オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


事件と時代の格闘技・アフター311Ⅱ

Category: ウェブ線上の批評   Tags: プロレス  格闘技    事件  
プラスチック爆弾

かつてまで一緒にされてきた「プロレス格闘技」はもう完全に別物と判断されて久しい。前者は「全てが筋書き通りのエンターテインメント」で後者が「嘘偽りのない真剣勝負で最強を見せる、スポーツ」ということでもうハッキリ解釈されていると思うのだが、歴史的に局面局面で非常に印象的で、何らかの「事件」としか言えないようなトピックスが起こる。思うにそこにこそ他スポーツに対しこのジャンルが逸脱している特殊性の一つだと考える、その「事件性」を軸にしたエントリ。



<<the world is mine>>


 ここ最近のエントリでも繰り返し書いていることだけど、現在の格闘技を見ていて時折わからなくなるのは「今これはもう独立したジャンル、スポーツとして捉えるべきで、もう時代の変化や進化を見取るもんじゃねえのか?」ということで、例のUFCのSF買収というのは、幾重にも別れた格闘技史の、大筋の一つの終着駅にあたる事件ってことになるのだろうか?という気分にさせられ、先日の「メレンデスVS川尻」の結果もまた、日本メジャー格闘技の存在意義の終焉を感じさせ、やっぱ日本MMAのダイレクトな問題はそもそもの「スポーツかイベントか」それ自体の構造的な在り方のところにあるのだろう、今は。と思う。(だってDEEPとかPRIDEとかイベント団体やってた人たちが「ジャパンMMAリーグ」とか噂されてた「ジャパンカップ」とか、この名称に見られるようにこの一競技であるってことを示す方にシフトしようとしてて、「ジ・アウトサイダー」みたいなデタラメアマチュア団体のはずなのに実力は2軍3軍の域とはいえプロと交流したりして名を上げているという捻じれぶり見ててそう思わざるを得ないっつうか)

 プロレスの方も高田vsヒクソン、1999年1・4事変、そして格闘技バブルによるPRIDE・DSEの躍進と2000年以降完全に時代変化の奔流とそれに伴う事件性の座を奪われてから、気が付けばそういう時代変化と全く別の独立したコンテンツとなっており、下手な思い入れや思想の仮託みたいなものが行われないいちジャンルになっているって意味では健康的なものになっているように感じる。

「ネット・プロレス大賞」を主宰されているプロレスの情報ブログの大手・ブラックアイ様がkamiproにて受けたインタビューに「今は昔のように全団体を見ているわけではなく、ドラゴンゲートならドラゴンゲートだけが好きな人が見ている」(※ここは記憶が曖昧なまま書き出している。間違っていたら申し訳ないです)と発言されており、これは自分の浅い憶測に過ぎないがなんでも見ようとしていた時代はまだプロレス格闘技がいっしょくたになって新しい何かが生まれようとしてる奔流のある時代であったゆえに見られていたのかな、などと考え、現在は見事なまでにその時代変化とそれに伴う事件性の奔流が、先の高田vsヒクソンを代表としたプロレス格闘技の接触による事象により格闘技側にウェイトがかかり、プロレスは時代変化の手綱を握る側ではなくなったことで現在のそうした評価に繋がっていったように思う。

 時代変化をダイレクトに反映する事件やトピックスもリング上の試合の背景として昇華されるダイナミズムとして格闘技が躍進する一方、プロレスは新日本やノアなどの団体交流戦なんかが頻繁に行われるようになっていくが基本損得崩さないようにする野合の気配が試合展開から透けて見え、よく言われる「闘い」を感じさせる試合とはほど遠い、いっさいの事件性を起こさないよう起こさないよう配慮されたものになり、大手がそうした形で膠着している状況をハッスルとマッスルが批評的に皮肉に見つめていた。それが完全にプロレスも格闘技も別物の2000年代後半あたりの時代だったように思う。

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 しかし、そんなゼロ年代のバブルからの、(あくまでメジャーイベントの流れの)格闘技側の時代を背負った遠心力による事件性ってのもここが末尾なのかなと感じる。先日のストライクフォースを見ていて、日本MMAは続くだろうが日本から格闘技というものが大衆娯楽として開かれてる流れはいよいよ無くなってきてるな、と。

 どうにも日本人がUFCに挑戦する以前の問題の方が大きいように映り、以前から言われている「MMAをMMAとして捉えること」という言葉の中に全てが集約されてると見え、そこから逆算するに今の格闘技の奔流のダイレクトな時代性と事件性に今後関わってくるのは「MMAはイベントじゃない。競技なんだ、スポーツなんだ」という地盤の方に関わる見方にあるように思え、そしてそのテーマに今一番関わってきているのが、修斗などの厳密な競技団体のネガとしての存在感を日々強めるアウトサイダーにあるように思う。アウサイがどう転ぶかで、今後問われる「競技としてのMMA」という、格闘技バブル以後の国内MMAの根幹の奔流に変動があるな、と予想する。

 そしてプロレス側にも一つの奔流が用意されたように、ある事件から感じた。例の八百長事件によって関わった力士の実質的な追放が発表されたが、これが転じて幾人かの人間がプロレスに入ると思われ、日本のプロレスの歴史的にも相撲からプロレスに行く、というのはすでにトラッドな事象でもあるし、今回の事件によってそもそもの「八百長と相撲とプロレス」というどっかしら地続きになっているこれらの歴史的な関係について、追放された力士がプロレスラーに転じることでどこまで再び止揚されるのか?ということに繋がれば、このダーティさだけが印象深い事件も救われるようにも思う。

 これからの時代変化に伴う事件性が起こりえる部分は、それは思うにそのジャンルの歴史的な存在意義の地盤に関わる所にあるというのが自分の、この3・11以後の時代そのものと同様の見立てで、それはもうどこにもメジャーの奔流が無くなった中での、構造に関わる部分の問いに時代があり、事件があり、そして「闘い」がそこに用意されると想像する。
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

Comments

>プロレスと格闘技はもう完全に別物と判断されて久しい。

その通りだと思います。私もついこの間まではUFC、ボクシングのような高度な競技性と、日本格闘技の持つロマンと感動が両立できるようなK-1を理想としていましたが、甘かったようです。昨年の自演乙のトーナメント優勝やピーター・アーツの活躍は競技寄りに傾きつつあるK-1においての最後の煌めきだったように思います。もうこれからはあのようなカタルシスは、理屈で考えたらとても世間には提供できない。
反面、自演乙やアーツが見せてくれたドラマチックな煌めきというものは、むしろプロレスの世界でこそ見せていくべきなのでは、ということで、自演乙のプロレス進出というのはプロレスというものがエンタメ寄りの格闘技ファン達の受け皿となる契機になりそうで個人的に注目しています。桜庭も田村も、もうジャパニーズMMAに居場所はないのだから、本来還るべきプロレスの世界で活躍したほうが、熱心なファンも喜んでくれるのになぁ、と思います。
プロレスだって闘いを見せることは可能ですし、何よりも理屈など抜きにして楽しむべきスポーツですしね。
Re: 銀玉さん
 今回、読み直したらかなりやっかいなエントリになっており、そんな中のコメントありがとうございます。

 日本格闘技がもう進化とか時代変化とかの変動を上手く反映しないものにこれからなってくのか?ってのは全く見えなくなってきましたし、どうなんだろと思います。一部「もう下手に地上波とかに固執してまがいものの格闘技になるよりマシ」みたいな意見も見ますし。

>自演乙やアーツが見せてくれたドラマチックな煌めきというものは、むしろプロレスの世界でこそ見せていくべきなのでは、ということで、自演乙のプロレス進出というのはプロレスというものがエンタメ寄りの格闘技ファン達の受け皿となる契機になりそうで個人的に注目しています。

 逆にプロレスが面白くなったりする可能性の目。エントリでも書きましたが相撲八百長で廃業した力士がくる可能性だったり、もうすでに幾人かのMMAファイターがIGFに上がったりと(っつうかなんと今度バンナがIGFに上がり、鈴川と闘うそうです。鈴川に一本勝ちさせる筋書きで「石井慧よりも上」みたいな寒い展開にだけはならんと思いますが)微妙に流れてたりするのを散見し、俺はつい思うのですが

では格闘技は?格闘技は誰が為にあるのか?

などと強く思ってしまい、格闘技(※K-1、MMAのメジャーのもの)というのは競技というよりも時代変化の流動体としての方便で終わるか?という、半分わかってたことといえガックリくんなあ、と。

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