「ボクシング&柔道」が完封されたこの試合を見て、今更ながら現在のMMAはベースメントがそうであろうと、実行されている技術体系は違う気もしてきた。(ほんっと今更だ)

 そしてなによりがっくりしたのは、前の展望にてどや顔で「この試合は面白くなる。秋山VSベルチャーの再来のように・・・」と予言して相手の良い部分を消しにかかる試合になってしまったことに、自身と北米MMAの距離を感じたのだった・・・・・・

<<×山本“KID”徳郁(3-0 判定)○デメトリウス・ジョンソン>>

 長く距離を取って、隙を見て突っ込んでの打撃か、相手を釣り出してのカウンターを狙うという山本KID選手の伝家の宝刀のスタイルに加え、レスリングの動きをMMAに生かすということを昔からやってきたのも生きているのだと見るが、単に元々のオーラが「疑似的なアメリカ」を表現する場でハマっていた、という見立てのみならず、オクタゴンという空間にレスリングのベースもハマっており、そういう意味でもショービズの本場ラスベガスの「本当のアメリカ」に良く似合っているように見えた。

 序盤までは。

 デメトリウス選手陣営はそんなKIDの得意なフィニッシュを研究し、試合の中で完全に合わせ、テイクダウンを取っていった。それが幾度も繰り返されるのを見ていて、KID選手がフィニッシュをそこに固定していて、実況でも言われてたがテイクダウンを取っていくなどの選択が見られなかったりでどんどんポイントを取られてるのを見ていて、それが、先の小見川選手、五味選手らの敗退に酷似していて、この3つの敗退を繋げて見えてくるのは「スカ勝ちを至上とする日本格闘技バブルの敗退」だった。




▼ブラック・マジック・マーシャル・アーツ▼

 WEC時代から好きな選手だったドナルド・セラーニが一本勝ちして嬉しい。元々キックボクサーだったとのことだが、長い手足をもつその体型がグラップリングに生かされるとなかなかいい感じの選手になるなあとか思った。ヤスベイ榎本選手などなど。
 で、余談だが、恵まれた体格のあるアンドリュース・ナカハラ選手がさらに柔術できるようになっていったら先のセラーニ・ヤスベ榎本ラインの選手になんのかなあとか思った。去年のK-1MAXのUSTで何故かMMAでの試合が組まれ、「クソつまらない試合しやがって馬鹿野郎が!」とか「本当につまらないMMAで興行が辛くなった」とか「ヨーヨーの練習時間にしていた」などとボロクソだったが、いま見たらもっとよくなりそうな気配があって面白かったりした。

 アンデウソン・シウバの出した結果を前に、もう技術論だとかどうでもよくなり、ブラジルのこの黒人選手の、東洋武術の神秘の総称としてのマーシャル・アーツの気配が、高度な技術研鑽の果てに現代MMAの中で実現されているということのコンテクストの凄まじさ。レスラーには柔術で逆転勝利し、柔術家には奇怪な思わぬ打撃で圧倒して勝利する。敗北してきたのが本物の東洋、日本での技術(カニばさみヒールホールド、サイドから立ちあがろうとして三角締め)で、というのも込みで、UFCにて開眼する、というのは出来過ぎだよな、と今更思った。アメリカのスターの人造性のあるMMAを表現する、GSPとのパウンド・フォー・パウンド対決も噂されるが、こうして考えれば好対照の二人でもあるな、と思った。白人対黒人でありながら、しかしアメリカ人ではない。洗練による人造性か身体能力により再現される武術性かという構図も込みで。


 そしてジョン・ジョーンズの圧勝。ここにUFCの新たなスターが開花しようとする煌めきに満ちた試合を前に、言葉を無くした。向こうの観客はその生誕の瞬間を共に歩み、私は金網の向こうでの落日の瞬間と共に歩んだのだった。


 
スポンサーサイト

テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

Comments

>『ヨーヨーの練習時間にしていた』

長時間の興行では必ず中だるみの時間帯が発生するので、息抜きもたまには必要です。PRIDE時代、バラちゃんが合間合間に菊田瀧本中村カズの試合を上手く挟んでいたのも今では理解できます(笑)。

それと、日本の格闘技ファンの多くが求めているのは、バブル期を彩ってくれた『スカ勝ちしてくれるヒーロー』であって、仮に岡見がタイトルマッチでアンデウソンを塩完封したところで、日本の多くの格闘技ファン及びマスコミは、『俺たちの岡見』と認めることはないだろうな、と思ってしまいます。かつての武蔵のように。
Re: 銀玉様
>PRIDE時代、バラちゃんが合間合間に菊田瀧本中村カズの試合を上手く挟んでいたのも今では理解できます(笑)。

 いやあK-1興行内でやるMMAでファンに良さをみせるなら「所VS中村大介」とか、初期K-1で実験的にやっていた平信行選手の試合とかじゃないとキツいだろうと思います(笑)ただMMA興行の中での今後のアンドリュースはいい選手のはずです(`口´)!多分!

> それと、日本の格闘技ファンの多くが求めているのは、バブル期を彩ってくれた『スカ勝ちしてくれるヒーロー』であって、仮に岡見がタイトルマッチでアンデウソンを塩完封したところで、日本の多くの格闘技ファン及びマスコミは、『俺たちの岡見』と認めることはないだろうな、と思ってしまいます。かつての武蔵のように。

 武蔵と岡見選手の受け入れなさの背景は違うと思いますよ。明らかなK-1側の推しに加えての、スペクタクルを呼び込みにくいファイトスタイルに加え、いくらファンが糾弾しても変わらないみたいな運営側のキツさが凝縮されていたからではないでしょうか。

 岡見選手が『俺たちの岡見じゃない』というのは、日本のメジャー興行出身でないことや、下衆な言い方をすればメディアも繋がっているだろう旧PRIDE勢からの流れの選手ではないこと(こう見ると「俺たちの」という言い方が単なる誇張を表すのではなく、本当にそのままだと言えます)などが関係していると見ています。

 現在のテーマが北米MMAとの闘いに設定されている以上、今は「好勝負ではなく勝利すること」が重要と思われ、アンデウソンと岡見選手に関してはおいおい記事にしていきますが、現在このテーマを最も実行出来ている選手である以上、メディアも推していって、UFC側も「アンデウソンVS岡見で日本で売れる」と思わせ、いつか行われるだろう日本で実現させるようにすべき、と思っています。これこそ、「日本格闘技最大の岐路」「アンデウソンVS岡見以前、以後で変わる」つって煽るべきカードだと思いますよ(笑)他に何煽るんだよって。

Leave a Comment

プロフィール

EAbase887

Author:EAbase887
人気ブログランキングへ

ビデオゲームというフィルターから俯瞰する、現代エンターテインメント総合批評
「GAME・SCOPE・SIZE」もやっております。ゲームの他に映画・アニメ・小説なども取り扱っており、興味があればこちらにも。

人気ブログランキングへ


ひっそりとド偏見アニメネタレビュー「14ー21歳のセックスか戦争を知ったガキのモード」「もスタートしましたので、妙に少なくない格闘技ファンとアニメファン兼用の方はこちらもよろしくお願いします。

TweetCasting

ツイキャス・LIVE放送中はこちらからでも視聴できます



 
検索フォーム
 
 
 
 
 
 
ブロとも申請フォーム
 
 
QRコード
QR