オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


事件と時代とプロレス・ビフォー311

Category: ウェブ線上の批評   Tags: プロレス  格闘技  事件  
プラスチック爆弾

 かつてまで一緒にされてきた「プロレス格闘技」はもう完全に別物と判断されて久しい。前者は「全てが筋書き通りのエンターテインメント」で後者が「嘘偽りのない真剣勝負で最強を見せる、スポーツ」ということでもうハッキリ解釈されていると思うのだが、歴史的に局面局面で非常に印象的で、何らかの「事件」としか言えないようなトピックスが起こる。思うにそこにこそ他スポーツに対してこのジャンルが逸脱していると思うプロ格史の特殊性の側面の考察編。

<<The World Is Yours>>



 他のスポーツならば試合背景にスキャンダルやハプニングやらを背負っての闘いというのがフックとなるケースというのはほとんどなく、そうした背景を意識しての決闘みたいな視点は「プロレス的」とか揶揄されもするがこのジャンルの特徴の一つを大きく表していると思う。

 どうあれプロレス格闘技の団体の存続に当たっての分裂や野合による背景の揺らぎ方というのがザックリと歴史を振り返っていても、リアルタイムでの動向を追っていても嫌でも目にするし、その背景としてリング上にて時に事件としかいいようのない試合が起こり、その衝撃の中に時代性だとか事件の中心にいた選手のパーソナルだとかのファクターが絡み合い、何らかの意味を伝播させるという部分が突出しており、例えば近年の大晦日に必ず起きる青木真也や秋山成勲がらみの試合とそこから生まれた事件の背景の中に、好む好まざるにかかわらず、事件の背景や関係を考察して高揚しようがゲンナリしようが事実としてひとつの時代が刻印されている。

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 しかし何故こうした、他スポーツならば致命傷にさえなりかねない、(実際の犯罪とかは全く別の話として)事件性というものがこのジャンルの一つのハイライトを為しているのか?ということを考えると、これは日本格闘技に限った特徴なのか、格闘技興行に歴史ある他の国ではどうなのかなどのリサーチも必要な気もするが、ともかく格闘技のリング上にて結実したそうした事件の歴史というのが、このジャンルの歴史を為してきているのには違いないと見ている。

 プロレス格闘技を、その時代を凝縮するように生まれる事件とともに変動していく時代の流れを見つめるものか、そうした事件性というのを徹底的に憎んで明確な一スポーツとして捉えるようにするかの見方の分岐は人それぞれだろうが、しかしどの見方であろうとも、このジャンルが先天的に抱えている、他スポーツと比較しても、興行と競技、真剣勝負か演劇か、などなどあらゆる矛盾の存在は否定しがたく、思うにこのジャンルで事件が結実する瞬間にはそうした矛盾が濃厚に凝縮された瞬間だと考える。

 そしてプロレス格闘技の抱える矛盾を端的に凝縮してしまう事件性にこそ、皮肉なことに最も世間に伝播させるこのジャンルのポテンシャルを発揮させてしまっていると見え、どうあれ亀田VSランダエダ、桜庭VS秋山、青木VS廣田などなど、それはネットで言うところの炎上というネガティブな反応ではあったが痛烈にそれらの事件性は一定量の格闘技ファンを越えて伝播した事実は知っての通りだろうし、今もってなおこれらの事例が示唆するその時代のこのジャンルの矛盾が結実した瞬間の禍々しさというのは記憶にあると思う。

 これはまた酷い見方かもしれないが現実のあらゆる事件が単純な解釈では語れないものであること同様にこのジャンルは時にスポーツという形式を通して観客にそうした事件の経験を植え付ける希有なものだと言え、そして2000年を過ぎてから、格闘技がバブルの中で数多くの事件をはじき出しながら加速し、失速していく一方で、プロレスは「エンタメである」として矛盾との格闘を止めるようになり、野合の団体交流を行うようになっていくあたりから事件を避けるようになっていき、むしろそれはいちコンテンツとしてまっとうなことではあるが、どのような規模だろうと事件を起こさないようにするまっとうなエンタメというジャンルに刺激はあるのだろうか?とも思う。

 時代が流れる以上、事件は不可避なところさえある、とプロレス・格闘技史を俯瞰して強く思うのだった。好む好まざるに関わらず。
 
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テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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